軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

05 採取生活

家を確保し、水と塩を確保し、畑の作物は順調に育成中。

そこで次に俺は、家の周囲を探索して回ることにした。

第一の理由は食料探しだ。

畑ですくすく育つ作物たちは、収穫までにまだまだ時間がかかる。

王都から持ち込んだ携帯食も程なく底を尽くし、農業による食料安定供給が軌道に乗るまでは、自然にあるものを採取して食い繋いでいこうという算段だった。

気分は縄文人。

幸い、俺が買い取った土地には海もあれば山もある。

どちらも生命、食物の宝庫だ。

そこで俺は、畑の世話を一区切りさせてから、あちこち歩き回ってみることにした。

まずは海だ。

* * *

ザザーン、ザザーンと波の音。

こちらの世界の海は、俺が元いた海とは比べ物にならないほど美しい。

海は青くて、砂浜は白い。

まさに手付かずの自然という感じだ。

「砂浜をただ歩いているだけでも気持ちいいなあ……」

砂浜に残るのは俺の足跡のみ。

何だか無性に海に入って泳ぎたくなった。

ここには俺一人しかいないのだから遠慮することはない。俺は一気に服を全部脱いで、海の中に飛び込んだ。

「思ったより海の水冷たい!?」

それでも思う存分、海水浴を満喫した。

思っくそクロールしたのなんて何年ぶりだろう?

無論泳いで遊ぶだけでは留まらない。

海へやって来た真の目的は、採取による食糧調達だ。

ここでまたしても王都から買い込んできた道具の一つが猛威を振るう。

銛だ。

移住先に海があるかもと購入しておいて正解だった。

二束三文の安物ではあったが『至高の担い手』ギフトを持つ俺にとってさしたる問題ではない。

コイツを握っただけで、俺は名漁師へと変貌を遂げるのだ!

海岸線から少し移動しただけで、ごつごつした岩場へと変わった。

そういう岩の隙間にこそ、食料にできそうな小さな生き物たちが潜んでいる。

銛をもって海中に潜るだけで…………。

(いたよ、いたいた……ッ!!)

岩の隙間。茂った海藻の影。

小魚や貝類、タコが獲れた時には一番驚いた。

まさしく「とったどー!」だ。

これらを持って浜に上がり、焼いて食うのはなかなかにワイルドで満腹だった。

事前に塩を獲得できていたことが、食事をさらに楽しくさせた。

ただ……。

食ったあとに言うのも何だが、俺がこの海で獲った魚貝たち、俺の元いた世界のものと微妙に違うんだよな。

体の色合いとか、角とか牙が生えていたりとか。

タコは足が九本あったような気がする。しっかり確認しないまま食っちゃったけど。

まあ、そこが異世界といえば異世界なんだろうけど。

調理の際には、やはり神からのギフト『至高の担い手』の能力が発揮されて、包丁を握ればスイスイと解体、調理までできた。

海水を真水とミネラルに分化さえできる『至高の担い手』だ。

仮に今日食べた海産物のどれかに毒があったとしても、調理しているうちにギフトの力で中和できたと考えておこう。

浜辺ではさらに海藻類も拾うことができた。

何となくワカメに似ていた。

ゆくゆくワカメの味噌汁なんかも飲みたいが、それは味噌をこちらで作れるようになってからだなあ。

あと海苔もあった。

浜辺の岩場にべっとりくっついていたので拾って集め、適当な板に張り付けて放置したらちょうどいい具合に乾燥海苔ができた。

「最初にしてはいい感じ……!」

次はもっと絶妙な厚さに仕上がり出来そうだ。

何やら、元いた世界を彷彿させる加工食品と初めて再会できた感じ。

「これをご飯に巻いたら、まさしくおにぎりの完成だな……!」

おにぎりが完成したら、真っ先にヘパイストスさんの祭壇にお供えしよう。

あの神様が贈ってくれた『至高の担い手』ギフトのおかげで大助かりだからな。

何となくの先入観だが、あの神様はおにぎりが大好き。きっと大好き。

そのためには米を育てないとダメなんだが。

やることは多い。

あと、海底でウニも見つけたんだが、さすがに今の装備では採取不可能で今回は諦めた。

やはり異世界自給自足生活を満喫し尽すためには、まだまだ装備も設備も足りない。

* * *

そうして海を満喫したので、次の日は山に登ってみることにした。

山は、家を建てる材木の調達に一度入ったが、今回は半分ハイキング気分でいろいろ見て回ることにする。

もちろん今回も、食べ物になりそうなものの採取が主目的だが、山エリアで思いつくのはまず木の実、山菜といったところだろうか?

キノコもあるだろうが、あれは毒のあるものの見分けが難しいと聞く。

異世界でもそうした生態は変わりないだろうし、ある程度知識が得られるまでは触らない方が無難だろう。

『至高の担い手』で毒を浄化できる可能性があるとしても、怖いものは怖いのだ。

あとは、まあ……。

「狩りか……!」

海で漁をしたように、山で猟をするという手もある。

ただ、山で獣相手にする狩りは必然的に海の小魚よりも大物とやり合うことになるだろう。

どう考えても大変なことになり、一日そこらのピクニックついでにやれる作業ではないだろう。

なので今回は、そういうことをやりませんと心に決めてきた。

あくまで山菜か木の実でも拾って帰れれば万々歳というのが今日の気分だった。

それなのに出会ってしまった。

山の獣に。

しかもソイツは、明らかに普通の獣とは違う異様さを持っていた。