軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

968 聖者への贈られもの

引き続きクリスマスの準備に奔走しております。

クリスマスツリーは根本となる針葉樹は確保できたものの、やはり飾りつけもちゃんと考えておかないとな。

考えなしに進めていたら、絶対短冊が取りつけられることとなる。

クリスマスツリーの飾りと言ったら、パッと思い浮かぶのが雪を模した綿。黄金色に輝く何か、そして何より頂点に輝くスター!

綿は普通に農場で育てているから、いくらでもある。衣類原料を管理しているバティにでも問い合わせれば持ち出せるであろう。

それこそクリスマスツリーを豪雪地帯にして、行くの重さで枝がしなるぐらいに。

それが本末転倒。

そして金色に輝く何か……オーナメントだっけ?

あれはまあ何で作ればいいんだろう? 金色だから金? 元素記号Auの?

いやダメだろ、金って元来の質量が重いから、純金製のオーナメントなんてどれだけ重くなるかわからない。

それこそツリーの枝がしなるし、飾りつけは子どもらにやらせたいから危ないのは避けたい。

え? そういう問題じゃない?

そういう修飾系はドワーフさんが得意そうだから丸投げしとこうかな。

マナメタルと物々交換で。

『ハイ! 純金で仕上げます!!』とか言われたらどないしようか?

と定番どころは考えもまとまってきたとして……。

……あとは、何?

いかん、前の世界では絶賛のクリぼっち勢であった俺としては、発想が早くも枯渇!

こうなったら古式に則ることなど最初から投げ捨てて、思いついたものを飾っていくことにしよう!

たとえば花とかどうだ!?

記憶の中にあるあやふやなクリスマスツリー像には、チョイチョイ赤色が足してあったように思えるのだが。

それに倣って真っ赤な花などを飾り立てるのもいいかもしれない。

赤い花……椿?

いや椿は縁起が悪いからな……と思う武士脳。

ハイビスカスの赤はどうだ!?

冬だというのに一気にトロピカルな感じが増した。でもいいやハイビスカスで。この針葉樹もまさか自分が常夏の花を咲かせるなんて夢にも思わなかったろうな。

あとアレ! なんかアレ!!

なんて言うんだろうあのアレ……金色というか銀色というか、ビニール製のヤツがビラビラとモップみたいになっていて、それがひも状に長く伸びてる……んー、なんていうのアレ!?

ここまでの説明で伝わった? 俺はまったく伝わった気がしない!

とりあえずあのアレのことは置いておくとして、あと思いついたのはミニチュアだろうか?

サンタやトナカイなど、クリスマスに関わりあるものを小さくデフォルメ化してぶら下げるのだ!

これはいいかもしれないな?

とすれば何のデフォルメミニチュアを作るべきか?

サンタ、トナカイは定番として……次に思いつくのはプレゼントの箱とか、靴下とか?

先がU字のようにぐんにゃり曲がった縞模様のステッキも何故か定番!

それに加えてもっと独創的なモチーフを模索するのもいいかもな。

たとえば、そう元ネタにもっと忠実に迫って、例の十字架にかけられた御仁をぶら下げるというのは!?

……やめとこう、罰当たりな上に様相が殺伐としてしまう。

あと考えられるのは……、そうだ!

電飾だ!

チカチカ光ったり消えたりする電球を木に撒きつけることで一際眩しく目立つ飾りにするのだ!!

最後に出た案としてはアレだが、電飾こそツリーの飾りとしてもっともハデハデな切り札!

むしろ電飾のみで木を飾るイルミネーションは街並みをも賑わし、ムードもたっぷりなためにカップルが集まってくる……!

……やめよっか、電飾は。

しかし本当に何でカップルという種族は光りものに惹き寄せられるのであろうか?

蛾か?

しかし、前々から思っていたんだが、木自身はあんなチカチカ光る電飾を巻きつけられてどんな気分なんだろうか。

植物だって光に反応することは研究でわかっているし、光加減で昼夜を認識しているという話も聞く。

植物にとっても闇夜は眠って休む時間であろうのに、そんな一晩中チカチカパチパチ光り続けたら、草木も眠る丑三つ時にも眠れなくしまうんではないか?

