軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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そして迎える年末。明日から新年祭。

城内は夜という時刻と、帰省時期によって人が少なくなっていることも相俟ってなんとなくしぃんとしている。

勿論、警備の方は人員が変わらないので安心・安全の王城です!

けれど、人々の間で賑やかさはすでに始まっているのか、城下の方に町明かりが煌々といつもより輝いているのが、王城の窓からでも見える。年明けの瞬間とか、前世と違ってカウントダウンみたいなのはないんだよね。

ただ、メッタボンいわく深夜帯になってテンション上がった人たちが花火を打ち上げては巡回の警備兵に捕まって叱られるというのが恒例らしいけど。

やっぱり人が集まると、そういうことになるんでしょうねえ。

私は王城の中で過ごすばかりで、実は年末の城下とか行ったことないんだけど。

実家のファンディッド子爵領はほら、平和な田舎だったからなあ……花火上げるよりも村々でお酒飲んでる年寄りのイメージがなあ……メレクの代でもうちょっと村から街に発展したりするんだろうか?

まあ、私はあののんびりした風景もいいと思うけどね!

新年祭も初日が一番盛り上がるとされているけど、私としてはその数日後で十分。

みんなが落ち着いて穏やかに「新年おめでとう」って言い合えるくらいテンションが戻った頃にお祭りを楽しむスタンスです!!

勿論、テンション最高潮の時は最高潮の時で熱気とか色々楽しい雰囲気もマックスなんでしょうけどね。

そういうのはちょっと離れたところで見るとか、前世でもテレビで十分っていう性格でしたので……別に引きこもりではない。

「ユリアさん、準備ができたそうですぞ」

「あぁ、セバスチャンさん。ありがとうございます、今行きますね」

そして我が王女宮では年末の王城で、秘密の会合が開かれるのです!!

いえ、公にできないだけで危険なこととかは一切ありませんよ?

侍女やメイドとかほかの使用人とか、彼らが帰省している中でも一番人数の少ない日。

私とセバスチャンさんとメッタボンの三人だけが残る日……!!

この日、私たちは本来でしたら許されない、プリメラさまとテーブルを共にしての夕餉をとるのです!

メッタボンも張り切っていろんな料理を用意し、セバスチャンさんも張り切ってお茶を用意する。

そして仕上げは私のデザート、というのが恒例です!

初めの頃はもっと人数も少なかったですし、全く城内にメイドとか使用人がいないわけではありません。ですので単純に日中ヘルプを頼んで夜間だけメッタボンとセバスチャンさんが受け持ってくれる、という形をとってるんですね。

まあ、王女宮も今では少々人数も増えましたが……この体制でまだ今年もいいでしょうと我々は思ったわけですよ。メイナも無事帰省ラッシュの中馬車に乗っていく姿を見送りましたし、スカーレットはまだ戻ってきませんし?

当初は遠慮しまくっていたセバスチャンさんとメッタボンも、プリメラさまのうるうるおめめでの攻撃にはあっという間に陥落しましたからね! あれは可愛かった……。

なにせ、私たちからするとなんとも恐れ多いことですが、私たち王女宮の人間をプリメラさまは家族のように思ってくださっているんです。

私は当然『かあさま』で、セバスチャンさんはおじいちゃん? そしてメッタボンは親戚のおじさん?

まあそんな感じでしょうか。恐れ多いことですけど、嬉しいことですよね。

身分問題とか色々あるんですけど、プリメラさまに「こんな時でもないと一緒にごはんとか食べれないでしょ……?」って上目遣いでお願いされたら聞いちゃうでしょ!?

