軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1427 ジュニアの冒険:人魚王家の人々・新世代

こうして人魚王族の面々と会見を重ねていく僕。

やはり血縁があるだけ、他の王家よりも歓待が熱烈というか、濃厚というか……。

そりゃあ、おじいちゃんおばあちゃんというだけでもクソデカ感情が乗ってくるというもの。

あちらも『他国からの賓客』というよりは『孫(甥)が遊びにきた!』という気分で揉みくちゃに可愛がってくれる。

「ちょっと、あんまり無理やりにかまってやるんじゃないよ。ジュニアが困っているだろう」

一人冷静なパッファおばさんがいてくれて助かった。

そのクールさ、さすがは『凍寒の魔女』。

「そもそもジュニアくらいの年頃は反抗期真っ盛りってのが相場なんだから。あんまりベタベタしてると逆に嫌われるよ」

大丈夫です!

我が聖者一家の反抗期はノリト一人に集約済みですので!

この僕ジュニアは、母さんのお腹に反抗期を忘れてきた男!……あッ、それでノリトに集約したのか!?

「おお、ジュニアはいい子だねえ。こんなクソガキ真っ盛りの年頃でちゃんと分別がついて……、ウチのモビィに見習わせたいぐらいだよ」

「ううッ!? モビィのことは……言わないでくれ……!」

「何言ってんだい自分の息子の話から逃げてどうすんのさ。そもそもモビィの反抗期がよそ様のとこより輪をかけて大シケなのは、アンタがかまいすぎるからでもあるんだろうから反省しな!」

「うう、正論という銛で突かれる……!?」

痛いところを突かれたとばかりに消沈するアロワナおじさん。

それよりも今、モビィくんの名前が出たが……!?

「お、覚えていてくれたのかい、嬉しいねえ。そう我が人魚国の第一王子モビィ・ディックのことだよ」

モビィくん。

目の前にいるアロワナおじさん、パッファおばさんとの間の子で僕から見れば従兄弟に当たる。

従兄弟という間柄、歳も近くそれなりに仲よくしていた記憶がある。

久しぶりに会えるとしたら嬉しいなあ。

今お城にいるんですか?

「ああ、別室でアンタが来るのを待ちわびてるよ」

おお、モビィくんに会える!

しかし何故、別室?

「そりゃあ、このウザい父親と顔合わせたくないからだろうねえ」

「ぐおおおおおおおおおおッッ!」

指摘されると同時にアロワナさんが崩れ落ちていった。

理由は……なんとなく察しがついた。

「わかるだろう。甥っ子にすらこんなにベタベタ来るんだから、一親等の息子ともなれば四六時中だから苛つきも氾濫起こすだろうねえ」

パッファおばさん、なんで表情がちょっと気持ち楽しそうなんですか?

「大丈夫、あの時期の子どもにはよくあることで、しかも一過性よ」

「もっす」

両親から慰められている父親。

では僕は早速モビィくんに会いにいくとしよう。

やっぱり同世代に会うのは心軽やかだなー、ノリトの時とはわけが違う。

「はいはい行ってらっしゃい。ウザオヤジはこっちで面倒見ておくから安心しなって伝えておいておくれ」

承知しゃっした。

ではいってきまーす!

* * *

パッファおばさんから教えてもらった通りなら、この部屋にモビィくんがいるはずだ。

さあ、どんな再会になるかな?

しばらく会っていなかったからモビィくんも大きくなっているだろうなあ。

……マッスル的な成長していたらどうしようかな?

ともかくもドアを開けて『失礼しまーす』としてみたら……。

「蒼流雷電突き!!」

「うひぁッ!?」

完全不意打ちの刺突が来たのでギリギリでかわした!

なんだッ!?

船室に入った途端にナイフが飛んでくるトラップみたいなものか!?

「さすがジュニアのアニキ! これぐらいの奇襲じゃ全然捉えられないな!」

モビィくん!

相変わらず不意打ちで強襲してくるのがマイブームみたいだね!

でも怪我するかもしれないからやめてね、って毎回言ってるよね!?

「大丈夫だぜ、使ってるのはオヤジからガメてきたトライデント(レプリカ)だからよ!」

その情報で何を安心しろと!?

むしろそれ家宝っていうか国宝ですよね!?

武器として使っても聖剣に匹敵するものですからちゃんと現国王に返してあげなさい。

「えー? 嫌だよ下手に顔合わせて頬ずりなんかされたら地獄だもん」

そんなことしてるのアロワナおじさん!?

モビィくんも十代には入っただろう。その年頃に男親が頬ずりとかたしかに地獄だ。

仮に自分の身に置き換えてみても地獄だった。

僕に頬ずりしてくる父さん……!

想像の中で母さんがツッコミ延髄斬りしてくれて助かった。

僕ですら想像の中で死にそうになったっていうのに、モビィくんは現実、さらに実父はあの筋肉密度だから、そりゃ暑苦しさでリアルに生命の危機だろうなあ。

「だからなるべくウザオヤジには会わないようにしてるの。今、城内にオヤジいる? ここしばらくはアニキの出待ちで留守だったから安心して過ごせてたんだけどなー」

ただの反抗期であれば、僕から諭して和解に持ち込もうかとも思ったが、これはダメだ。

アロワナおじさんにも直すべき部分がありすぎる。

せめて筋肉の量を落としてから抱き着いてあげて。

「いや、久々でやっとアニキに一撃入れられると思ったのになー。オレ、稽古とかも頑張って随分強くなったんだぜ! ヘンドラーとかシャーク将軍からもボチボチ一本取れるようになったんだ!……まあ、まだ十に一回ぐらいの確率だけど」

へえ、それは凄いな。

……アロワナおじさんとは?

「オヤジとはやんないよー、だって掠っただけで大喜びしてくるんだもん『息子の成長が凄いぞ!!』って」

……アロワナおじさん。

息子との距離を縮めたかったら今少しクールに……。

「だからアニキにも追いつけたと思ったんだけど、そうだよな。アニキも日々成長してるんだよな。今、修行の旅してるんだって?……いいなあ、オレも旅したいなあ……」

モビィくんが遠い目をしていた。

こんな目をさせている原因は、アロワナおじさん?

「オレもアニキと同じで将来は王様だからさ、その自覚はあるんだぜ。ちