軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

29.今後の畑

冒険者ギルドを出た私たちは宿屋の食堂にいた。食事を取りながら、今後の相談をしていく。

「イリスはどうやって魔物を倒そうと思っているの?」

「聖魔法に攻撃魔法があるんです、だからそれで倒そうと思います」

「イリスは魔法使いかー」

聖魔法の攻撃魔法かどんな攻撃があるんだろう?

「ちなみにどんな攻撃があるの?」

「ホーリーアローっていう矢で攻撃する魔法があります」

「じゃあ、中距離から遠距離攻撃ができるってわけだ。近距離のクレハとは役割が違うから、良いんじゃないかな」

「ウチは近くにいかないと攻撃が当たらないからな」

近距離のクレハと中距離以上のイリスか……うん、良い感じだと思う。それにイリスは回復役だから、後方にいたほうがいいだろう。

「イリスのことはウチが守ってやるから、心配しなくてもいいぞ!」

「なら、私はクレハの傷を癒してあげますね」

「良いコンビになりそうだね」

「二人で有名なコンビになるぞ!」

「えー、そういうのはちょっと」

勇者と聖女か、良いコンビになりそうだ。私も一緒にいければいいんだけど、私にはやることがあるし、無理そうだな。その内、何かのきっかけで行けるといいね。

「そうだ、私たちがいなくなると畑仕事は大変になるんじゃないんですか?」

「そのことを忘れていたぞ! ノアは平気か?」

「うーん、そうだね。二人がいなくなるのは大変だけど、その分収穫量を減らせば大丈夫だとは思うよ」

「でも、それだと男爵様が言っていた食糧問題の解決ができないのではないでしょうか?」

「収穫が減ると食べるものが減る……これは大変なことだぞ!」

収穫が減るのは大変なことだ、男爵様もコルクさんも残念がるだろう。でも、こればかりはどうしようもない。作物を作るのも収穫するのも私しかいないんだしね。

「この問題を解決するにはどうすればいいんでしょうね」

「うーん、ウチらがもう一人ずついれば」

「そんなの無理ですよ」

そうだなぁ、収穫する手が増えればいいんだし、誰かの協力を得たほうがいいのかもしれない。

「村の中で収穫を手伝ってくれる人を募集すればいいんだけど、手伝ってくれる人がいるかな?」

「その手がありましたね。早速募集をしてみましょうよ」

「どうやって募集するんだ? 一人ずつ聞いて回るのか?」

募集か……張り紙をして、っていっても材料はないし。やっぱり口頭で伝えて募集をしたほうがいい。でも、どうやってやればいいんだろう?

「大声で村の中を歩くとかもあるぞ」

「大声で……なんだかそれは恥ずかしいですね」

「じゃあ、一軒一軒回って聞いてみるか?」

「怪しい人だと思われませんかね」

確かにそれしか手段はないけれど、他に何か手段はないかな。うーん、と三人で悩んでみる。

「あら、難しい顔をしてどうしたの?」

「あ、ミレお姉さん」

「ウチら魔物討伐をすることになったんだけど、畑仕事がノアしかできなくなるんだ」

「私たちの代わりに畑の手伝いを募集しようと思ったんですが、どうしたらいいか分からなくて」

「まぁ、それは大変ね」

ミレお姉さんは驚いた顔をして、一緒に考えてくれる。

「この村は食糧不足になっているから、畑仕事はとても重要だと思うわ」

「そうなんだよね。でも、私たちも自分たちの生活のために魔物討伐は必要だから、問題解決が難しくて」

「そうね……そうだわ! 男爵様に相談してみたらどうかしら?」

男爵様に相談? そんな相談しても大丈夫なのかな?

「私たちみたいな人が相談しても大丈夫なの?」

「もちろん、大丈夫よ。男爵様は気さくな方だから、村のためなら一肌脱いでくれると思うわ。それは、ノアちゃんだって分かっているでしょ? この村に来た時は厳しい人みたいだった?」

「ううん、気さくな方で一緒に食事をしてくれたよ」

「でしょ? なら、相談事だって受けてくれるわよ。大丈夫よ、もしダメでも相談したくらいじゃ怒られないから」

ミレお姉さんがそんなにいうんなら、男爵様に相談してみようかな。厳しい感じはなかったし、きっと大丈夫だよね。

「男爵様に相談してみます」

「うん、その方がいいわ。作物がとれなくなったら本当に大変なことになると思うから、きっと力になってくれるわ」

ちょっと不安だけど、悪いようにはならないだろう。明日、屋敷に行ってみよう。

翌朝、宿屋で朝食を食べた後に男爵様の屋敷に行った。久しぶりに行った屋敷、一度行ったはずなのに傍にいるだけで圧倒された。この村で一番大きな建物なので、入るのを躊躇ってしまう。

「行きましょう、ノア」

「行くぞ、ノア」

「う、うん」

二人の先導でようやく足が動く。門番の居ない門を通り過ぎ、庭を抜けて屋敷の前にたどり着く。屋敷の出入口の横には大きな鐘に長い紐がぶら下がっている。これを鳴らせばいいんだろうか?

紐を引っ張って鐘を鳴らす。ガランガラン、と大きな音が木霊した。

「これで誰か来るかな」

「来なかったらまた鳴らそう。次はウチが鳴らすぞ」

「クレハは思いっきりやりそうだから、嫌です」

しばらく待っていると、扉がゆっくりと開いた。中からはあの時見た執事のおじさんが出てきた。

「おや、あなたたちは。今日は何か御用ですか?」

「男爵様に畑のことについて相談があるんです。もしよかったら、お話させてください」

「なるほど、畑のことですね。少々お待ちください、今聞いて参ります」

そう言った執事は一度扉を閉めて、男爵様に聞きにいった。

「良かったな、話を聞いてもらえそうだぞ」

「まだ、分かりませんよ。もしかしたら、ダメかもしれません」

「できれば、話を聞いてもらいたいなぁ」

三人で喋りながら待つ。十分過ぎた頃だろうか、扉が開いて執事のおじさんが現れた。

「お待たせしました。レクト様がお話を聞くそうです、食堂にお越しください」

「ありがとうございます」

執事のおじさんに連れられて、私たちは屋敷の中に入っていった。ホールを抜けて廊下を進むと、両扉の部屋の前に来る。その扉を執事のおじさんがノックをした。

「レクト様、客人を連れてきました」

「よし、入れ」

声が聞こえて扉を開けると、大きなテーブルに男爵様が座っていた。

「丁度食事が終わったところだ、そこのイスにかけてくれ」

男爵様に促されて正面の席に座った。

「さて、畑に関して相談があるということだな。お前たちが畑仕事を頑張ってくれているお陰で、食糧難のこの村は救われた、まず礼を言おう」

「いえ、そんな」

「畑でとれる作物のお陰で、俺も少しは潤っている。今は他の畑で取れる野菜は決まっているからな、それ以外の野菜がとれるのは本当にありがたいことだ」

会って早々お礼を言われるとは思わなかった。恐縮していると、男爵様はそれが分かっているようで苦笑いをする。

「気張らなくてもいい、楽にしてくれ」

「ありがとうございます」

「さて、そんな大事な畑の相談事だ、とりあえず話を聞こうじゃないか」

どっしりと構えた男爵を前にした私たちは決意して口を開く。