軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

253 ノアの秘めたる力……?

夕食後、食器の後片付けはイドリスさんとトーマスさんがしてくれ、その間にオリビアさんとレティちゃん、メフィストが先にお風呂に入る事に。

「ほらほら、どうしたハルト~? これで終わりかぁ~?」

「むぅ~……!」

「はるくん、がんばってぇ~!」

《 はると~! がんばれぇ~! 》

今僕たちが何をしているかと言うと、広いリビングの真ん中で、ソファーに座るイドリスさんと、テーブルを挟んでハルトが腕相撲している真っ最中。

腕相撲と言っても、イドリスさんは指二本でハルトの相手をしている訳なんだけど……。

「あぁ~……! まけちゃいました……」

テーブルにくたりと突っ伏して、ハルトはとっても悔しそうだ。リュカが近くに飛んでいき、がんばったねぇ、と声を掛けている。

「ハハハ! どうだ、ハルト~! オレもなかなか強いだろう~?」

「はい! とっても、つよいです!」

すごい! と目をキラキラさせて見つめてくるハルトに、イドリスさんもふふん、と満足気。トーマスさんはユウマを抱えながら、ハルトがまたむきむきになると言い出さないか心配しているみたいだけど。

「ユイトくん、本当に頂いてもいいんですか?」

「あ、はい! 元からそのつもりだったので!」

ソファーに座りのんびりその光景を眺めていると、隣に座るコンラッドさんが申し訳なさそうに尋ねてくる。

コンラッドさんが言っているのは、僕が家から持参した 醤油(ソーヤソース) やミリン等の調味料の事。

残ったらイドリスさんに使ってもらおうと、小瓶に分けて持って来たんだけど。

どうやら調味料を使うのは、コンラッドさんになりそうだ。

「他にもレシピを教えて頂いて……。ハンバーグのレシピまで! ありがとうございます……!」

「いえいえ! これとかイドリスさん好きそうですよね?」

「ふふ、そうですね。意外と子供舌なので大好きだと思います」

サンドイッチやハンバーグの他にも、オムライスやフライドチキンの作り方を書いて渡してある。お米の炊き方も、僕が王都から帰ってきたら教える約束をした。

大事にしますね、と笑みを浮かべるコンラッドさんに、僕も少しだけ相談したい事が……。

だけど少し恥ずかしいし、どうしようかなと思っていると、ソワソワしている僕を見て察したのか、噂の 彼(カレ) との事ならいつでも相談に乗りますよ、とこそりと耳打ちし微笑んでいた。

うぅ……。よろしくお願いします……。

*****

「ハァ~! とってもいいお湯加減だったわ~!」

「とっても、きもちよかった……!」

「あ~ぃ……」

お風呂から上がったオリビアさんたちが戻ってくると、こちらを見るなり口を開けて呆然としている。

「これ、どういう状況……?」

「なにがあったの……?」

「あ~ぅ~……?」

それもその筈。僕たちの目の前には、真っ二つに割れたテーブルが無残な姿で取り残されている……。

そして仁王立ちしてこんこんと説教するコンラッドさんと、頭を下げて反省中のイドリスさんとトーマスさん。

「おじぃちゃんと、いどりすさん、しょうぶ、してました……」

「どっちもねぇ、しゅごかったの……」

《 てーぶる、われちゃった…… 》

《 びっくりしちゃったの…… 》

ハルトたちから説明を聞き、オリビアさんは深い溜息。横にいるレティちゃんも呆れ顔。

「あなた達……。もうヤンチャする年じゃないでしょう……?」

「「すまん……」」

反省している様子のお二人だけど、真っ二つになったテーブルを見て、オリビアさんはまた深い溜息を吐いた。

《 これ、ぼくなおせるよ~! 》

僕の肩からふわりと飛び、仁王立ちしているコンラッドさんの目の前に飛んでいくノア。

「なおせる……、とは?」

「は? 直せると言ってるんですか?」

「まじか……」

トーマスさんの言葉に、仁王立ちのコンラッドさんも、隣で反省中のイドリスさんもポカンとしている。

《 これ、 き(・) だもん! ぼく、とくい~! 》

みてて~、そう言うと、ノアはテーブルの上でふわふわと飛び、小さな両手を翳した。

《 再生(リジェネレイション) 》

可愛らしい声で囁くと、割れたテーブルの断面からシュルシュルと、まるで生きているかの様にうねうねと蔦の様な物が生えてくる。

伸びてきた蔦が折れた片方のテーブルを掴むと、接着する様に断面を包み込んだ。そして淡く光ったと思ったら、瞬く間に元の大きなテーブルに戻ってしまった……。

本当に一瞬の出来事に、トーマスさんもイドリスさんたちも言葉を失っている。

「ノア……、すごいね……」

まさかノアに、こんなに凄い力があるなんて……。

《 ほんと~? ゆいとにほめられた~! 》

《 よかったねぇ~! 》

《 わたしもほめられた~い! 》

次々と聞こえてくる可愛らしい声とは対照的に、あまりの衝撃に僕もオリビアさんたちも、暫くその場を動けなかった。

ちなみに、元に戻ったと思ったテーブルは、元よりも少しだけ大きくなっていたらしい。これもご愛敬だ、とイドリスさんはノアをたっぷり褒めていた。