軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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その後、まあなんていうか、公務は恙なく終わりました。

フィライラ・ディルネさまも吹っ切れたらしく、少し表情が優しくなられていましたね。

複雑なお気持ちはあるのでしょうが、ユナさんに関しては乳姉妹としてではなく、王女として今後は接したいと思っていると仰っていました。

で、そのユナさんですがフィライラ・ディルネさまとの間にどのような話し合いがあったのかはわかりませんが、かなりやつれていてですね……。

なんでそんなことを私が知っているのかというと、ちょっとこれが驚きの展開を見せたんですよ!

なんと、フィライラ・ディルネさまはユナさんをこのお忍び旅が終わるよりも前に送還するおつもりだったそうで、その手段として選んだのが商会繋がりで縁のあるタルボット商会だっただなんて!

いや、まあ、国内はリジル商会が一番強いですがタルボット商会は宝石を中心に輸入物産を扱っているので、その辺りでフィライラ・ディルネさまの商会とも繋がりがあるのだと説明されればなる程って納得なわけなんですけども。

(だからって、ねえ……)

人員を多く割けないので、商会同士のツテを使ってユナさんを送還するという計画だったそうなのですが、なんとその協力を求めたところ、この町に来ていたタルボットさんが直接お話をするために現れたのです。

しかも、なぜかリジル商会のご子息、リード・マルクさまが一緒っていうね!

そう、〝攻略対象者〟である、リード・マルク・リジルさま。

王太子殿下のご友人でもあり、リジル商会の一人息子。

設定では金に物を言わす系な典型的成金ぼっちゃんで、貴族を真似たように二つの名があることを陰で笑われたりすることにより、貴族社会に対して、友人である王太子殿下に対してコンプレックスを抱いている少年……だったはずなんですけど。

(あんな感じだったっけな……?)

最近、前世の記憶が薄れているのは確かなのですが、それでも随分と印象が違ったように思います。

なんていうか、しっかりしていたし、落ち着いていてゲームで見せていたような他者を見下すような雰囲気もありませんでした。

まあ、あの場にいたのが王族がメインだったからだとは思いますが、それでも私や他の侍女たちに対してもとても友好的だったような……。

(まあ、あの【ゲーム】とは別物なんだから、違ったっておかしくないか……王太子殿下だって結構違うわけだし……)

プリメラさまが素敵な天使に成長したように、王太子殿下も厳しいところはありますが周囲を拒絶する孤高の王子……っていうゲーム設定とは違います。

ディーン・デインさまも勿論ドMじゃありませんし!

ちなみに、このリード・マルクさまのエンディング。

表向き美女を侍らす女好きという風な中で叱ってくれるヒロイン・ミュリエッタとの出会いに、肩肘を張るのを止め、商人として、平民としてしっかり地に足を付けて二人手を取り合い頑張る可愛らしいエンディング。

そして裏エンディングでは、なんと女好きという設定はそのままに、本当はふくよかな女性が好きだったという彼はミュリエッタの性格を愛しく思う反面、その体型に不満だったと述べて毎日毎日お菓子を食べさせ、ふっくらさせていくコトに悦びを覚えるという性癖暴露でした。

うん、最後のスチルにヒロインが映らないでふっくらした手を恍惚とした顔で握るリード・マルクさまっていうね!

(あれはあれで、当時ファンの間で色々物議を醸していたような……)

まあそれはともかく。

なんと、どんな話し合いがあったかはわかりませんが、ユナさんをリジル商会で雇うと言う話になったのです!

なんでも、ユナさんはフィライラ・ディルネさまの乳姉妹として、これまで右腕ポジションでいたのだからお互い立場も変えてみるというのも大事ではないか……と言うことに落ち着いたそうですが、正直どうしてこうなったとしか私には思えません。

そもそも、フィライラ・ディルネさまにとってユナさんが起こした今回の行動は、今までのように軽く咎める程度では済まない失態。

他国の王族に対しての無礼は当然、不敬ですからね。

お忍びなので表沙汰にはできませんが、国家間の関係にはよろしくないわけですし。

(それなのになんでこうなったのかしら?)

話を聞いた王太子殿下も怪訝そうな顔をしてらっしゃったので、どうも色んな思惑が交錯しているようだなあと思いました。

とはいえ、ユナさんはリジル商会が預かると言ってもこの町のリジル商会で、客人待遇ではなく新人として厳しく扱っていく……とのことでしたから、今後私が顔を合わせることはないのかしら?

(……フィライラ・ディルネさまは納得出来ていないという顔だったけれど……ここまでスムーズに話が進んでいる辺り、フィライラ・ディルネさまが知らないところで、マリンナル王国との話がついていたということなのかしら)

リジル商会ならば勿論、他国との取引があったっておかしくないわけですし。

タルボット商会と付き合いがあったのはあくまでフィライラ・ディルネさまの商会ってことなので、ああ、なんだか複雑すぎてよくわかりません!

(……結局コレって、商人たちが利益を得たってことでいいのかしらね?)

王城に戻る馬車に揺られながら、私はそう思いました。

だってそうでしょう?

フィライラ・ディルネさまは距離を置くだけでなく、厳しく処断を望むつもりがいつの間にか母国から彼女の処遇についてリジル商会預かりと聞かされて不完全燃焼。

王太子殿下は婚約者にいいところを見せようとして結果、惜敗。

それに対して、商人たち。

タルボット商会はおそらくリジル商会が顔を潰さない程度にマリンナル王国との問題で益をもたらしつつ、面倒をリジル商会にお願いしたから小さいながらも益確保。

リジル商会は大きな面倒ごとを抱えたわけだけど、大きな目で見るとマリンナル王家に恩を売ることが出来た。

ただし、何故リジル商会がそんな面倒ごとを抱え込むために一人息子を使って、今回出しゃばってきたのかその目的は不明。

(プリメラさまと私に関してはまあ……ただ巻き込まれただけですね!)

なんだか知らないところでまた物事が動いている気がしないでもないですが、とりあえず私たちに関係のないことだったらいいです。

もしかしたら未来の王妃さまとその母国関連であれこれ動きがあるのかもしれませんが、それは正直王女宮にはあまり関係のない話ですからね……!

いずれはプリメラさまが嫁がれ、私たちもついていくか王城で侍女を続けるか、或いは家に戻るか……。

(それか、どこかに嫁ぐか)

そんなことを考えて、アルダールの顔を思い浮かべました。

(……公務が終わったら)

次のお休み、もう少し先だけれど。

そこで一緒に泊まりがけで出かけて、今まで話せなかったことを聞かせてくれる。

信じているけれど、どんな話なのかを考えると不安になるのはどうしてでしょう。