軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

229.海の魔物討伐(3)

海面に浮かぶ私たちはいい標的だ。マーマンたちは船の上にいて攻撃しづらい人間を襲うより、海面にいる攻撃しやすい私たちを標的にした。

海中から私たちの姿を確認すると、無数のマーマンたちが集まってくる。そして、一斉に海面に向かって泳いできた。勢いよく飛び出たマーマンたちは私たちに向かって銛を突き出す。

だが、その銛は聖なる壁によって弾かれた。きっと、こんな筈では……と思っているに違いない。仕方なく海中に戻ろうとしたところに、私の張った罠に引っかかる。

水上歩行の魔法をかけられたマーマンたちは海中に戻れず、海面に打ち上げられてしまった。突然のことで焦り出すマーマンたち。なんとか海中に戻ろうとするのだが、海から弾かれて海中に潜ることができない。

マーマンの足はヒレになっているため、立ち上がることはできない。そのまま海面でジタバタと暴れる魚と化した。そこに、クレハの剣が襲い掛かった。

ろくな抵抗もできず、マーマンたちはクレハの剣によって討伐されていく。剣で切られたマーマンたちはぐったりと横たわり、海面に浮き上がって動かなくなった。

そして、海中にいた仲間のマーマンたちが次々にやられていく同士を見て、怒り、さらに私たちを標的に定めて襲い掛かってくる。それが例え、私たちの思惑通りだとしても。

「まだまだ、来るみたいだぞ!」

「聖なる壁を固くします!」

「水上歩行の魔法の準備は終わってるよ!」

まさに入れ食い状態。次々と海面に上がってくるマーマンたち。攻撃を防ぎ、水上歩行の魔法を駆使し、海面に打ち上がったところをクレハがトドメを刺す。

こうなれば、もう流れ作業だ。海面には無数のマーマンたちの死体が浮かび、辺りは赤い血で染まっている。数十体は倒したと思う。

「凄いぞ、嬢ちゃんたち!」

「こんなにマーマンたちを討伐できる日が来るなんて!」

「このまま根絶やしにしてくれ!」

離れたとところで見守っていた大人たちが声援を送ってくれる。その声援を受けて、さらにやる気を漲らせた私たちは飛び出してくるマーマンたちを討伐していった。

次第に襲ってくるマーマンたちの数は減っていき、とうとう海面に上がってくるマーマンたちはいなくなってしまった。

「全然来なくなったぞ。海中の中でも見てみるか?」

そういったクレハは顔を海中につけて中を見た。

「ぷはぁっ! マーマンの姿がどこにもなくなったぞ!」

クレハの声を聞き、他の大人たちも箱を使って水中を確認した。

「本当だ、マーマンたちがいなくなっている」

「ということは、逃げたのか? それとも全部倒したのか?」

「どっちかは分からないが、ただ一つ言えるのは……無数のマーマンたちを嬢ちゃんたちが倒してくれたってことだ」

どうやら、マーマンたちはいなくなったらしい。それを確認した大人たちは沸き立った。

「こんなに早くマーマンたちを倒せるなんて、夢みたいだ!」

「あんなに倒したんだ、しばらくはマーマンの脅威は来ないに違いない!」

「こんなに喜ばしい日はない! 宴だ、宴を開くぞ!」

沢山のマーマンを倒して、みんな喜んでくれたみたいだ。それを見ていた私たちも嬉しくなって、ハイタッチをかわす。

「みんなの役に立てたみたいだね」

「へへっ、勇者らしいことができたか?」

「また平和に戻って良かったです」

海に平和が戻ったみたいだ。これでまた、みんなと一緒に遊べる。それが嬉しくて笑っていると、ハインさんとガイルさんが乗った船が近づいてきた。

「三人とも、やってくれたね。まさか、こんなにマーマンを倒せるなんて思わなかったよ」

「……凄いな」

「これだけ討伐できれば、しばらくマーマンの脅威はなくなるだろう。礼を言うよ」

二人に褒められて、私たちは嬉しくなった。魔物討伐をしてこんなに喜ばれることは初めてだから、クレハとイリスはとても嬉しそうにしている。

「さぁ、村に帰ろう。救世主を祝う宴も開かなくてはいけないからな」

「救世主だなんて、そんな……」

「へへっ、ウチらが救世主」

「なんだか照れちゃうね」

村の救世主だなんて、そんな大層なことはしてないのに。でも、祝われて悪い気はしない。

私たちは自分たちの船に乗り込むと、村へと戻っていく。

船で桟橋のところに戻ると、そこには大勢の村人が集まっていた。みんな心配して集まってきたみたいだ。私たちは手を振って健在をアピールすると、桟橋に急いだ。