何てどうでもいいことを考えたりもしたこともある。

どっちにしろ異世界で電飾をピカピカさせる手段も思いつかないので、こちらの案は封印しておこう。

『なるほど、この木を輝かせればいいんですな』

先生!?

ノーライフキングの先生がいつの間にか俺の作業室に訪問されていて、しかも俺の独り言を聞いていた。

『及ばずながら、ワシの死光気をまとわせれば木といえども厳かさをもって輝かせることが可能ですぞ』

死光気……!?

ノーライフキング最強の武器と言われる、あらゆるものを滅し消失させる霊的エネルギー!?

たかが木を光らすために使わんでください!

そんな大層な気で、針葉樹を包んだらまた得体の知れないものに進化しかねない。

そうして四苦八苦しながら準備を進め、一定の形が出来上がった。

いよいよ開催当日を迎える……。

* * *

さあ、今日こそクリスマス当日だ!!

別に十二月二十四~二十五日じゃないけれど、そもそもこの世界に暦自体がないけれど。

しかし今日がクリスマスだと言えば、今日がクリスマスになるんだい!

俺がそう判断すれば、今日が、この日がクリスマスだ!!

「さあパーティを始めようじゃないか」

会場は既に整っていて、高々と聳え立つクリスマスツリーを中心に並ぶテーブル。

そこには所狭しとクリスマス用のご馳走が並べてあった。

「うおぉおおおおッ!! ケーキなのだ! こんなにでっけーケーキにありつけるなんて、さすが記念日なのだぁああああッッ!!」

もちろんのこと用意されたクリスマスケーキに、ヴィールが熱狂していた。

頑張って作った甲斐があったぜ。

そして聳え立つクリスマスツリーの横で……何やら騒いでいる桜と梅とヤシもいた。

『聖者様! 我々も飾りつけましたぞ! 葉っぱが散っていてもこれだけキラキラならとっても豪華!!』

『私になっているヤシの実こそ一番輝くオーナメント! やっぱり私こそがクリスマスツリーに相応しいんでは!?』

諦めが悪い。

いいだろう、もう。それぞれの木には自分らにあった季節があるんだし、桜と梅はもうすぐ来る春に花咲かせることを夢見てくれ。

ヤシは……夏?

いやぁ……しかし皆よく集まったものだなあ。

農場の住人たちはもちろん、魔王さんにアロワナさんにリテセウスくんまで、普段は農場の外にいる人たちまで客人としてお越しくださっている。

お陰で思った以上に規模が大きくなっていた。

……はて?

誰が彼らをクリスマスパーティにご招待したんだ?

俺は呼んだ覚えないんだが?

いくらなんでも各国の指導者でお忙しい彼らを、パーティというだけで呼びつけるのは礼儀にもとるというか……。

クリスマスという行事自体こっちの世界にはないものだし、のちのち広まるとしても第一回である今宵はホームパーティ程度にとどめておきたかったんだがなあ?

「はいはい! まずは私から挨拶させてもらうわ!」

そこへ躍り出るプラティ。

我が妻は開会の辞とばかりに熱く語りだす。

「本日は、ウチの旦那様の誕生パーティへお集まりいただきありがとうございます、よ!」

……

はい?

「旦那様ってば、こんなに時間が経ってから自分の誕生日を教えてくれるなんて、奥ゆかしいのね。でもわかったからには、皆で全力で祝ってあげようじゃないの!!」

その勘違いまだ続いていたのかッ!?

クリスマス=聖誕祭=聖者=俺の誕生日という誤解を。

だから魔王さんやアロワナさんまで来てくれたというのか?

「さすがに聖者殿の記念日となれば馳せ参じぬわけにはまいりませぬからな」

「世界でもっとも重要人物であるり、我らが友人であるゆえ」

皆お忙しいというのに……!」

「旦那様、お誕生日おめでとう!」

「「「「「「おめでとうー!」」」」」」

「これかもよろしくお願いねー!」

「「「「「「よろしくお願いしまーす!!」」」」」」

皆……俺を祝うために心を一つにして……!

こんなにも心から祝ってくれたら、誤解ですなんて言えなくなるじゃないか……!!