軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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若干の、こう……醜態を晒した夜もなんとか乗り越えて!

どう乗り越えたのかって!?

最終手段、なにもなかったことにして話をする……は私の心がもたなかったのでとりあえずアルダールの笑いが落ち着くのを待ってから、仕切り直してもう少しだけ話してそれぞれ部屋に戻っただけです。

うん、話し合っている間もアルダールが時々笑いを堪えているのを私は知っていますよ……知っていますが突っ込んだら危険な気がしたので思い出し笑いされようが何だろうがそこは恥ずかしくてもスルー! スルーを決め込んだってわけです!!

勿論、割り当てられた部屋に戻った私がベッドに突っ伏したのだとしてもしょうがない。これはしょうがないんだ……。

で、まあそんなこんなで翌日です。

もうそこは吹っ切ろう!

朝食はみんなで食べましたけれど、やはり今日の出立は厳しいとのことでした。

なのでもう一泊この街で過ごし、明日祭り会場に向けて出るから見物でも何でも好きに過ごそうねっていうキース・レッスさまのお言葉でしたけれど……祭り会場で奥様と合流のご予定だということも仰っていましたので楽しみなのでしょうね。いいなあ、夫婦仲が良いお姿は見ていてこちらも微笑ましいよね。

メレクもまだお会いしたことがないですけどオルタンス嬢といつかは仲睦まじい姿を見せてくれるでしょうし、姪か甥が生まれたら私もきっと可愛がりますよ!

まあ弟夫婦に嫌われない程度に、ほどほどに。ええ、心に誓っておきましょう。

前世、職場にいたパートのおばさまがついつい手と口を出し過ぎて嫌われちゃったなんて重たい話をなぜ今思い出した私……!

「それじゃあユリア、とりあえず街の広場辺りがにぎやかだって話だよ」

「あ! はい!!」

「寒くない?」

「ええ、大丈夫です」

まぁそんなこんなでメレクはキース・レッスさまに連れられて、交易の盛んなこの街の見学として交易所を見に行くんですって。

私とアルダールは街の人々の様子を見てくる……とまあ別れて行動するんですよ。

賑やかなところに行くにあたって私も旅行用の姿ですから問題ないですが、貴族の人間がうろちょろしていて平気なのかとか心配事は当然あります。

城下ですとそれなりに何処に行っても衛兵は立っていますしやはり治安の良さは国内イチですよね!

勿論、領地ごとに違いがあるのも理解はしております。が、正直領主側が助成金を出せるところとか兵を出せるとかには限界ってものがあることもよく知っておりますので……まあそういう点でファンディッド領とセレッセ領を比べるのはちょっと比較対象にならないのかもしれないんですけど!

「この街は冒険者ギルドもあって、治安は良いと聞いているよ。助成金が出ているから地元の自警団とこの街出身の冒険者たちが協力しあって祭の時期は特に巡回しているというしね」

「そうなんですね……!」

さすがセレッセ領、全くもって比較にならないってことだけはわかりました!

まあファンディッド領でも自警団がそれぞれの村とか街にあるってことは聞いてますしお父さまが色々と助成金をどうしようーって頭を抱えていたことも覚えているのできっとどこの領地でもやっていることなんでしょうね。

でもそうか、冒険者ってそういうことも請け負ってくれるんですね。

ついつい前世のイメージ的なものが先行して、遺跡の発掘とかモンスター退治とか商人の護衛とかそういうものを想像してしまいがちですが……世の中そこまで世界を揺るがす魔王が現れたりとかありませんしね!

モンスター退治はやはり辺境の方ではあるんでしょうが……メッタボンも経験があるって言ってたし。

「どうせだったらお祭り用の服とかでも見繕ってみる? 交易が盛んだって言うなら、商店街もさぞかし賑わっているだろうし。祭りを目的に貴族たちもよく来るそうだから、きっとそれなりのランクの店があると思うんだ」

「えっ!? いえ、大丈夫ですよ。私もお祭りの予定までは考えておりませんでしたから、その……そんなに持ち合わせもありませんし。後程請求を届けてもらってもいいんですが、この地で王女宮筆頭侍女という名前にどれだけ信頼度があるかはわかりませんし。私の顔を知る人も少ないでしょうから」

「まあ地元の商店はともかく、リジル商会があるだろうからそっちでは大丈夫じゃないかな? ……というか、こういう時は私におねだりしてくれてもいいんだけれどね?」

「えっ」

「まあキース殿に全部押し付ける、というのもアリだと思うけれどね」

「だ、ダメですよ!?」

「ふふ、わかってる。冗談だよ。あの人にそんな借りを作ったら後々まで面白がられること間違いなしだからね」

それはどういう意味だろう?

