軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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結局なんだかんだいちゃついてしまった……。

アルダールが帰った後の自分のベッドに横になったら、途端になんか恥ずかしくなりました。

いえ、抱きしめられている段階で恥ずかしかったんですけど。

(ここにアルダールが座ってたんだよなあ)

って私は小学生かーーーー!!

いかん、後退している気がする。

これから結婚して同居をするっていうのにこのメンタルで大丈夫か!?

頭では理解しているんですよ。

そして一緒に暮らせるんだなあ、夫婦になるんだなあと喜んでもいるのです。

なんだったら新婚旅行も行きたいなって思ってますしなんだったらただの騎士と侍女の平凡な夫婦として生きていけたらなあって思っているわけで……。

(それで子供は二人で、猫か犬でも飼って、休みの日には家族揃って出かけたりのんびりお菓子を作ったり)

ちょっと前までの私だったら妄想の話でしかなかったものが現実味を帯びてそれに対してワクワクするこの気持ち!

恥ずかしさよりも嬉しい、この気持ちはあるんですよ!!

(……でも多分、さっきはなんか噛み合ってなかった)

私 らしい(・・・) とアルダールは笑っていたので、おそらくだめなことではないのでしょうが……ううん、なんだろう。

でもこれは決して人には相談したらだめな部類な気がしてなりません。

理由とかそんなものはありません。ただの直感。

いやしかし苦難を乗り越えてきた私の直感、そこまでバカにできないはず!

(……もしかしてアルダールは子供がほしくないとか? 違うな、前に……おかえりとただいまが言える、そんな家庭を築きたいって話をしていたし……)

ああ、もしかしてしばらくは二人きりの生活を送りたいとかそういうことだったんだろうか。

令嬢教育をかなり適当に流していたツケがここにきたのかしらと思うと、ため息が出る。

礼儀作法その他諸々は王城の侍女として恥ずかしくないよう、高位貴族の令嬢にも負けないレベルで勉強させられたけど……男女の駆け引きとか、閨の作法とか、なんかそういった諸々のことに関しては自分に関係ないと思って聞き流してたんだよね!!

ほら、一応私は前世の記憶持ちなので……。

いくらモテない女子、略して喪女だったからとはいえ知識の面ではそれなりにあったわけですし?

今更『殿方にお任せして云々』っていう話はどうでもいいかなーって。

いやしかし聞いておけば良かった。

今更後悔しております。

ほら、何かの役に立つこともあったかもしれないじゃないですか!

(今更そんなの誰にも聞けない……!!)

こいつ令嬢教育サボってたなってバレてしまう。

いえそこに至る前に恥ずかしくて死ねる。

しかし、アルダールと話していて思いました。

働きたいなとは思いますが、子供もほしい。

そしてプリメラさまの侍女であることが私の誇りでしたので、プリメラさまがいない王城でそこまで働きたいのかと問われると……そうでもない気がしてきました。

いえ、職場環境としては最高だと思います。

福利厚生はばっちりですし食堂のお料理は美味しいですし、尊敬できる上司もいれば可愛い後輩もいるわけですし。

頼りになる同僚もいますし高位貴族の方々ともお目にかかる機会があり、親しくお声をいただけたことも王城ならではでしょう。

(……そういえば結婚式の前に、一度大司教さまのところに行っておきたいなあ)

プリメラさまの勉強のお時間でよく礼拝させていただき、時に労いのお言葉をいただくこともある大司教さまは、私の婚約を大層喜んでくださいました。

なんなら結婚式の際は大司教さまが神父役として立ちたいとまで仰ってくださって……まあそれはさすがにお断りしたっていうか、周囲の神父さまが宥めてくださいましたが。

立場ってもんがですねえ!

「そういや結局家名の件とかも進んでないのよね……色々急かさせる割にはお役所仕事めえ……」

役所の人間ですがこういうところの手続き、なんとかならんものでしょうか。

いえ……おそらくは、役所の問題ではなくて貴族のお偉方が問題なんでしょうけれども。

陛下がアルダールを陞爵したいと考えているとして、その猶予はどのくらいでしょうか。

普通に考えれば、プリメラさまの社交界での盾役として私を側に置くおつもりで考えるならば、早いに越したことはありませんよね。

子爵夫人として社交界で信頼できる人との繋がりを作り、いずれは伯爵夫人として下位貴族と上位貴族、それらの悪意への盾となりつつプリメラさまにとってよりよい人間関係を築くための架け橋となれって意味で考えると……ディーン・デインさまが学園を卒業されて、晴れて結婚するその頃までにはってことでしょうね。

ってことは実質三年しか猶予がないとかどんだけ!

現実的な数字で物事を考えると相当大変ですけど!?

私の人見知りレベルを舐めないでいただきたい!!

胸張って言うことじゃないけど。

「はあーーーーーーーー」

なんかさっきまでとはレベルの違うため息が出てしまいました。

なんだそれ無理ゲーか。いややる以外許されないんだけど。

むしろ私よりもアルダールの方が陞爵に向けて無理難題ふっかけられそうで心配ですよ。

しかしそう考えると、現実的なところで言えばプリメラさまが降嫁するまでは専属侍女としてスカーレットに引き継ぎをしつつお仕えして、それを機に退職。

引き継ぎ手続きと並行して私も貴族の女主人としての勉強をするってのが一番でしょうか。

三年もあれば子爵夫人としてどこかのお茶会に顔を出すくらいはするでしょうし、夜会の出席もあるでしょうし……。

(今から気が重いな!)

アルダールだって同じように思っているでしょうから、ここはお互い頑張らないといけないなとは思っているので、弱音を吐いたりはしませんよ!

しかしなんでしょう、私たちが二人揃って望んでいた普通の新婚生活じゃないな……?

でもそうやって考えるとプリメラさまがお嫁に行ったら侍女に拘る必要はないのです。

もちろん、私は侍女という天職に巡り逢えて救われました。

貴族の奥方をやるよりも、侍女をする方が楽しい……とも思っています。現在進行形で。

ただ、自分が両立できるのか? ってのが心配なところです。

陛下の望むレベルでプリメラさまの補助ができないなら、どっちにしろ王城の侍女なんていくらでも換えが利く部品くらいに思われていそうな……いやさすがにそこまで酷くはないか。

何にせよ、専念してプリメラさまを支えろって言われるような気がしないでもないんですよ。

(……統括侍女さまに相談してみようかしら)

もし、侍女を続けるとしても補佐という立場は今の私にとっては重い気がします。

もちろん責任ある立場を任せていただける信頼はとてもありがたいことですし、遣り甲斐はあるでしょう。

それに、何の考えもなく『子供がほしい』と口にしましたが、それって結構大変なことですよね。

私の母は私が幼い内に流行病に倒れましたし、 普通の(・・・) 幼い子供ならきっと寂しい思いだってしたでしょう。

前世の医療が発達した世界でさえ、妊婦は当たり前に出産育児に臨めるわけではありませんでした。

この世界でも、オリビアさまが……それを思うと、気軽に『やります』と言っていいものか。

「……そうよね。三年、いえ、結婚式を挙げてから一年以内に結論を出すつもりでちょくちょく相談しに行ってみようかな」

統括侍女さまもすぐ決める必要はないって言ってたものね!

とりあえず、一番の問題は陛下の意思がどこまで反映されるのかってところですよ!!

はあー、ただの騎士と侍女の結婚でありたかったな……。