軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

183.遊び場を作ろう(2)

子供たちと遊び道具を作ると約束した私は、その遊び道具を置く場所を確保するために男爵様の屋敷を訪ねた。

「ノア、久しぶりだな。元気でやってるか?」

「はい、お陰様で元気にやってます」

「それで、今日は相談があると言っていたな」

執務室に通された私は、男爵様と向かい合わせのソファーに座り話を始める。

「新しい魔法を覚えたので、それを使って子供たちの遊び場を作りたいんです」

「ほう、新しい魔法を覚えたのか。どんな魔法なんだ?」

「物を作る魔法になります」

創造魔法のことをしっかり教えるよりも、ちょっとはぐらかして魔法のことを教えた。何もないところから物を作ったら驚くのは目に見えているし、詳しい説明をできるか分からない。

まぁ、嘘は言っていないから問題ないよね。

「物を作る魔法か。どんな魔法か知りたいから、ここで見せてもらうことはできるか?」

「うーん、いらないものとかありますか? 素材がないと、作るのは難しいです」

「なら、この木の板を使って何かを作ってくれ」

机に乗っていた木の板をこちらに渡してきた。その木の板には文字が書かれているけれど、これはもういらないってことかな? じゃあ、心置きなくこれを素材にして物を作ろう。

「じゃあ、この木の板でコップを作ります」

「こんな薄い木の板でコップを? 本当にできるのか見ものだな」

「やります」

木の板をテーブルの上に置いて、私は手をかざす。そして、創造魔法を発動させた。すると、木の板が光りその形をどんどん変えていく。そして、光が収まる頃にはそこには木の板を素材にして一つのコップが完成していた。

「これは……うん、本当にコップができている。なるほど、これが物を作る新しい魔法か」

出来立てのコップを手に取って、男爵はまじまじとコップを観察する。

「あの木の板からこんなコップができるのか。確かに物を作る魔法みたいだな」

「魔力を沢山使うので、一日に何度も使えないのが難点なんです」

「なるほど……沢山使えないとなると、あまり実用性がないか? 物の大量生産ができれば、生活の足しになると思ったんだが……そういうことには向かないのかもな」

「売れるほど大量に作れませんね」

大量生産には向かない魔法だろう。それとも、一度の魔法で大量に作成することが可能なのだろうか? それを実行するには勇気がいるな、どれだけ魔力を使うか分からない。

この魔法の真の力は何もないところから物を生み出せることだと思う。だけど、それを教えちゃうとどんなことに使われちゃうか分からない。ちょっと怖くて簡単には話せないな。

「で、この物を作る魔法を使って子供の遊び場を作りたいってことだな」

「はい。その場所を作る許可を貰いに来ました」

「子供の遊び場か……」

男爵様は腕を組んで考え事を始めた。大事な土地を子供の遊び場なんかに作り変えるのは無駄だって言われちゃうかな? ドキドキしながら待ってると、男爵様は口を開く。

「いいぞ」

「本当ですか!?」

「あぁ、子供はこの村の宝だ。今後村が発展していくのに大事な村人になるからな、今の内に村に愛着を持たせた方がいいと思う」

ここは開拓村、人をどんどん増やして大きくしなくちゃいけない。だから、将来大人になる子供が村に留まってくれるように、今から子供のために施しが必要だと考えていたみたい。

「子供の遊び場を作ると、子供はこの村のことが好きになるだろう。人を他所にやりたくないからな、遊び場くらいの場所は作ったほうがいいだろうな」

「ありがとうございます!」

「村のためになっているからな。提案、感謝する」

良かった、遊び場を作る許可を得られた。すると、男爵様がちょっと笑った。

「ノアも子供らしいところがあるんだな。遊び場を作りたいって。ちょっと安心したぞ」

「これは、他の子供たちの話を聞いて、そういうのがあればなーって考えただけで」

「遊び場を作ってみんなで楽しもうと考えていたんだろう? ノアもまだまだ遊びたい盛りなんだな」

むー、私はそんなに遊びたいとは思ってなかったのに。でも、子供相応に見られるのはいいことだよね。怪しまれるよりはましかな?