桟橋について船を固定してから、船から下りる。すると、船に乗った大人たちが声を上げた。

「誰一人、欠けることなく戻ってきたぞ! しかも、今回は数えきれないほどのマーマンを倒せた!」

「ここにマーマン討伐の立役者がいる。村の外からやってきたこの子らがマーマンを討伐してくれたんだ!」

「しばらくはマーマンの脅威は来ないだろう。マーマン討伐を祝って、みんなで宴をするぞ!」

大人たちの言葉に待っていた村人たちは沸いた。それだけ、この村にとってマーマンは脅威だったに違いない。みんなの中心にされた私たちは村人たちに囲まれて感謝をされた。

色んな人から声をかけられていると、エリックお兄ちゃんが人をかき分けて前に出てきた。

「本当にお前らがやったのか?」

「もちろんだぞ!」

「ノアの作戦勝ちです」

「沢山討伐したから安心してね」

「ははっ、魔物を討伐するように見えなかったお前らがな……凄いじゃないか!」

質問に答えると、エリックお兄ちゃんは私たちの頭を順番に撫でた。

「こうしちゃいられない。今日の宴の準備をしなくちゃな。三人とも、料理に期待してくれよな!」

それじゃあ、とエリックお兄ちゃんは足早に去って行ってしまった。エリックお兄ちゃんの力の入った料理か……どんなものが出てくるか楽しみだ。

私たちの周りにいた村人たちも宴の準備をしに散っていき、その場には子供たちが残された。その子供たちはようやく私たちの周りに集まると、驚いた声を上げる。

「ノアたちが魔物を倒したって本当か!?」

「うん、本当だよ」

「すごいわ! 子供で魔物が倒せるって!」

「へへっ、凄いだろ!」

「怪我とかない? 怖くなかった?」

「怪我もないですよ。ちょっと怖かったですけどね」

子供たちからは矢継ぎ早に質問された。その質問に答えていると、子供たちの中からトールが飛び出してきた。トールはクレハの肩に腕を乗せると、強く引き寄せた。

「魔物を倒したんだって? やるじゃん、クレハ!」

「ウチの戦う姿、トールに見せたかったぞ!」

「あぁ、私も見たかった! 詳しい話を聞かせてくれよ!」

トールもクレハも嬉しそうに絡んでいる。仲のいい子に褒められるのはとびきり嬉しいだろうなぁ。無邪気に笑うクレハがとても印象的だった。

すると、周りにいた子供の中からケイオスも前に出てきた。近づくのはもちろんイリスのところだ。

「イリス! 魔物と戦ったって本当か!?」

「はい。怪我もなく無事に帰って来れました」

「どうして、そんな無茶なことをするんだ! もし、何かあったら……」

「そんなに魔物討伐に行って欲しくなかったんですか?」

「そ、それは……そうだろ」

こちらはちょっと怒っているみたいだ。まぁ、子供が魔物討伐をするなんて普通は考えられないよね。わざわざ危険な目に合いに行くなんて言うのは、心配以外の何ものでもない。

二人は黙って俯いた。イリスは心配させてしまったことを悩んでいて、ケイオスは心配する気持ちと無事に戻ってきた喜びで複雑な心境なのだろう。

ここは間に入ったほうが良さそうかな?

「ケイオス、心配してくれてありがとう。勝手に魔物討伐に行ってごめんね。でも、こう見えてもイリスは魔物討伐を沢山してきたんだよ。だから、魔物が現れたって聞いて、いてもたってもいられなかったみたい」

「イリスが魔物討伐をしていたことは聞いていたけど……」

「イリスはみんなのことを考えて、魔物討伐をしようって決めたの。だから、魔物討伐をしてきたことを叱るよりは、無事で帰ってきたことを喜んで欲しいと思うんだよなぁ」

私がそういうとケイオスはハッとした表情をしてイリスを見た。イリスは思ったような反応がなくてとても残念そうにしているように見える。それを見て、困ったように頭をかいたケイオスは気まずそうに口を開く。

「その……悪かった。心配だったんだよ。魔物討伐してくれて、ありがとな」

「……はい!」

照れた様子で感謝をすると、イリスの顔にも笑顔が戻る。そんな二人にクレハとトールが近づいて、肩に腕を回す。

「無事だったからいいじゃないか! 宴の前に、私らだけで三人を祝おうぜ!」

「宴ってどんなものか分からないけど、楽しみなんだぞ!」

「今は私らだけで盛り上がろう!」

トールの声かけてみんなが盛り上がった。魔物討伐をした私たちは囲まれて、いっぱい祝われた。こんなに祝われたことがないから、私たちは照れながらもとても嬉しい気持ちだった。

この後に行われる宴……一体どんなものになるんだろう。