軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

171.創造魔法は使いづらい?

魔力切れになって気絶していたところを、帰ってきたクレハとイリスに見つかった私。二人に起こされて、なんとか意識を取り戻した。

「私が魔力切れ……今までそんなことはなかったのに」

なんというか軽くショックだ。賢者の称号のお陰で魔力が潤沢にある状態だと思っていたのに、魔力切れを起こすくらいに魔力を使っていたことに驚いた。創造魔法はかなりの魔力を消費するようだ。

「とにかく、ノアの身に何事もなくて本当に良かったです」

「だな。はじめは寝ているように見えたけど、そうじゃなかったと気づいた時は焦ったぞ」

「二人とも心配してくれてありがとう。もう大丈夫だよ」

「大丈夫だといいますが、魔力が足りない状態だと思います。今日は安静にしていてくださいね」

「そうだぞ、魔力が足りなくなるのは体が辛くなるからな」

二人に心配させてしまった。なんだか申し訳ない気持ちになるけれど、心配してくれたことがちょっとだけ嬉しい。

「今はもう大丈夫だから、夕食を食べようか」

「本当に平気ですか?」

「うん、平気だよ。思ったよりもお腹が空いていたみたいだから、それが辛いかな」

「そういうことなら、早く食べようぜ!」

「そうですね、頂きましょう」

テーブルの上に並べた夕食には時間停止魔法がかかっている。これを解くくらいなら、魔力使わないから平気だよね? 私はそっと時間停止魔法を解除した。体にはなんの変哲もない、大丈夫そうだ。

二人が席に着くと、挨拶を交わして食べ始める。食事を取っていると、ほんのわずかだが魔力が回復していっている感覚があった。食事をしていると魔力って回復するんだ、と今になって気づきがあったのに驚いた。

「二人はさ、食事の時は魔力が回復する感じとかある?」

「食事の時ですか? そういえば、ありましたね。特に昼食時の時なんかは戦闘で魔力を使った後でしたし、少し回復するのが分かりました」

「ウチは良く分からないぞ。でも食事を取ると体が元気になって、魔法も使いやすくなっている感じがするな」

そうか、二人も食事を取ると魔力が回復する感覚があるんだ。だったら、今の私は魔力が全くゼロじゃない状態だと思う。ということは、この後の洗浄魔法も使えるかな?

楽しい食事のひと時が終わると、早速試してみる。

「これから洗浄魔法を使うね。さっきの食事で魔力が少しは回復したみたいだから、魔力切れになることはないと思うんだけど」

「魔力を使うのは危険なんじゃないですか? また倒れたりしたら大変です」

「そうだよなぁ、ノアの体が心配なんだぞ」

「ちょっと試してみたいんだよね。やらせて、お願い!」

手を合わせて二人にお願いしてみると、二人は顔を見合わせた後に苦笑いを浮かべた。

「仕方ないですね、今回だけですよ」

「倒れたら、助けてやるからな」

「うん、ありがとう!」

二人の了承を得た、洗浄魔法を使ってみよう。使い終わった食器に向けて手をかざし、洗浄魔法を発動させる。

「洗浄魔法!」

魔法が発動して、食器についた汚れがみるみるうちに綺麗になっていった。と、同時に少し回復していた魔力が使われている感覚がする。だけど、魔力が枯渇するようなほどではない。

私が魔力不足で倒れるよりも早く洗浄魔法の発動が終わった。うん、洗浄魔法はそれほど魔力を使わないから、今回は倒れずに済んだみたいだ。

「うん、大丈夫だったよ」

「ほっ、良かったです。具合の悪いところとかありませんか?」

「悪いところはないみたい」

「なんともなくて、本当に良かったぞー」

ここで倒れたら大変なことになるから、倒れなくて良かった。そうだ、折角出したチョコレートを放置しちゃってた。

「はい、チョコレートだよ」

「ありがとうございます。このチョコレートを出したせいでノアが倒れたんですね」

「うーん、本当に食べていいのか?」

「もちろん、そのために出したんだから」

食べようか悩んでいた二人だけど、チョコレートの魅力に負けて一口で食べてしまう。すると、二人の表情が蕩けるように笑った。

「うーん、美味しいです」

「こんなの食べたの初めてだけど、これは凄く美味しい物なんだぞ」

「ノアって想像豊かなんですね。こんなものを作り出せるなんて」

「なら、ノアに想像させると他にもできるってことかー」

味わうようにチョコレートを食べた二人。創造魔法は私の想像力で左右されるから、どんなものを出せるのかは私次第になる。何か生活の足しになるものを想像できればいいんだけどなぁ。

「二人はどんなものを出して欲しい?」

「ウチは美味しいものを出して欲しいぞ!」

「私は迷いますね。どんなものがいいのか想像できません」

クレハは分かりやすいけど、イリスは色々と考えちゃうからすぐには答えられないか。

「そういうノアは何か欲しい物とかあるんですか?」

「あったらいいなっていうものは沢山あるよ」

「だったら、ノアが欲しい物を出せばいいと思います。私では何が必要かなんて分からないので」

「ウチは食べ物だったらなんでもいいぞ。あっ、でも美味しいヤツ限定な!」

とにかく、今欲しいものを考えておかないとね。毎日一回は創造魔法が使えるようだし、使わなかったら損だもんね。よし、明日から何を出そうか考えよう。

その後、食後の休憩を挟んで寝る時間まで創造魔法のことを考えていた。いきなり、何でも手に入る魔法を覚えても、まだ活用方法を見出していない。早く、活用できるようになったらいいな。

次の日、いつものように二人を見送った後、家畜の世話をして畑仕事を始めた。小麦の種を撒き、植物魔法を使って成長させ、小麦を刈って脱穀する。いつもの長閑な風景がそこにはあった。

作業中も考えることは創造魔法のこと。一日一回しか使えないのであれば、活用方法は気を付けないといけない。とても貴重な魔法なので、どうやって運用していくのか考えないと生活が豊かにならないな。

作業をしながら、創造魔法のことを考えていると、ふと思い出したことがあった。そういえば、説明に他のことが書かれていたような気がする。

私は一旦作業の手を止めて、ステータスの創造魔法の欄を確認する。

創造魔法:想像したものを物質化する魔法。素材があれば通常よりも簡単に物質化できる。

はじめの説明しか見ていなかったことに気づいた。その後半の部分、素材があれば物質化できるって書いてある。これはどういうことだろう?

今までの創造魔法は何もないところに物を出現させていた。必要なものは想像力と魔力だけで良かった。だけど、説明の後半には素材があれば想像した物質を出現させることができる、と書いてあるように見える。

じゃあ、想像した物の必要な物を用意すれば物質化できるってこと? でも、それって普通に使うより手間がかかるけれど、普通に使うのに比べて何か良いことがあるのかな?

一度、これを試してみないと分からないかも。よし、畑仕事が終わったらこの方法を試してみよう。