軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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さて新たなる問題点を理解した上で、護衛官に関してはバウム家の町屋敷から幾人か貸していただくことが決まりました。

ちなみに、後々アルダールの侍従となることが決定しているハンスさんは私たちの結婚式の日取りが決まったらその日からきっちり二ヶ月前に近衛騎士隊を辞職して、レムレッド家の関係で身辺整理を行って侍従になるんだそうです。

まあお給料が発生するのは私たちの結婚式翌日からの計算になるそうですが。

そういう意味ではセバスチャンさんは後進の成長次第でもあるんだそうですが、今回の件も相談させていただいたところ例の新人君が入ったらセバスチャンさんも新居にちょいちょい顔を出してくれるとのことでした。

「すでにお住まいのお二人にもご挨拶をいたしませんとな」

「そうですね。とても善良な方々ですので、きっとすぐに仲良くなれますよ」

カルムさんはのんびりとしたおじいさんで、庭仕事が得意。

マーニャさんはパンを焼くのが上手なおばあさんで、お二人ともとても穏やかな方々です。

元々セバスチャンさんとハンスさんは人付き合いが上手いタイプの方ですからね。

そこは心配していないっていうか。

でも事前に顔を合わせておいてくれたら嬉しいので、私の方でもセバスチャンさんについて伝えておくことにしました。

「しかしまあ考えの浅い連中もいたものですなあ」

「……ええ、まあ」

まあ陛下や宰相閣下のお立場からしたら『地位と名誉は与えてやったし最大限あれこれ手は貸してやったんだからこのくらいの火の粉は払えるよな?』って思ってそうですけど。

むしろ上の方々が妙に気にかけるからやっかまれてるっていう考えはなさそう。

「それはそうと、新人の『身上書』が来ましたぞ」

「あら」

ぱらりと渡された身上書……つまるところ履歴書です。

ただまあ、事前に『影』出身者と聞いていますからほぼほぼ嘘っぱちなんでしょうけど。

「……ライアン、ですね。年齢は二十三。この身上書によれば 陛下の(・・・) 執事見習いとして雇い入れたとあります」

「さようですな。補足といたしますが、ニコラスほど実践に長けてはおりませんが気配を消すのが特に上手く、弱々しい印象を与える容姿をしております」

「またクセのありそうな方ですねえ」

「ご安心を。事前に私の方できちんと指導をしておきましたからな」

にこーっと笑うセバスチャンさん。

言っていることはとても普通のことだと思いますが、なんでしょう。

少しだけ怖かったような……?

「……ライアンはいつから王女宮へ?」

「ユリアさんがお許しくださるのであれば、明日の夕刻にでも」

「そうですね……プリメラさまへのご挨拶は明後日以降としますが、一度王女宮の使用人は顔を合わせておいた方がいいでしょう」

「承知いたしました」

「ねえセバスチャンさん、メッタボンは気づくのかしら?」

「気づいても何も言いますまい。あれは己の領分を侵してこない相手には寛容ですからなあ」

「なら、いいんですが」

メッタボンって身内にはとても優しいですが、敵認定を一度すると厄介なタイプですからね。

頼りになるんですが……というか、セバスチャンさんったら楽しそうですね。

若者に教育を施すことが楽しみなのだと思っておきましょう。

その内容はともかくとしてね!

しかし気配を消すのが上手くて弱々しい印象、かあ。

相手にあまり記憶に残らせず情報を盗み見るとかそういったお仕事に適任って感じですが……それを私に伝えてどうしろっていうんでしょうか。

そういうお仕事をさせろって意味ではなく、ただ単に『影』であることを知っているんだから能力も理解して必要なら使ってもいいよってことなんだとは思います。

まあできたら使わずに済むのが一番ですね!

ただこれからの公務のことを考えれば、頼もしい味方が増えたと考えるべきなのでしょう。

「容姿もなかなかですぞ。メイナとスカーレットにはそこいらの妙な男に引っかかってもらっては困るので、目を肥やしてもらわねば。見目はなかなかですし紳士的な振る舞いも得意としておりますので」

「目を肥やすって」

「あの子たちが王城内に巣くうネズミなんぞに 囓(かじ) られてはたまりませんからな」

「たとえが酷い」

私は苦笑するしかできません。

すっかりセバスチャンさんは王女宮全体の保護者になっちゃってまあ!

(逆にスカーレットとメイナがイケメン見過ぎで食傷気味になったらどうすんのかなあ)

まあ、イケメンに囲まれた生活をしている私からすると割と内面面倒くさいタイプのイケメンが多いのは事実。

といってもこの国の人たちは美形揃いなんで今更って感じはしますけど!

スカーレット自身も美人ですし、メイナだってとっても可愛らしいですし?

ただまあ、プリメラさまの公務の関係で王女宮の人間があちこちに走り回っていることも手伝ってあの子たちを認知した人たちが声をかけようとしているってのは私も理解しているんですよ。

園遊会の時はスカーレットも幾人か声をかけられたって自慢げでしたしね。

ただまあ私がそうであるように、この王女宮という奥まったところで普段生活している彼女たちははっきり言ってしまえば箱入り娘……ってやつに該当するでしょう。

そういう意味では市井出身のメイナの方がしっかりしているとは思いますが、二人ともまだまだ若いお嬢さんですもの。

セバスチャンさんの心配もわかるってものです。

「ライアンは当分の間見習いとしてあの子たちと行動を共にさせることも多いでしょうし、あれの顔を見て怖じ気づくようならそれまでの連中。うちの若い娘たちに声をかける資格なんてありませんな」

「……そんな顔面偏差値高めな人がくるんですか、うちの宮に……」

私が直視できないやつじゃないでしょうね、まさか。

いやまあ気配を薄めるのが得意ってことなら、私と仕事をする時にはそれを遺憾なく発揮していただきたいところ。

いい加減、私だって美形には結構耐性がついたとは思うんですよ。

特に仕事だってわかってりゃそれなりにね?

でもですよ、セバスチャンさんが太鼓判を押す顔面って言われたら警戒だってするじゃないですか……。

「無論、ライアンにはメイナとスカーレットに対して恋情を抱かせるような行動はしないよう厳命してございます」

「……え、ええ、ありがとう……?」

果たしてこれってお礼を言うべきことなのか?

若干疑問には残りましたが、まあセバスチャンさんがあの子たちのためにいろいろと頑張ってくれているってことだけで満足しておくべきでしょう。

そう、変なことは突っ込まない!

それが平穏の秘訣なのですから!!