勿論、よその宮とかほかの人にバレないように秘密です。ですから秘密の会合です。

「お待たせいたしました」

「おう、ユリアさま。こっちの準備は万端だぜ!」

「相変わらず美味しそうですねえメッタボン」

「美味そう、じゃなくて美味いンだよ!」

にひひと笑うメッタボンが嬉しそうに笑う姿も、それを見守るセバスチャンさんも、早く早くとせかすようにテーブルで待つプリメラさまも、あー愛しい。

私たちのこうしたささやかで、大切な行事はいつまでも続くわけじゃないけれど、こうして今年も無事終えられることはとてもありがたいことなんだなあ、と思いました。

何せ今年は色々ありましたから。

モンスターを間近に見て、走馬燈が見えたりとかね!! あんな経験はもうなくていいや。

「本日のメインディッシュはおれ特製! ローストビーフとタンシチューだ!」

「わあ!」

「それではこちらもとっておきの茶葉を用意いたしましたので」

「相変わらずこの時のために二人とも張り切りますねえ」

「そういうユリアさまはどうなんだよ」

「ユリアのケーキは?」

「ふふふ、そちらは最後にお出しいたします」

サラダにメインディッシュに、本来ならコース料理が供されるテーブルに所狭しと並ぶ料理の数々を取り合い分け合い、祈りの言葉を捧げて食べる。

一般家庭なら何気ない光景ですが、私たちにとっては特別な光景で、大切な光景です。

プリメラさまが正式に社交の場に出られるようになったその時が、この秘密の会合も終わりだねと大人組で話し合い済みです。プリメラさまは残念がられるでしょうが、いつまでもこのようにはできませんから。

本音を言えば、私の方が残念だと思ってますけど。侍女としても、王国の貴族としても、そしてプリメラさまを想う一人の人間として、うん、子供の成長は喜ばなくちゃ。一緒のテーブルで一年に一回のお食事ができなくなるからって一生離れ離れとかじゃないし!

ちなみに、私たちの秘密はこれだけじゃありません。

新年祭、家族や恋人に贈り物をするここ最近できた風習……それになぞらえて、私たちはプリメラさまにめいめいプレゼントを用意してお渡ししているのです!

去年、メッタボンは飴細工でした。鮮やかな花束状の飴細工とか職人かと突っ込みたくなりました。セバスチャンさんはミッチェラン製菓店のオーダーメイドケーキでした。あなた方本気がちょっと行き過ぎてない? って思いましたが、まあプリメラさまお相手と思えば仕方ないのでしょう。

私ですか。私は愛情たっぷりの、手作り金平糖を用意しました! キラキラして綺麗とお喜びいただきましたよ!!

今年は羽ペン一式を贈らせていただくことにしております。ディーン・デインさまにいっぱいお手紙をお書きになるでしょうから。寂しい気持ちもありますが、このユリア、プリメラさまの恋を精一杯応援致しますからね。

ちなみに内緒ですが、ディーン・デインさまとは私今も文通しております。学園に通うことになったらプリメラさまにお手紙を書くけどご様子を知りたいからとかなんとかかんとかと、あとアルダールのことをよろしくお願いしますみたいなことが最近内容的には多いんですが……え? 私アルダールをお婿にもらうんですかね? 送り出しちゃう父親みたいな心境なんですかね? カオスですね。

アルダールにはこのことは内緒にしてますけど、多分まあ彼のことですので察しているんじゃないかなあ。微笑ましいって思ってるんじゃないでしょうか?

まあそれはともかくとして、今年も色々ありました。

けれども大変だった分、もっとたくさんの幸せにも巡り合えた気がします。

後輩たちの成長も、自分の恋愛も、プリメラさまの健やかなご成長と育っていく恋心と。

あれ? むしろおつりが来そうな勢い!

とか言ってるとろくなことがないので、これ以上は心に秘めておくべきでしょう。

メッタボンの料理も、セバスチャンさんのお茶もとても美味しかったです。

そして私から特製の、アイスティラミスケーキをお出ししてみんなで笑いあって。

「えへへ、今年もプリメラのわがままを聞いてくれてありがとう、三人とも」

笑ってくれるプリメラさまがいてくれるなら喜んでー!

「今年一年、ありがとう。明日からも、またよろしくね?」

「勿論でございます」

「今夜はこのセバスチャンめが夜警につきますでな、ご安心してお眠りください」

「明日の朝はおれ特製のモーニングセットだから楽しみにしていてくださいよ、姫さま」

どうか、これからの一年も楽しい年になりますように!

そして年明け早々、私の勝負はそこから始まるのですよ……!!

女ユリア、レベルを上げて参ります!