作品タイトル不明
803 夢のコラボレーション
コラボ。
本当最近よく聞く。
普段別々でやってるアイツとソイツが一緒にやったら、それは全部コラボなんだってよ。
というわけで我々もやります。
風雲オークボ城と人魚国主宰相撲大会。
夢のコラボレーション開催だッッ!!
* * *
「聖者様! ご協力感謝いたしますぞ!!」
久々に農場を訪れてくれたアロワナさん。
彼も人魚王として多忙なお立場なのでな。自由気ままだった王子時代と比べて訪問頻度が落ちてしまうことは致し方ない。
その上で今回も厳密には仕事の用件。
人魚国が総力を挙げて取り組む相撲大会。
それをアロワナさんは自国内にとどめおかず世界全体へ浸透させようという願望があるらしい。
それはアロワナさんの相撲好きが高じてのことだがもう一面で、今まで海を隔てて疎遠だった陸上の種族と意欲的に交流していこうという目論見もあるようだ。
相撲はそのための手段。
「そう、相撲ですぞ! 人類相撲さえとれば互いを理解し合うなど容易いこと! 相撲こそ世界平和のかけ橋! だからこそ相撲は世界中で大流行すべきなのです!!」
いや本当にただの相撲信者なだけなのかも?
そのためとしてウチ主宰のオークボ城とコラボが持ち上がったのだが、それを発案したのが人魚宰相のゾス・サイラ。
「彼女の働きには本当に助けられますな! ゾス・サイラがオークボ殿と結婚したからこそこの企画も持ち上がったのですし、まさに彼女の存在は人魚国に欠くべからざるものです!!」
いや、別にアロワナさん自身が頼み込んでも充分実現したでしょう?
アナタの妹、誰の奥さんだと思っている?
でもまあ、人魚国でゾス・サイラの存在が大きくなったならそれに越したことはないか。
というわけで今年のオークボ城は『緊急コラボ! 人魚国の相撲大会!』というのを目玉に進めていこうと思います。
で、具体的にはどうしよう?
コラボカフェやる?
『大相撲パフェ』売る?
「そうですな……もちろん手ぶらではなく腹案を用意してきましたとも。私とて毎年オークボ城に挑戦者として参加している者! その経験を生かして、二つのイベントが融合する方法を模索してきました!!」
おお、頼もしい。
たしかにアロワナさんは王子時代からオークボ城の常連であられた。
そんな彼の英知によっていかなるコラボ企画が発信されるのか!?
「まずですな! オークボ城の出場者が相撲を取るのです!」
「ほうほう?」
「それに勝った者同士でさらに相撲を取る!」
「ふむ?」
「それを繰り返して、最後まで勝ち残った者がオークボ城の優勝者なのです!!」
それただの相撲大会やんけ。
ダメだアロワナさんは相撲愛が強すぎて使い物にならない。
ここは他の者たちが知恵を絞ってオークボ城、相撲大会双方の長所を取り込んだ絶妙バランスの企画を考えていこう!!
* * *
そして始まった。
オークボ城開催当日。
今年もたくさんのオークボ城フリークスが一手に集い、一年の成果を見せようと燃え上がっている。
既に参加受付は済まされ、天守閣を目指さんとする勇士たちがスタートラインにい並んでいる。
俺はそれを観客席から眺めていた。
何故か?
