軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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楽しい時間だった……!!

キース・レッスさまは本当にお話が上手で私もメレクもすっかり引き込まれちゃいましたよ。

それにしてもアルダールが近衛隊に入隊した頃の話とか貴重でしたね……ちょっぴり得した気分です。

だけど、それに加えてあの方爆弾発言をしましてね?

「パーバス伯爵殿はどうやらウィナー殿に興味があるようだからな。もしかすれば孫にあの英雄のご息女を落とさせる気なのかもしれないよ?」

ですって!! ウィンクが様になっているっていうキース・レッスさまにもびっくりですけど、その内容にも二度びっくりという……まぁ、表情には出しませんでしたが。

ここに来ていきなりミュリエッタさんですか!

それは想定外もいいところですよ……いやまあ、ウィナー家も貴族社会入りをしたのですからどこかの家や派閥と交流があったってなんらおかしな話ではありません。が、こんな身近なところから話が出てくると思いませんでした。

いや、身近でもないけど?

親戚には違いないけど限りなく遠い親戚?

「それにしてもあのご老人の元気なこと! 孫もあんなに大きいというのに未だ爵位を譲らず元気なことだ。まあ、社交界は息子に任せたようだけれどね」

「そうなのですね」

「だがご子息は社交界がお好きではない、と来たもんだ」

「……キース・レッスさまはパーバス伯爵さまと親しいので?」

「いいや?」

にやり、と笑ったその顔は楽しいおもちゃを見つけた猫のようだ、と思いました。

この方はやっぱり、なんていうんでしょう? 好戦的? そんな感じがします。可愛い猫を被った虎、でしょうかね?

私の方を見たまま笑う姿のそのからかうような表情には、ミュリエッタさんのことも含められている気がしてなりません。ちょっと深読みしすぎでしょうかね。

「ユリア嬢はあれだな、考えすぎのきらいがある」

「え?」

「思考するのは悪いことじゃない。考えナシに突っ走る方が周囲に迷惑になるからね。それにユリア嬢は自分の考えを外に出し過ぎることもない。侍女としては実に有能だと私も思うよ」

「ありがとうございます」

「だが、一人で考えすぎるのは良くないよ。たまにはアルダールにも頼ってやって欲しいものだね」

「アルダール、ですか?」

えっなんでそこで彼の名前が出てくるんですかね?

思わず聞き返してしまった私に、キース・レッスさまが笑った。

メレクの方は何とも言えない表情をしているのがちょっとなんだか、そうよね! 姉の恋愛話とか付き合わせちゃってごめんね!!

「そうそう。男ってのは頼られたいものなんだよ。特にしっかりした女性相手だと手が出せなくて困ってしまうから」

「……そういう、ものですか?」

「そういうものさ。アルダールはなかなか我儘だろう? 迷惑をかけていないかな」

「いえ、いつも優しいです」

「そうかい? 可愛い後輩だから心配なんだ。すまないね」

くすくす笑いっぱなしのキース・レッスさまが、私へのアドバイスのようなものを終えてメレクの方を向いて今度はオルタンス嬢の近況を伝えるなど細やかな気遣いを見せてくれました。

へぇーオルタンス嬢って刺繍が得意なんだ……今度メレクにプレゼントしてくれるんですって!

嬉しそうにしちゃってまあ。微笑ましいですね、うんうん……メレクも大きくなりました!

って親みたいなことを思ってしまいましたが、ついついね。

うん、離れて暮らしてるせいか私もメレクの成長に驚かされてばっかりなんですよ。もうすっかり背だって私を追い抜く感じですし……。

夏の社交界デビューの時はまだ私の方が高かったんですよ? 半年くらいで抜かれるだなんて……成長期の男の子ったらもう! 小さい頃なんて本当に泣き虫で私の後ろを付いて歩いてたのに。

今やお嫁さんをもらう立場で、義理のお兄さんから色々話を聞いてる姿を見るなんてねえ。

(それにしてもアルダールを頼る? ミュリエッタさんがパーバス伯爵さまと面識がって何を相談するの? うーん、キース・レッスさまったら何を言いたかったのかしら)

確かにまあ、私は考えすぎているかなって自分でも最近思っているところなのでそこは直したいと思ってはいるんですが。

それとアルダールに相談ってあんまり繋がらないなあ。

基本的にここ最近で悩んでるのって侍女の仕事とか、ミュリエッタさん関係ですしね?

侍女の仕事に関しては私は責任者の一端を担っているんですからあんまり頼るわけにはいかないし、相談するならまず上司の統括侍女さまにでしょうし。

ミュリエッタさんに関してはあれですよ、前世云々の部分が問題だからそれこそ相談は無理ってものです。

(それに、ミュリエッタさんがパーバス伯爵さまと顔見知りになったからってアルダールと私にどんな問題が起こるのかって問われても何も思いつかないし)

だとしたらそこは悩み損な気がするんですよね?

ただ単純にもっと小さなことから恋人らしく甘えてあげてねってことでしょうか、察するに!!

……いや、だとしたら頑張ってる最中なんでそこは大目に見てもらいたいっていうか。

もしかしてアルダール、キース・レッスさまに相談とかしてたんですかね!?

そんなことはないって思いたい!!

(やっぱり、アルダールに手紙を書こうかな)

もし行き違いになっても、後で笑い話になるよね。

キース・レッスさまが来たこととか、びっくりしたよって……まあパーバス伯爵さま関係はさらっと流す程度にしよう。

後はメレクの成長とか、お父さまと歩み寄れたよって話とかを書きたいな。

アルダールが、家族と歩み寄れたのが私のおかげだと言ってくれたなら。

私が家族と歩み寄れたのも、きっと彼のおかげだと思うんですよ。

色々“良い子”でいちゃった私がいけないんだけど、それがわかっていて目を背けていた部分に向き合うきっかけになったのは彼とのお付き合いだし、彼が頑張って色々私の為にしてくれたことが嬉しかったから……私も頑張ろうってやっぱり思っているわけですし。

そういえばそういう感謝って伝えたことがなかったなあ。

それも手紙に書いてみようかな。……無理。あ、無理だ恥ずかしいわそれは。

私がそんな葛藤をしている間にお父さまがパーバス伯爵さまを伴ってサロンに来られて、キース・レッスさまがまた笑っているのに笑っていない笑顔で挨拶をするとかパーバス伯爵さまも友好的とはとても言えないような笑みを浮かべて挨拶を返すとか、そんな雰囲気になったりとかして解散になりましたよ……。

そういうの、よそでやってくれませんかね!

ちょっと心の中で言ったとしても私は悪くない。

キース・レッスさまはメレクと一緒に客室へ行かれましたし、私は手紙でも大人しく書くことにしましょう……。

まだプリメラさま宛のお手紙、書き終えてませんからね!

はぁ、心を穏やかにしなければ。

(この後の食事会とか、和やかに終わればいいのだけれど)

エイリップ・カリアンさまがキース・レッスさまを睨んでいたりとそういうことを思えば、単純に和やかな会食になるとはとても思えませんけどね!

あ、なんだかちょっぴり胃が痛くなってきました。

お父さま、もしかしていつもこんな感じで過ごしてるんですかね……?