軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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おばあちゃんに泣いて甘やかされて心機一転での侍女生活は気持ちも新たに快適です。

いや意味が解らないな?

思わずセルフツッコミしちゃう勢いですが、まあわかったことがありました。

私は甘えるのが下手であること。

大人だ大人だと思っていましたが、ただ色々我慢してきただけでした。

だから、これからは他人にもう少し甘えていこうと思いました。

……小学生の作文か!!

とまあこんな感じです。いつも通りですね、通常運転ってやつです。でもなんだか色々すっきりしたのは確かなんですよ。

ちなみに、例のハンスさんの件ですが一応本人に確認が取れた結果、『その内自分の名前で面会できるようお願いしてみる』程度に約束したんだそうです。

まさかミュリエッタさんが勝手にハンス・エドワルドさまの名前を使って私に対し面会を申し込むとは思っていなかったとのことでアルダール経由で正式に謝罪をいただきました。

当然、統括侍女さまにも私から報告いたしましたところ監視の目を強め、より令嬢としての基礎を叩き込むとの力強いお言葉をいただけましたので胸を撫でおろした次第です。

で、まあそういう反省やら経緯を踏まえて……とうとう来ましたよ、生誕祭の日です。

おかげさまであの日以来、きっと勉強が忙しかったんでしょう。ミュリエッタさんの姿を城内で見かけることも、見かけたという話も聞きませんでした。なんて平和なことでしょう。

おかげで心安らかに生誕祭当日を迎えられましたよ!

とはいえ、特別な日だからって当日バタバタすることはむしろないです。

事前にきちんと準備に準備を積み重ねた総仕上げですからね!

我々使用人は日が昇るよりも前に起きて準備の開始です。

いつもより少し早い時間にプリメラさまにご起床いただき、寝ぼけているプリメラさまにお茶をお出しして、御髪を整えて。それからしっかり朝食を召し上がっていただき、だんだん目が覚めてきたプリメラさまに今日の段取りを再確認していただく。

それから儀式用のドレスに御着替えいただいて、お化粧をほんの少しだけ。

この段階で美少女が超美少女になったんだけど、そこに加えて王太后さまから譲り受けたアクセサリーを身に着けるとかもうエクセッレェェェントォ!!

超絶美少女の完成です!!

雪の精、天使、ああもうなんと表現したら伝わるのかしら!?

真っ白なドレスに豪奢な金の髪を編み、華奢なデザインのアクセサリーを身に着け、あどけなく笑うその姿はもう……もう!!

「とてもお美しいですよ、プリメラさま」

「本当? 嬉しいなあ、ありがとう! いつもより大人っぽく見えるかな?」

「はい、とても素敵なレディになられましたよ」

「ふふ、嬉しい!!」

無邪気に喜ぶプリメラさま可愛いです、癒しですね!

さて、ここからはまず大聖堂に移動して大司教さまからの洗礼を王家揃って受けられて、大貴族たちの前で陛下がお言葉を述べ、王太子殿下が続いてお言葉を述べ、儀式の開始です。ここまで来ると私たち侍女の出番はありません。控えの間で大人しく待つのがお仕事になります。

その後、貴族たちからの祝いの言葉があってプレゼントの目録読み上げがあって、それから城下を一周するパレードがあって、ぐるりと回ったら今度はバルコニーに出て王家一同が揃ったお姿を国民に見せて陛下がありがたいお言葉を述べられて……っていう流れになります。

そして小休止という名のお色直しをしてからパーティに行く、という流れなのです。

このように朝からびっちりスケジュールが詰まっているので食事もまともにとれるのは朝だけです。

パーティが終わった後も時間は取れるでしょうが、プリメラさまは毎回疲れてすぐ寝ちゃいますからね……成長期の子供には辛い話ですが、これも王家の一員としての務めなのです。

明日はプリメラさまのお好きなものをご用意いたしますからね……!!

