軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「しかし、何故私にその話をなさったのですか?」

ユナさんについての事情はおぼろげながらわかりました。

といっても、色々な方の見たもの、聞いたものを又聞きしている状況なのでこう……ふわっとしかわからないっていうかそんな感じではありますが。

それでもまあ、表面上の話しか知らなかった身としては大きな発見もあるというものです。

フィライラ・ディルネさまが転生者だったかもしれない、とかね!

とはいえ、です。

わざわざルネさんが私に対して王女が言わなかったことを明かしてまで警戒するように伝える意図は一体なんなのか?

そこが問題ではないかなと思うのです。

勿論、プリメラさまの公務にとってマリンナル王国のお家事情などは関係ないので私がそれについて知っておく理由はなく、そのため事前に調べることはありませんでした。

まあ、家族構成とかくらいは知っておきましたけども。

プリメラさまが今後ご家族として接される方の関係性は知っておくに越したことはありませんからね!

ただそれが、幼少の頃他人の人生を見たり体感したり、生活面で支障が出るレベルだったとかそういうのまでは知らなかっただけで。

(でも、ルネさんの言い方だと大がかりに医者を集めてフィライラ・ディルネさまを診せたようだから、きっと上層部では知られている話なはず……)

本格的に隠して医者に診せていたならそれこそルネさんが独断で話すなんて処罰覚悟でしょうからね。

今回だってフィライラ・ディルネさまが罰を与えると一言あればそうなるでしょうが、王家に秘匿されているのか、多くの人が知っているけれどただ言わなかったのかで秘密の度合いは大きく異なってきますから。

いくつか考えられることとしては……そうですねえ、フィライラ・ディルネさまを心配するように装って、婚約を破談に持って行きたいパターン?

それともフィライラ・ディルネさまがご存知ないだけで、ユナ・ユディタという人物はとんでもない危険人物でそれこそ国家間の問題になるような人だから、とか?

(……いやまあ、将来的に乳姉妹の義理の妹になるからって他国の王族にあんだけ無礼を働いているんだから既にある意味危険人物だな……)

無知とか無謀とかそういう類の意味合いでの危険人物だということは間違いないと思います。

そして、あまり考えたくはないことですが。

(私がどんな対応を取るかで、私を通してプリメラさまを測ろうとしている……という可能性も捨てきれないのよねえ)

そういう腹の探り合いみたいのはごめんなんですけどね……得意じゃないんで!

だからといって好き勝手される気もありませんから、私としては毅然とした態度で臨むだけです。

ところがルネさんは一層困った顔を私に見せたかと思うと口元を何度かモゴモゴとさせて、私に対して本当に、本当に申し訳なさそうに泣きそうな顔をしたのです。

(……あれ? 深読みしすぎた……?)

いやでもほら! そういう可能性もあるって筆頭侍女としては考えるじゃありませんか!!

だからってルネさんに対して睨み付けたとか冷たい態度とか取っていないんですけどなんでそんな泣きそうな顔してらっしゃるんですかエッこれ私が虐めたみたいな図になってませんかいやいやそんなまさか知らず知らず負けるまいとか思っていたのが顔に出ていた……!?

「実は、ユナが今回いつも以上に張り切っていたのは、クーラウム国のプリメラ王女殿下とその筆頭侍女である貴女様の、仲睦まじい様子を伺って……負けられないと張り切ってしまったのが原因でして……」

「は……はい?」

プリメラさまと私が、なんだって?

いや言われた内容はわかりますが、理解が追いつかないっていうか。

「母子とも、姉妹とも見えるクーラウム国の王女殿下とその侍女は信頼関係も優れており、これからが楽しみであると耳にしたユナは、自分とフィライラ・ディルネさまの方が優れていると言い張って……比べるものではないと周囲に諭され一度は大人しくなったものの、諦めていない様子でした」

つまり何か?

彼女は対抗心であんな態度を取ったと?

いやいやそれはあまりにもお粗末な……え? 本当に?

思わずどんな表情をしていいかわからず困惑した顔をルネさんに向けてしまったことは自覚しておりますが、え、いやこういう時にどうしろと……。

仲睦まじい様子っていうか確かに私たちは仲良しです、ええ、それは胸を張って言えます。いや公言はしませんが。

そこは私も身分をわきまえた行動を取りますよ。TPOは大事です。

「ユナは確かに優秀です」

「……」

「フィライラ・ディルネさまが仰ったように、学問的な意味合いでの頭の良さは持っておりますので、そういった類を任せるに足りる人物だと多くの者が言うでしょう。ただ、あの子を幼い頃から知る人間からすると、人間関係に難があるのです」

あー、うん。

勉強はできるけど、それだけってタイプでしょうか?

前世でもいましたね、いい大学を出ているのに使えない……なんて言われちゃう社員。

私はあまり関わり合いがなかったですが、先輩方が愚痴を言いたい半分だろうなあなんて話半分に聞いていましたがネットとかでもちょいちょい見かけましたしね。

そういう人がこちらの世界でいてもおかしくはない、のかな……?

「だからこそ、彼女は王家の方々から〝乳母の娘〟であり〝知己である子供〟だったことから彼女を知る人々の多い、そしてユナのことを理解している人間の側で働かせることが良いだろうと考えていました」

成る程、目の届く範囲ならフォローできるだろうっていう親心的なやつだったんですかね。でもそれじゃあ本人の為にならないのでは。

私がそう思ったことはルネさんにも伝わったのでしょう。彼女も苦い顔をしながら頷きました。

「……そういったことが彼女の悪い部分を助長してしまったのだと、王家の方々はお考えでした。ですからフィライラ・ディルネさまも物理的に距離を取ってユナがまだ生きやすいマリンナル王国で暮らしてくれたらと願っているのですが……」

当の本人は何も感じていないと、まあそんな感じなんでしょうね。

ルネさんが言葉を濁してもバレバレですよ!!

「フィライラ・ディルネさまの関係になるとユナは暴走すると思われておりますが、本質はそこではないのです。問題はユナの性格、性質なのだとわたくしは思うのです。……フィライラ・ディルネさまは、ご婚約者さまのお言葉に甘えてことが丸く収まるならばとご自身が大切にしてきた商会の一部を差し出す覚悟でございますが、ユナにそれが伝わっているとは思えません」

ルネさんの言葉に私はちょっと引っかかりを覚えました。

商会の一部とは穏やかではありません。先ほどは、船だと仰っていたような……それをレンタルとかそういう意味で捉えていたのですが、これはもっと複雑そう?

(この件については後ほどセバスチャンさんと協議をするべきですね)

それにしても、きっと今日に至るまで、言葉を尽くしてユナさんは説得されてきたんじゃないでしょうか。そこで留まってくれたら大勢が満足する結果になったでしょうに。

「ですから、わたくしは思うのです。今回で自分たちの方が、絆が強いのだと多くの方に認めてもらいたいと考えるユナは……フィライラ・ディルネさまのあの態度に諦めるのではなく、 好敵手(ライバル) として貴女さまに直接挑戦しにいくのではないか……と!!」

身内としてはそれでもと思うでしょうが、他者が関わるならなんとかしてくれよと思ってしまうのは私が彼女たちと親しくないからですね。

大変だとは思うけど。

大変だとは思うけど!

こっちにそのしわ寄せが来るのは、ノーセンキュー!!

なんだ 好敵手(ライバル) って! 在りし日の脳筋公子かっていうんですよ!!