軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

83.家畜を飼おう(1)

色んなお手伝いがなくなって、私はのんびりとした生活を送っていた。木を彫って食器を作ったり、家の細かい部分を機能的にしたり、日々気になったことをこなしていた。

そんなある日、夕食の買い物に行った時だ。いつものように肉屋に寄ると、肉屋のおじさんが店の外に出て何やら運んでいた。

「おじさん、こんにちは!」

「おお、ノアちゃんか。こんにちは」

「何を運んでいるの?」

「これか? これは鶏だ」

柵の檻の中には三羽の鶏がいた。視線を外すと、近くには牛もいるのが見える。

「その鶏と牛はどうしたの?」

「話によるとだな、鶏は卵を産まなくなったし、牛は乳を出さなくなったんだ。だから、肉として売られたんだよ」

「へー、そうなんだ」

卵と乳が出なくなったから肉に変えるなんて、世知辛い世の中だね。この子たちは本当にそんな状態なんだろうか? ちょっと鑑定をして調べてみよう。

年齢 二歳

状態 栄養失調により卵を産めなくなった

年齢 四歳

状態 栄養失調により乳を出さなくなった

鑑定をして見てみたら、どうやら栄養失調で卵と乳が出なくなってしまったらしい。そんなことで肉に変えるなんて勿体ないな……卵と牛乳か、ぜひとも欲しい食材だ。

卵と牛乳があれば料理の幅がぐんと広がるし、二人に美味しいものを食べさせられることが出来る。今まで作れなかったあれも、これも作れるから、ぜひとも欲しい。

「ねぇねぇ、その鶏と牛を私に売ってくれない?」

「ノアにか? いや、しかし……世話は大変だぞ。それに、卵と乳を出さなくなったから、育てたって無駄になるかもしれないんだぞ」

「その子たち、栄養失調みたいなの。だから、美味しいものを食べさせれば、また出すようになるよ」

「それは本当か? うーん」

肉屋のおじさんが腕を組んで悩み始める。お願い、私に売って! そんなことを思っていると、おじさんがこちらを向く。

「こいつらを世話するには小屋が必要だ。それをどうにかすることは出来るか?」

「小屋を作ればいいんだね。もちろん、大丈夫だよ!」

「そうだよな、ノアは一人で家を建てたんだしな」

おじさんはまた悩んだ顔になった。どうだろう、ダメなのかな? お願い、私にその牛と鶏を売って頂戴!

「よし、分かった! ノアに牛と鶏を売ろう!」

「本当!? やった!」

「ちゃんと約束は守るんだぞ。小屋を作って、しっかりと食べ物を与える。これが出来なかったら、死んでしまうからな」

「うん、分かった。ちゃんと世話をするし、しっかりと食べさせるよ」

おじさんは私の傍に鶏が入った檻を置き、繋がれていた牛を引いてきた。

「ほら、この紐を持って連れていくんだぞ」

「うん、ありがとう!」

「鶏はどうやって持っていく?」

「魔動力で浮かせて持っていくよ」

私は代金を支払うと、おじさんから牛に繋がれていた紐を譲り受けた。

「何か困ったことがあったら、すぐに相談するんだぞ。家畜の世話は大変だからな、無理だと思ったらすぐに手放すんだ」

「ありがとう。私は手放さないよ、そのためにお世話も頑張るから」

「やる気十分って訳か。なら、立派に育ててみろ!」

おじさんに激励された私は牛を引き、鶏を宙に浮かせて家へ持ち帰った。

牛と鶏を家の外に連れて帰ると、すぐに体の状態を調べた。牛に元気はなく、黙って立っている。顔を見てみると、少し頬がこけているように見えた。

鶏もそうだ、元気がない。鳴き声を上げないどころか、動きがとても鈍い。早くどうにかしないといけない。今の状態を鑑定で調べてみよう。

状態:空腹、脱水

状態:空腹、脱水

やばい、空腹状態だ。早く何かを食べさせないといけない。私は地魔法で石の囲いを作ると、その中に牛と鶏を入れた。鶏は檻の外に出したんだけど、元気がなくて座り込んでしまった。

少しでも口に入れる物を出そう。地魔法で石を出して、水入れを牛用と鶏用に作る。その中に水を入れて、様子を見た。すると、水に気づいた牛がのっそりと動いて、水入れから水を飲み始めた。

鶏は水には気づいてくれなかった。なので、私が石の囲いの中に入り、鶏を水入れの前に誘導する。だけど、それだけじゃ飲まなかったので、手を水に濡らしてくちばしを濡らしてあげた。

そこでようやく水の存在に気づいたのか、鶏が水を飲み始めた。なんとか、脱水で倒れることは免れたかな。あと必要なものは餌だ。

牛の餌は分かる、草や牧草、とうもろこしや大豆や麦がある。食べ物が沢山あるはずなのに、この牛はどうして栄養失調になったんだろう?

栄養、栄養か……もしかしてとうもろこしとかの作物の栄養が足りないんじゃないんだろうか? だったら、草よりも先にそっちの餌を与えたほうがいいかもね。

鶏の餌はとうもろこしも大豆も麦も食べる。後はやさいのくずだったりかな。牛とあんまり変わらないね。ということは、とうもろこし、大豆、麦を収穫すればいいんだね。

「よし、まずは作物を育てよう」

家の中に入り、木箱の中に保管しておいた種を取り出す。とうもろこしに大豆に麦、これでよし。種を持って外に行くと、畑へと直行する。

畑に指で穴を空けると、その中に種を入れて土を被せる。作業を繰り返していき、全ての種を植えることが出来た。それから、地面に手をついて魔力を高めると、植物魔法を発動させる。

すると、種から芽が出て、作物は一気に成長をする。とうもろこしは立派な実がなり、大豆は大きな莢が出来て、麦はいっぱいの実がついて穂が垂れさがっていた。

まずはとうもろこしをもぐ。実をしっかり持って、手前に倒すとポキッという音と共に実が採れた。それを繰り返していくと、十本くらいの実を収穫することが出来た。

次は大豆だ。大豆は実が青々としているので、これを乾燥させないといけない。茎を手で握ると、乾燥魔法を発動させる。すると、青々としていた葉っぱや実が茶色く変色し、枯れていくのが分かる。カラカラに乾燥させると、大豆の完成だ。根こそぎ引き抜いておく。

最後は麦だ。これは脱穀しないといけない。風魔法で鎌のように麦の茎を全て切ると、乾燥魔法をかける。その後に束にして脱穀機の近くに運ぶ。他の収穫した作物も一緒に持ってきた。

次は脱穀だ。足踏みで突起のついたローラーを回すと、穂をローラーに当てる。すると、突起が麦の実だけを弾き飛ばしてくれた。これを全ての麦の脱穀が終わるまで続ける。

時間はかかったが、全ての麦を脱穀することができた。あとは散らばった麦を一か所に集めて……いけない、入れ物を持ってくるのを忘れていた!

慌てて家の中に戻り、大きな木の器を持って脱穀機の近くまできた。山になった麦を手ですくって、木の器に移していく。何度か手ですくうと、全ての麦を入れ終えた。

木の器を抱え、作物を魔動力で浮かせると、それらを持って家の中に入っていく。次はこれらを使っての餌作りだ。