「それじゃあ行きましょう!」

気合を入れたプリメラさまを先頭に、今年もそれは恙なく。

そりゃまあそうだ、流石に毎年の事ですからね。

王妃さまとは相変わらずちょっとぎくしゃくしてるけれども最近ではあんまりチクチク言われなくなったみたいだし、やっぱりディーン・デインさまとの婚約が調いそうっていうのも大きいのかなあ。

お嫁に行っちゃう子にまでやっぱり意地悪くしちゃうのは大人としてカッコ悪いとかそういうのがあるのかもしれない。

なんせ、後宮筆頭がそっと最近教えてくれたんだけど本当は王妃さま、最近じゃあちょっとやり過ぎだったのかなあって後悔してるんだとか……。

私は立派な王女になってもらいたいという気持ちからの行動や態度だと知っていますが、急に優しくされたらプリメラさまは戸惑ってしまうでしょう。

そう考えたら今更態度を変えるのは確かに難しいでしょうね……。

(年頃の娘を持つ母親の悩みとはまた違った悩みなんだよなあ。間を取り持つべきか否か……いや、勝手をしちゃだめよね!)

まあ、私みたいな使用人が主君筋の複雑な家庭環境に首突っ込んでいいとは流石に思ってませんので。

そこの所は身の程を弁えておりますよ! まあプリメラさまに『かあさま』って呼んでもらってるのは私ですがね……ふふふ。

プリメラさまに関してのみは侍女としても個人的な感情からも頑張らせていただきますけど!!

しかしプリメラさまの事ばかり案じている場合でもありません。

滞りなく儀式が終わってパレードまで済んだら私はそこで退室です。

その後は今休んでいるセバスチャンさんに引き継いで私が休みに入るわけですが……アルダールとの待ち合わせまでにイブニングドレスに着替えていつでも出られるよう準備を済ませなければなりません!

今回はただ観劇に行くだけでなく、その前にミュリエッタさんたちの所へ行って挨拶をしなければならないのですから。ああ胃がちょっときりきりしますね!!

いえ、前回はアルダールのおかげで乗り越えられたんですし。

今回こそ大人の淑女として、そして何より“私らしく”ミュリエッタさんと対峙するべきですね。

キャットファイトとかは無理だと自覚しましたし、再確認もしました。でも……なんでしょう、絶対言葉にはしませんが!

アルダールの事が私も好き、です、ので?

譲る気はこれっぽっちもないと言いますか? 言わないけど?

アルダールが彼女を選ぶというならそりゃ私に問題があるのかなと思いますけど、黙って略奪される気はないんですよ!!

ただまあ、前回弄した策とも言えない策のおかげで今後会うことも減るだろうとは期待してますけど。

それでも、“一代貴族となった英雄男爵の息女”という立場で今後王城に足を踏み入れる権利は彼女も持ったわけですから。

どこかのサロンに入る可能性も当然ありますし、そうなれば男爵位よりも高位の方と知り合ってそこから……みたいな流れだって予想できるでしょう。貴族の横の繋がり関係でアルダールだって断れないお茶会とかに招かれてそこに彼女が! とか!! ないとは言い切れない。

でもまあ、前回会った時くらいの礼儀作法とか考え方だとちょっとまだどこのサロンでも珍しがって一回二回呼んでもらえるかどうかって感じかなあと私は思ってますけども。

そういう意味ではミュリエッタさん、結構危ない感じなんだよなあ、こっちがハラハラしちゃうわ。

あそこからどう教育係さんが頑張ったのか、今日その結果を見ることが出来ますね。

ちょっぴり残念なのが、美しくて可憐で愛らしい私たち自慢の!(ここ強調)

プリメラさまをパーティ会場で見かけたミュリエッタさんの反応を間近に見られないのがね。直接言葉を交わすことはないでしょうし、ミュリエッタさんはゲームの記憶の中にある『プリメラ』のイメージでいるでしょうし、騒動を起こすこともないでしょうが……。

声高に『あんなの違う!』とか言い出すほど愚かではないでしょう。多分。

私に関しても“野暮ったい眼鏡の侍女”というイメージからちゃんと今回は貴族令嬢としての姿を彼女にお目にかけたいと思ってますよ!

そのためにおばあちゃんにも協力してもらったんですし、リジル商会を利用してちょっと奮発したドレスも買ったし! 既製品だけど。良く聞く高位令嬢のオーダーメイドとかじゃないけど。

僻んでない。いいんだ、既製品にだってすごく良いものはいっぱいあるんだから。それにおばあちゃんがちょちょいと手を加えてくれたんだからオンリーワンです!

お財布のダメージ?

いえいえ、こういう女の戦いでは大事な出費です。

……大事な出費です。

いいんです! 新年祭の時、ちょっとだけ、ええ、ええ、本当にちょっとだけ!

財布の紐を絞めればいいんですからね! こう、きゅっとね!!