軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

151.山菜取り(2)

今日は山菜採りの日、お弁当とおやつを持参して家を出た。

「山菜採り、楽しみだなー。山菜ってどこに生えるんだ?」

「地面とか、木の先に生えてたりすると思うよ。詳しいことは農家の人たちに聞けばいいかも」

「安全に採取できる場所だからいいですね。のんびり楽しめそうです」

目的の森に向かって歩きながら私たちはお喋りをしていた。時期によって採れる山菜も変わってくるし、今の時期ってどんな山菜が採れるんだろうか?

「こうやって村人が集まるイベントは楽しそうでいいな! こういうことがなかったから、どうなるか楽しみなんだぞ」

「私も参加するのドキドキです。失礼がないようにしなくっちゃ」

「そんなに緊張しなくてもいいよ。そんなにかしこまったものじゃないし、もっと気楽にね」

「そうだぞ、イリス。気楽に、なれ!」

「ちょっ、脇をっくすぐるのはっ……!」

変に緊張するイリスに対して、クレハは脇をくすぐって笑わせた。一方的にやられるイリスと、笑わせるクレハ。交流会の前から賑やかなのはいいね。

「もう、クレハったら。そんなことをすると、耳をくすぐりますよ」

「うわー、耳はやめてくれー!」

手をワキワキしながらイリスがクレハを追い、クレハはイリスの手から逃れる。本当に賑やかでいいなー、とほのぼのとした気持ちになった。

「山菜採りはきっと楽しいと思うし、交流するのも楽しみだよね。私は大人の人たちとは一部交流を持っていたけれど、二人はあんまりないよね」

「そうですね、冒険者さんたちとは交流があったんですが、村人との交流はなかったです」

「ウチらは森の中で魔物討伐をしていたからなー、ノアみたいな交流はしてこなかったな。どんな人がいるか楽しみなんだぞ」

二人は魔物討伐をしてきたから、村人との交流は全然してこなかった。この機会に村人やその子供たちを仲良くなって、一緒に遊んだりしてゆとりのある生活になったらいいな。

「あ、森が見えてきたよ。農家の人たちが集まっているね」

道を進んでいると、目の前に広がる森の前に農家の人たちが集まっていた。みんな背中に籠を背負って、話に花を咲かせているみたいだ。私たちもそこへ駆け寄っていく。

「「「おはようございます!」」」

「あぁ、おはよう」

「良く来たね、待っていたよ」

元気よく挨拶をすると、農家の大人の人が反応してくれた。見知った顔もいて、安心した。

「ノアちゃんは分かるんだけど、その子たちが噂に聞くイリスちゃんとクレハちゃんなのね」

「はじめまして、イリスです」

「クレハだぞ!」

「よろしくね。ノアちゃんには沢山お世話になったんだよね」

「去年は世話になったなー。だから、よろしくしてくれると嬉しい」

「はい、こちらこそ」

「ウチらからもよろしくなんだぞー!」

イリスとクレハを見たことのない農家の人たちが二人を取り囲んだ。二人のことは話していたけれど、魔物討伐に行っていたから出会う機会があまりなかった。見たことがある人はいるけれど、見たことのない人のほうが多い。

二人は農家の人たちに温かく迎え入れられた。農家の人に囲まれた二人もちょっとだけ緊張しながらも、しっかりと受け答えは出来ているみたいだ。二人が受け入れて貰えて本当に良かった。

「じゃあ、そろそろ森の中に行こうか」

「みんな集まって、説明するよ」

農家の大人の人が声を上げると、散らばっていた人たちが集まってきた。

「今回の山菜採りは新しい住人との交流会だ。山菜採りに夢中になるのはいいが、交流も忘れないで欲しい」

「あと山菜を採る時の注意点を話すから、良く聞いて守ってね。じゃないと、来年の山菜が取れなくなってしまうの」

農家の人が山菜採りの注意点を話す。私たちは山菜採りが初めてなので真剣に聞いた。注意点は簡単なもので、難しくなくて本当に良かったな。これなら、無理なく守れそうだ。

「それじゃあ、森の中に出発だ」

農家の人がそういうと、みんなが森の中に入っていく。私たちもそれに続いて森の中に入っていった。

森の中は清々しい空気で満ちていて、春のほのかに温かい風が流れている。そんな森の中を賑やかな声が響き渡る。

「あ、あの子! 頭から耳が生えてる!」

森に入ってすぐにクレハの容姿を見た子供が近づいてきた。この開拓村に住んでいる獣人は少ない、というか冒険者くらいしかいないので珍しいらしい。

「わー、本当だ」

「どうして耳がそこから生えてるの?」

「ウチは獣人だからな、人間とは作りが違うんだ」

クレハが気になった子供たちが集まってきた。みんなクレハの耳や尻尾に興味津々で、ジーッと見つめてきている。時折触りたそうに手をワキワキとしていた。

「獣人って初めてみた! ねぇ、どこに住んでいるの?」

「村の外れに三人で住んでいるんだぞ」

「しっぽ、ふさふさー」

「わぁ、尻尾は触っちゃだめだぞー!」

獣人が珍しいのか子供たちが集まってくる。クレハは忙しそうに子供の相手をしているけれど、どこか楽しそうだ。すると、イリスの方にも子供が集まってきた。

「見かけない顔ね。農家の子じゃないの?」

「はい、この村に移り住んできたんです。子供三人で暮しているんですよ」

「へー、そうなんだ。それにしてもあなたの髪の毛って綺麗ね」

「ありがとうございます。触ってみます?」

「いいの?」

どうやら、イリスの金髪に釣られてやってきたみたい。長い金髪を触らせてもらった子は嬉しそうにして、イリスは照れていた。

二人とも順調に溶け込んでいっているみたいで良かったな。私も交流をしておきたいところだけど、ティアナとディルはいるかな?

新しい住人の二人を探していると、両親の後ろにくっ付いて歩いている二人を見つけた。私はそこに走っていき、声をかけた。

「ディル、ティアナ、おはよう!」

「ノア、おはよう」

話しかけるとディルが気が付いてくれて挨拶を返してくれた。だけどティアナは恥ずかしそうにお母さんにくっ付いてこちらを伺ってきている。

「山菜採りに来たんだね」

「うん、楽しそうなイベントだったから来たぞ。って言っても、まだ山菜を見つけてないんだけどな」

「私もまだ見つけてないな。他の人は……あー、見つけている人もいるね」

周囲を見渡すと、山菜を見つけた人がいて嬉しそうに採取していた。遅れを取ってしまった、私たちも見つけないとね。でも、その前にティアナを誘えないかな?

「ティアナと一緒に山菜を探したいんだけど、やっぱり無理かな?」

「うーん、どうだろう。ちょっと聞いてみるな」

ディルはお母さんの後ろを歩いていたティアナに話しかけた。しばらくすると、ティアナの手を引いてこちらに近づいてくる。

「ティアナも一緒に山菜を探したいって」

「……お姉ちゃん、よろしくね」

「うん、よろしく!」

なんとかティアナと話せる位置にまできた。あとは少しずつ距離を縮めるように話しかければいいね。

「じゃあ、山菜を探そうか」

「どっちが先に見つけるか勝負だな。ティアナもやるか?」

「……うん」

どっちが早く見つけるか勝負か、負けられないね。

「じゃあ、開始!」

ディルの一声で私たちは散らばっていった。周囲を見渡して山菜を探し始めた、初めに見つけるのは私だ!