軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31 家作り

家を作ることになった。

俺だけでなく、プラティやヴィールも一緒に住むことにできる立派なヤツだ。

お客さんも迎えられるぐらいに立派な。

ただ、そのための問題もいくつかある。

まず最初に立ちはだかった問題が……。

「人手が足りん……!」

という呟きを聞きつけたプラティが、果てしなく分裂中のガキヒトデを見せてくれた。

うん。

人手は人手でも、そのヒトデじゃないよね?

俺が欲しいのは、作業を手伝う人員のことだ。

家を建てる。

言うまでもない一大作業。小屋一軒建てるのとはわけが違う。

当然俺一人だけでは思う通りに進まない。女の子のプラティに手伝わせるわけにもいかない。ヴィールはドラゴンだが、ドラゴンだけに手伝わせるのは無理だ。

アイツに安心して任せられるのは壊すことだけだ。

しかも徹底的に壊す場合に限る。

なので現状家作りに着手できるのは俺一人の手しかなく、それだとどうしても効率が悪い。

畑も大分広くなってきたし、その世話を怠るわけにもいかない。

こんな時、どうしたらいいだろう?

決まっている。

先生に相談だ。

* * *

『人手が欲しいなら、増やしてはいかがです?』

ノーライフキングの先生。

我が家の近辺にあるダンジョンの主だ。

千年以上も前に、自分の意思でアンデッドになったらしい。不死王となってから長く経って本名も忘れてしまったそうで、今では先生のニックネームで通っている。

今日は先生のダンジョンにこちらから訪問した。

お土産はたくわん。

醤油味噌の醸造で一緒に作ってみた新作だ。

先生は心から喜んでくれたようだが。……アンデッドに漬物とか発酵製品って、何か深読みして結び付けてしまうんだけど

……俺の考えすぎだよな。

それより。

「人手を増やすって、どこかから雇い入れるってことですか?」

たとえば人族の王都。

プラティの伝手を頼って人魚を雇う手段もないではない。

ただ……。

「どっちも面倒そうだなあ……!!」

元々は俺一人から始まった開拓生活。

別に人嫌いなわけでもないが、かといって飛び抜けてコミュ力があるというわけでもない。

人を使うなんて慣れない作業で気疲れするのは避けたいなあ。

それに人を雇用するなら賃金を払わなくてはいけない。

しかし今の俺は、金銭をほぼ所持していない状態だ。

一番最初に人族の王様から貰った金貨十枚は、土地の購入と様々な道具を取り揃えるので使いきっちゃった。

もし報酬を与えるなら現物支給になるが、その辺りの相場もさっぱりわからん。

『外から雇い入れる必要はありません』

そんな俺の不安を先生は一撃粉砕した。

『ここから連れて行けばいいのです?』

「ここ?」

『ここ』

「ここって、もしかして先生のダンジョン?」

『そう』

このダンジョンに先生以外の住人がいたんですか?

てっきりモンスターしかいないものかと?

『無論、連れていくのはモンスターです』

「何ですと?」

『オークやゴブリンといった、俗に擬人モンスターと呼ばれる連中がおります。ウチのような洞窟タイプのダンジョンに発生する輩です』

先生の説明によると、そうした擬人モンスターは使役して、仕事を任せることができるらしい。

もっともそういうことができるのは魔族だけだ。

そのため魔族と人族の戦争では、魔族の住む魔国各地のダンジョンから発生したオークなどを集めて、兵力として動員されるらしい。

「じゃあ、魔族じゃない俺には無理じゃないんですか、指揮するのは?」

説明を受けて俺の疑問。

『このダンジョンの擬人モンスターどもは、ワシの支配を受けております。アナタ様の命令に従え、とワシが命令を出せばいいのです』

なるほど。

さすが世界二大災厄の一方、魔族にしかできないことも普通に実行可能なのか。

「命令できるのは、擬人モンスターだけなんですか? たとえば、……その、獣型モンスターとかは?」

『命令を理解できるほどの知能がありません。だからこそ、いかなる種族、いかなる存在もモンスターそのものを支配することは出来ぬのです』

そして、命令を理解できるだけの知能を持った数少ないモンスターが、人を模した擬人モンスターらしい。

知能があると言ってもモンスターなので魂というか自我といったものがなく、従って意識もなければ生存本能もないらしい。

『なので働かせるに、報酬を与える必要もなければ食事を与える必要もありません。空気中のマナを吸収して活動するのですから、殺されるまで止まりませんな』

「それは……、便利な……!」

しかし「それでいいのか?」という思いも心のどこかに存在する。

『ワシもダンジョン内での小間使い用に十体ほどキープしておりますが、他に自然発生したものをお持ちになるのがいいでしょう』

またしても先生にご厚意に甘えて、ダンジョン内を徘徊する擬人モンスターを何体か連れ帰ることにした。

ついでにまた先生からマナメタルをお土産に持たせてもらった。

何度来ても思うが先生。

おじいちゃんっぽい……!!