軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20 ドラゴン来る

『おれのダンジョンを荒らしたのは、貴様らかぁーーーッッ!?』

突如、天空より翼を持ったオオトカゲが飛来した。

俺が畑仕事中、そしてプラティが相変わらず小屋内で魔法薬の調合に勤しんでいた最中のこと。

大声に驚いた彼女が、慌てて小屋から飛び出した。

「何よあれ!? まさか……、ドラゴン!?」

やっぱりドラゴンなんですか!?

そうとしか思えない様相。

全身が爬虫類の鱗に覆われていて、トカゲのような頭部に手足。

ただし、その爬虫類の鱗は銀色に輝いていて、その背には爬虫類には絶対にないであろう翼が広がっていた。

大きさは……、メチャクチャ大きい。

『もう一度聞く。貴様らだな? おれの支配するダンジョンで配下のモンスターを虐殺したのは?』

「あわわわわわわわわわ……!?」

ドラゴンの迫力に、プラティなどは圧倒され今にもオシッコちびりそうだ。

ここは俺が、彼女を庇って矢面に立つしかあるまい。

「アンタのダンジョンというのは? あそこのことか?」

そういって、先日俺たちが角イノシシを狩りまくった山の方向を指さす。

『いかにも、あのキングドラゴンマウンテンこそ我が領地。あの中で好き勝手に振る舞っていいのは唯一このおれだけだ』

「また大仰な名前を……!」

というかそれ以前に、このクソでっかいトカゲと普通に会話できている件に関してはスルーでいいんだろうか?

……ドラゴンだもんな。

ファンタジー世界じゃよくあることか。そう思っておこう。

『スクエアボアなど、何匹死のうと偉大なるおれにとっては痛痒でないが、我が縄張りの中で好き勝手するネズミを放置しておけば、おれの面子に傷が付く。ゆえに狼藉者を殺しに来た』

「……たしかに、あの角ありイノシシをたくさん狩ったのは俺たちだが……!」

なんでバレたんだろう? という気がしないでもない。

「あのダンジョンの主が、アンタだって言うのか?」

『その通り! このグリンツェルドラゴンのヴィールが支配するダンジョンを荒らすなど、恐れを知らぬヤツらよ!!』

やっぱりあのダンジョン、主がいたんじゃないかああああ!?

プラティは「主のいるダンジョンなんてそうそうない」って言ってたけど、今のところ俺が遭遇する主ありダンジョン率は100%だ!

どういうことだ!?

ただひたすら俺の引きが強すぎるだけなのか!?

「あのー、俺たちはあのダンジョンに主がいるなんて知らなかったんだ。アンタの縄張りを荒らしたのはたしかに悪かった。二度としないと誓うので許してもらえないだろうか?」

『ダメだ、許さん』

慈悲はない、らしい。

『矮小なる下等生物よ。貴様らごとき小虫の都合を偉大なるおれが斟酌すると思ったか? 視界に煩いハエを放置しておくようでは、その弱気を他のドラゴンから舐められるようになる』

舐められたら終わり、なのはどこの業界でも同じなのか?

『故におれは、貴様らを跡形もなく消し去る! 己が罪を悔いながら死ぬがいい!!』

死刑宣告は以上とばかりにドラゴンは大きく息を吸い込んだ。

胸部が風船のように大きく膨らむ。

そして吐気、と同時にドラゴンの口から巨大な炎が飛び出した。

ゴオオオオオオッッ!! と。

「ぎゃあああーーーッ!? 死ぬぅーーーッッ!?」

俺の隣でプラティが大絶叫。

たしかのこの炎のブレスは、俺とプラティを丸ごと焼き尽くし、そのまま俺の拓いた畑を一挙に灰塵に戻すぐらいわけない規模だった。

しかし当然、そんなこと許さない。

「はっ」

俺は腰に下げた聖剣を抜き、居合い気味に振り払った。

それだけで炎のブレスは真一文字に斬り裂かれ、火の粉も残さず消滅した。

『何だと!?』

その一部始終に、ドラゴンは度肝を抜かれて驚く。

『バカな!? 人族ごときがおれの必殺ブレスを斬り裂いただと!? いや、斬り裂いただけでなく、塵も残さず消滅させるとは!?』

よかった。

畑の方には被害が出ていないようだな、火の粉が燃え移って葉っぱ一枚燃えるということもない。

「もう一度言う。アンタのダンジョンを無断で荒らしたことは謝る。ごめんなさい」

俺はぺこりと頭を下げた。

「謝罪はするが、賠償のために命まで差し出す気はない。アンタが必要以上の落とし前を求めるなら、そこから先はケンカだ。俺も自分の大切なものを守るために、俺たちを殺そうとするヤツを、逆に殺すこととなる」

聖剣の切っ先を、ドラゴンの鼻先へ向けて突き付ける。

『ダンジョンの主よ。俺と命を賭けてケンカする覚悟はあるか?』

「ぐ、ぐううぅ……!?」

ドラゴンは、たじろいで一歩ずしんと後退した。

……このままビビって帰ってくれたらいいけどなあ。

らしくない強い言葉を使ってしまった俺だが、無論心から本気の言葉じゃない。

こっちは平和裏に進めばそれ以上に越したことはないので、脅しで相手が引き下がるのを期待してのことだ。

面子などを気にするヤツほど、心の底は憶病なものだからな。

『そこまでにしておけい』

ッ!?

俺たちとドラゴンの睨み合いが続く場で、いきなり第三者の声が響き渡った。

しかもこの声、聞き覚えがある。

このしゃがれた、冥府の底から鳴り響いてくるような声は……。

洞窟ダンジョンの主、ノーライフキングの『先生』。

何故ここへ!?