アルダールに服を買ってもらうだなんて新年祭の時にすでにしてもらっているからこれ以上は申し訳ないじゃない! だって服だけじゃなくてアクセサリーまで貰ってるんですからね……!!

貰ってばかりはフェアじゃない!

とまあ口に出すとまた可愛くないなと自分でも思うし、気にすることないって言われてしまうのが目に見えているのでここは大人しくしておきますけれども。

ふふふ、私がいつまでも墓穴を掘り続ける女と思ってくれるな!

(……ってここ最近よく思っている気がするけど、成功している気がしないのはどうしてだろう……?)

アルダールが一枚上手なのか、私がまだまだ恋愛経験値が低すぎるということなのか……或いは両方!?

いや両方だったらこれ縮まるのかしら……。

「どうかした?」

「いいえ。何かプリメラさまとディーン・デインさまへのお土産になるようなものが見つかると良いなと思ったんです」

「ああ、そうだね。後でキース殿に聞いてみようか、さすがにディーンには何でもいいとまでは言わないけれど、王女殿下にはそれ相応の質でないと」

「ええ」

そこは否定しない。となると、やっぱりリジル商会を覗いて他にも気になるお店を見て、ってところかしら。

セレッセ領といえば有名なのは織物と、それに伴って服飾系。

でもそれでお土産って言われると難しいのよね……?

この街もやはり交易が盛んということでそれなりの大きさということもあって、そういう品もきっと豊かなはずですが……うーん、美しい布で作られたコサージュとかどうでしょう。ちょっとしたお出かけの時とかに良さげですよね!

ああでもできればディーン・デインさまとお揃いのものの方がプリメラさまはお喜びになるのかもしれない。悩ましい!!

それにどうせだったらメイナとスカーレットにもお土産を買ってあげたいなあ、折角お祭りなんだし。

お祭り会場で買った方が良いのかしら?

「ちょっと人が多いね」

「そうね、私たちのように足止めを喰らった人も大勢いるでしょうから……」

さすがに街一番の宿屋、繁華街からもほど近くて少し歩いただけで大きな賑わいです。

しっかりと舗装された道に、綺麗に雪かきされているこの整った街並み。今日は幸い昨日の雪が嘘のように快晴でしたので、朝市も少し離れた方に見えました。

まああちらは街の方々が利用するのでしょう、ちょっと覗いて見たい気はしますがアルダールに迷惑はかけれませんし貴族令嬢としての振る舞いじゃありませんからね。我慢我慢。

……余分なお小遣いもないし!

「あ、広場の中心にある噴水は飾られているみたいだ」

「まあ。じゃあ見に行きましょうか」

「そうだね、祭りの関連なのかな」

商店街と広場ってどうして密接な関係にあるんでしょうね?

いいえ、人が集う場所という点で共通しているのだからおかしなこともないのでしょうけれど。

城下町にもありますからね、人々の憩いの場でありデートの待ち合わせの定番です。

ファンディッド領にもこういうのができたらいいのになぁ……ってアルダールについついそんな話をしていたら、近くにいた厳つい男の人が私たちの方をまじまじと見ていることに気が付きました。

アルダールはとっくに気が付いていたのでしょうが相手にするつもりもないのでしょう。

私をさりげなくその相手から遠ざけて、「行こうか」と小さく私に促しました。

「ちょっとそこ行くお二人さん、待っちゃくれねえかな?」

勿論アルダールの提案に頷いた私だったんですが、どうしてこう……わざわざ相手から来るんですかね!

なんだか嫌な予感がします!!