それから男爵様と一緒に遊び場にしてもいい場所を選んだ。場所は村の中心地と農家の中間地点にある空地になった。ここなら、他の建物が建つことはあまりないらしいし、畑にもしづらいらしい。

十分な広さの場所を確保した私はここに置く遊び道具のことを考える。これだけ広ければ、前世の公園にあった遊具を作れるんじゃないかな? うん、遊具をここに建てよう。

じゃあ、材料が必要になる。木材、縄、金属などなどが必要になるだろう。買ってくることもできるけれど、お金がかかるからできるだけ買いたくない。

というわけで、創造魔法の出番だ。木材は森から切り出すことにして、縄と金属は創造魔法で出さないとない。地面に手を向けて、私は出したいものを想像する。

「むー……出てこい、縄!」

創造魔法を発動させると、手をかざしている地面が光った。その光りが収まると、そこには立派な縄が大量に生成されていた。これだけあれば、遊具を動かす道具に出来るしネットだって作れちゃう。

でも、この創造魔法は一日一回しか使えない。今日は縄だけ出して、続きの作業は明日することになった。

その翌日、遊具を作る場所にやってきた私は早速創造魔法を使った。出すのは木材を繋ぐ役割のある金属だ。それを意識して創造魔法を使うと、光った後に金属のインゴットが大量に生まれた。

「うっ、今回は魔力消費が多いな」

いつも以上に魔力を消費してしまった。どうやら、生成する物と量によって魔力の消費が多かったり少なかったりするみたいだ。でも、昨日の縄のほうが大量に生成したのに、昨日より少ない金属でめまいが起こるなんて……きっと生成する物が難しかったのかな?

今日の作業はこれで終わりにして、また明日続きをやろう。それにしても、一日に一回しか使えないのは不便だな。こんなことなら、しっかりと魔力を高めておくんだった。

そして、またその翌日。私はすぐに遊具を作る場所に行かずに、家の周りで木を魔動力で抜いていた。遊具を作る時に必要になる木材を手に入れるためだ。大量に抜いた木からいらない葉を全て払い落し、マジックバッグ化したリュックの中に入れる。

枝を切り落とす必要がないのが楽でいい。枝も材料として使えるみたいだし、材料としてあればあとは創造魔法がどうにかしてくれる。本当に不思議な魔法だなぁ。

そうして、何十本もの木を抜いてリュックに詰めると、遊具を作る場所までやってきた。その場所に持ってきた木を置くと、これで材料が揃った。あとは作るだけだ。

「よし、まずは簡単な物から作ろう」

複雑じゃない簡単な遊具、それは飛び石だ。飛び石なら木材だけでできるし、それこそ丸太を切って地面に埋めるだけで完成する簡単な遊具だ。

飛び石を作る場所に何本かの木を置くと、その木に向かって手をかざす。深呼吸をして心を落ち着かせると、飛び石を頭の中でイメージする。配置がバラバラになるように、高さもバラバラになるように。

しっかりと頭の中でイメージすると、創造魔法を発動させる。すると、木と地面が光った。その光りが徐々に収縮していき、完全に光が途絶える。すると、その場には地面に埋まった木材が沢山ある飛び石エリアが完成した。

「よし、上手くいった。想像通りだ」

そこには私が想像した通りの飛び石エリアが出来ていた。木材の配置はバラバラだし、高さもバラバラだ。しかも、簡単なものだったらしく、使用した魔力が少ない。やっぱり、作成する物の複雑さで使用する魔力が変わるんだ。

「この調子で次も作るよ!」

まだ魔力は残っている、今日はまだ遊具が作れる。私はすぐに次に作る遊具のことを考え始めた。