軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

18 サンドイッチとユイトの異変

「それじゃあ、行ってくる。帰りはいつになるか分からないから、オレの飯は用意しなくていいぞ」

「わかりました。トーマスさん、よかったらコレ、お昼にでも食べてください」

今朝はトーマスさんが冒険者ギルドに向かうため、僕はいつもより少し早起きしてお弁当を作っていた。

オリビアさんはまだ寝てるけど、昨夜ちゃんと許可を貰ったから問題ない。

「これは?」

「ギルドは隣の街にあるって言ってたけど、お腹空いたらいけないなと思って。中身はサンドイッチなんですけど」

サンドイッチの種類は、全部で三つ。

ライ麦パンに レタス(レティス) とトマト、ベーコン。それにゆで卵を挟んだシンプルなもの。マヨネーズかタルタルソースがあればよかったんだけど、これでも十分美味しいと思う。

もう一つはライ麦パンに レタス(レティス) と焼いた鶏肉、チーズを挟んでみた。これも照り焼きソースがあればもっと美味しくなるはずだ。

最後の一つは、でっかく焼いたふわふわの玉子焼きを丸々挟んだ玉子サンド。塩と胡椒を使いたいけど、少し高いって聞いたから今回は断念。玉子焼きの切れ端を味見したけど、味が濃厚でビックリ。素材の味って大事だと確信した。

ロールパンがあればそれを使いたかったんだけど、昨日ユウマが食べてしまったから仕方ない。パン、大好きだからね。

足りないといけないからと各種類を三つずつ作ったんだけど、一つずつが大きいから流石にちょっと多かったかも……。

サンドイッチは、母の代わりに家事を手伝っていたときによく余りものの野菜を挟んで作っていた。あの時はライ麦パンじゃなくて食パンだったな、と懐かしく感じる。

「こんなに作ってくれたのか! ありがとう、大事に食べるよ」

「えへへ。多めに作ったんで、感想聞かせてください」

「わかった、昼が楽しみだ。行ってくるよ」

「はい、行ってらっしゃい! お気を付けて」

トーマスさんは大事そうにお弁当を抱え、ギルドへと向かった。

サンドイッチを食べる為にお腹を空かせたいからと、隣街まで徒歩で向かうとも言っていた。

そんなに期待されると緊張しちゃうんだけどな……。

嬉しそうなトーマスさんに、僕は何も言えなかった。サンドイッチ、気に入ってもらえるといいんだけど……。

時間もあるし、オリビアさんたちが起きてくる前に、僕もお店の掃除しちゃおうかな。

今日は朝食のあと、オリビアさんと一緒にお店の食材を買いに行く予定だ。

卵と牛乳が無くなりそうだから、練習にちょうどいいわねって。ハルトとユウマはおりこうにするっていう約束をして、一緒に連れて行くことになった。

本当は僕一人で行ければいいんだけど、まだちゃんと店の場所を覚えてないし、お金の種類が違うから不安なんだよなぁ……。

まだまだたくさん覚えないといけないから、頑張らないと。

*****

「ふぅ……! これくらいかな?」

店の掃除がきり良く終わったところで、オリビアさんたちが起きてきた。いつの間にか、店内にも朝日が射し込んでとても明るい。

「おはよう、ユイトくん。あら、朝食も作ってくれたの!? ありがとう~!」

「おはようございます、オリビアさん。昨日の使いかけがあったんで、先に使っちゃいました」

「いいわよ! とっても美味しそう~! 早く食べたいわ~!」

「ふふ、ありがとうございます。準備しておきますね」

あんなに嬉しそうにしてくれると、こっちも嬉しくなっちゃうな。

「おにぃちゃん、おはよ……」

「にぃに! おはよー!」

「二人ともおはよう。ご飯できてるから、顔拭いておいで」

「「はぁーい」」

ハルトはまだ眠そうだけど、ユウマは買い物に行くからか目がパッチリ冴えてるようだ。二人とも寝癖がぴょんとはねていて可愛らしい。

朝食はトーマスさんの分と一緒に作っておいたサンドイッチ。

種類は一緒だけど、食べやすいように一口大に切り分けてある。あと生クリームも見つけたので、ホイップにしてデザート感覚で食べれるようにバナナと オレンジ(オランジュ) のフルーツサンドも用意した。

「んん~!? これ、すっごく美味しいわ!」

「おにぃちゃん、たまごの、もいっこ、たべたぃです!」

「にぃに~! ゆぅくん、ふるちゅちゃんど!」

「はいはい。みんな、落ち着いて食べてください」

なにやら好評のようで一安心。

特にオリビアさんはまだ食べ足りない様子だったので、急遽追加で作ったがそれもペロリと食べてしまった。

こんなに食べる人だったっけ? まぁ、美味しいならいっか。

牛乳を飲み終えて、皆で一緒にごちそうさま。

一息ついたところで、オリビアさんに相談があると切り出した。

「なぁに? なんでも聞いてちょうだい?」

心配そうに見つめるオリビアさんに、僕は意を決して聞いてみる。

「……えっと、今朝、目が覚めてから急になんですけど……」

「えぇ、どうしたのかしら?」

オリビアさんは優しく聞いてくれる。

「……食材を見たら、その横辺りに名前とか……。美味しく食べれるレシピ? が、浮かんでくるんですけど……」

僕、どこかおかしいんでしょうか……?

それを聞いたオリビアさんは顔の前で両手を組み、そのまま俯いて黙ってしまった……。

心配そうに、僕とオリビアさんを交互に見るハルトとユウマ。

無言のままのオリビアさん。どんどんと不安だけが募っていく。

やっぱり僕、どこかおかしくなっちゃったんだ……!