軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

103.三人で森の中を冒険(4)

「聖なる壁!」

イリスがクレハの前に透明な壁を出現させた。それに気づかないホーンラビットは、先頭にいるクレハに向かって駆け出す。そして、地面を蹴って高くジャンプをすると、角を前に出してくる。

カン! カン! カン!

だが、角の攻撃は聖なる壁によって遮られた。一度の攻撃を受け止めると聖なる壁は消えていく。それを分かっていたかのように、クレハは動き出した。

「くらえっ!」

地面に落ちたホーンラビットに剣を突き立てた。一体、二体突き立てる頃には三体目はそれに気づき距離を取る。そこで、イリスがまた魔法を唱えた。

「ホーリーウィップ!」

光の蔦が地面から生えて、ホーンラビットを地面に縛り付けた。身動きが取れなくなったところで、クレハが駆け寄り剣を突き立てる。他に残ったホーンラビットはいない、戦闘が終了した。

「クレハ、他に魔物はいませんか?」

「うーん、音は聞こえないみたいだぞ。潜んでいたら、分からないかも」

戦闘が終了しても二人は警戒を怠らなかった。周囲を注意深く見渡すと、魔物がいないか確認をする。しばらく、そうやって探しているといないのを確認出来たのか二人が私に近寄ってきた。

「もう、魔物がいないので気を楽にしていいですよ」

「本当? ありがとう」

「それじゃあ、ホーンラビットは回収してしまおうか」

手分けして倒したホーンラビットを回収すると、リュックの中に入れた。

「魔石は取らなくてもいいの?」

「素材となる魔物はそのまま提出すれば、魔石分の料金が上乗せされるので大丈夫です」

「処理がなくて楽なんだぞ」

「へー、そうなのか。色々とやり方があるんだね」

解体して中から魔石を取らなくてもいいから、その分楽できるからいいね。

「この周辺には魔物がいないみたいだから、素材採取でもするか?」

「うん、そうする」

「なら、手分けして探しましょう」

辺りに魔物がいないから安全に素材採取が出来そうだ。二人にも手伝ってもらって、素材を探し始める。

魔物討伐と素材採取をバランスよく実行した。二人が手伝ってくれるお陰で午前中だけでもかなりの素材を集めることが出来た。一人だとあんなに多くの素材を集めることは無理だったと思う。

安全なところを探して、今度は昼食の時間だ。大きな布を敷いてお尻だけを乗せると、リュックからお弁当箱を取り出す。

「腹減ったぞー」

「ふふっ、温かいお弁当に温かいパン」

リュックから取り出したお弁当とパンは温かい。お弁当は出来立ての時に時間停止のついたマジックバッグ化したリュックに入れたので出来立てのままだ。パンは昨日作った時に時間停止の魔法をかけて、出る直前にその魔法を解いてリュックに入れたから、ほぼ出来立てに近い状態だ。

「「「いただきます」」」

三人で手を合わせて、お弁当箱を開いた。

「うわぁ、今日はハンバーグだな!」

「色とりどりの野菜が綺麗ですね」

「さぁ、食べよう」

二人はお弁当を開けて歓声を上げた。クレハは大好物のケチャップのかかったハンバーグ、イリスは色とりどりの野菜に目を奪われた。フォークを持って早速お弁当を食べてみる。

まずはハンバーグから。ハンバーグをフォークで一口大に切ると、中から肉汁が溢れてきた。作ってすぐに時間停止のリュックに入れたから肉汁が健在だ。それを口の中に入れると、口の中で肉のうま味が詰まった肉汁が広がる。

「美味しいぞ! あ、ウチのハンバーグは大き目なんだな!」

「本当ですね。良かったですね、クレハ」

「うん! ありがとう、ノア!」

「どういたしまして。沢山食べてね」

クレハは嬉しそうにハンバーグを頬張って、美味しそうに食べてくれた。ハンバーグも美味しいけど、野菜もシャキシャキしていて甘味があって美味しい。感触の違うおかずを交互に食べると永久機関が出来そうだ。

次にパンを食べる。手でさくと湯気が立ち上ってパンの香ばしい匂いが広がった。その匂いを嗅いで、イリスはとても嬉しそうにパンを頬張り始めた。

「焼きたてのパンが食べれるのって凄く贅沢なことですよね。だから、この瞬間が大好きです」

パンの香りを楽しみつつイリスは幸せそうにパンを食べていく。時空間魔法は私たちに幸せを運んでくれた魔法だ。食事をこんなに美味しく食べられるのは、時空間魔法のお陰だろう。

「今度はジャムとか持ってきてもいいかもね」

「おやつのパンにも出来ますし、いいですね。あ、そうしたらパンが足りなくなってしまいます」

「じゃあ、パンの量を増やしてみる?」

「パンもいいけど、肉の量も増やしていいぞ!」

「二人とも、食いしん坊だなー」

「ち、違います。クレハはそうかもしれませんけど、私はっ」

「イリスも十分食いしん坊なんだぞー」

私とクレハで笑い合うと、イリスは恥ずかしそうに顔を赤く染めた。三人が一緒の昼食なんて久しぶりだから、ついつい会話が弾んじゃう。

「そういうクレハはどうなんですか。この間、食べられるか分からない実だったのに食べていたじゃないですか」

「でも、食べられたんだぞ。あの実は辛かったんだぞー」

「へー、辛い実か。食べられるものだとしたら、気になるね」

「気になるか? そしたら、午後はそれを見つけに行こう」

どんな風に辛いのか気になるけれど、食材の確率が高そうだ。見つけて、食材だったら家に持って帰りたいな。素材採取の仕事をしているんだけど、少しなら自分たちの食材も探しても大丈夫だよね。

「そういうことなら、早く行くんだぞ。あったところ、ウチが案内するぞ」

「それが食材だといいですね。料理に使えそうですか?」

「まだ、なんとも言えないけれど、使えそうな気がする」

「二人とも、お喋りするんじゃなくて早く食べるんだぞ!」

ガツガツとお弁当を食べるクレハが急かしてきた。その姿を見て私たちは少し笑うと、早めにお弁当を食べる。食べ終わると、お弁当箱と布をリュックの中にしまって、準備完了だ。

「それで、どこで見つけたの」

「えーっと……こっちだぞ!」

「本当に覚えているんですか?」

「大丈夫だぞ! さぁ、行こう!」

張り切ったクレハの先導で私たちは再び森の中を進んでいった。辛い実、一体どんな食材なんだろう?