今年は参加したくないなあ、と思ったから。
「今年こそ完走を果たす!」
「オークボ城の天守閣に到達するのはオレだ!!」
「オークボ城こそ我がライフワーク!!」
参加者たちは皆、モチベーションに沸騰しつつある。
最近では年に一度のオークボ城を目指して体力づくりをしている方もいるとか。
そんな方々の頑張りに応えるためにもオークボ城は毎年アップデートを行い、飽きさせない工夫を凝らしております。
今年のテーマが『相撲大会のコラボ』です。
その辺りしっかりとお楽しみにください。
ではよーい、ドン。
「「「「「うおりゃああああああああああッッ!!」」」」
さあ走り出しました参加者の皆さま。
第一関門の平均台を慣れた様子で渡りきる。
「よぉし! アトラクションの傾向は去年までと変わりないな! 経験があれば楽勝だぜ!」
「オークボ城は基本的にアトラクションを激変させない!! だから挑戦回数を重ねればいつかはクリアできるようになっている! 参加者に優しい作りだ!」
「さすがだぜオークボ城! 次は坂道から岩が転がってくるアクションだ! 前回はそこでリタイアしたが、今度は勝ち抜く!」
と突進していく参加者たち。
たしかにオークボ城の第二関門は、とあるアドベンチャームービーを参考にした大岩が転がってくるトラップだ。
岩を避けながら坂の上まで駆け登ることが要点。
しかし、オークボ城がアトラクションを変えないのはあくまで『基本的には』。
ただ同じことをそっくりそのまま繰り返すだけではユーザーも飽きてしまうので、毎回どこかに『おッ』と思わせる程度の変化をどこかに忍びこませてある。
そして今回のテーマは『相撲大会コラボ』。
そこから導き出される結論は、第二関門の大岩が転がってくるアトラクションで……。
「ぎゃああああああッッ!?」
「なんか大岩じゃないものが転がってきたぁあああああッ!?」
転がってきたのは大岩ではなく、相撲取りだった。
正確には相撲取りを模したハリボテ?
しかし製作にはゾス・サイラのホムンクルス技術を適用してあるがためにやたらリアルに、克明に仕上がっていて、まるで生きているかのようだ。
それが坂の上からノッシノッシと突進してくるのだ。
多くの人々はその絵面に衝撃を受けて、回避するのも忘れて相撲取りの直撃を受けて撃沈していった。
相撲取りの突進は、転がってくる大岩とそん色ないほどの質量と勢いがある!
岩が人に替わったと甘く見ていたら即座に土俵の外へと吹っ飛ばされるぞ!!
「ぎぃええええええッッ!? ずっぽり太った巨大な人間があああああッ!?」
「なんか迫ってくる!? なんか怖いいいいいいッ!?」
しかし参加者の精神的動揺は何やら別の部分にあるようだった。
それでも毎年オークボ城を経験してきた猛者は、何とか迫りくる力士の脇を掻い潜ってゴール地点まで駆け上がった。
さすが。
第三関門は、いつもだったらゾス・サイラが生産したホムンクルスたちがお邪魔者として立ちはだかってくる。
しかし今回は既に特別製造した力士型ホムンクルスがお目見えしている。
つまりは……。
ここでも力士が道を塞いでいた。
「うわあああああああッッ!? ここにもぉおおおおおおッッ!?」
「強いッ!? 何なんだこの巨体のホムンクルスはああああああッッ!?」
どうだ強かろう。
何しろ相撲取りは地上最強との呼び声も高いヤツらだからして。
その強大な体格から繰り出される技に素人が対抗できる道理はない。
たとえそれがホムンクルス技術で作り出された紛い物であったとしても!
集団となった相撲取りの波状攻撃はもはや迫りくる肉壁!
これに抗うことは至難の業!
さらにはなんか湿度も上がる気がする!?
それでもオークボ城の参加者たちは、今日のために鍛え上げた体力と精神力であらゆる困難にも立ち向かう!!
「負けるかあああああッ!!」
「あの肉壁の向こうに、天守閣があるんだぁあああああッッ!!」
「オレたちは何があろうと、この困難を乗り越えて見せるぅううううううッ!!」
さすがは訓練されたオークボ城フリークス。
いかなる困難も乗り越えて天守閣へとたどり着こうという執念が凄まじい。
ただし大勢の力士ホムンクルスがひしめき合うことでやはり若干の湿度が増した。
そんな湿度迸る攻防の末に、それでも天守閣まで到達できる人が何人かいた。
さすがはオークボ城に挑戦する人たち。
ゾス・サイラによる力士ホムンクルスによって別ゲーのような異次元ぶりを見せる今年のオークボ城。
それによって参加者や観戦者の皆に、相撲力士の凄さ恐ろしさが如実に伝わって来たものと思われる。
だからこそこれからのイベントが光ってくる。
そう、このオークボ城本戦の障害物レースのあと……。
今年だけの特別イベントが開催される。
特別コラボイベント相撲大会。
人魚族からの流行ながら今大会には魔族、人族も多数参戦。
人類でもっとも相撲を取るのが上手いのは誰か?
それが今日、この土俵で決まる!!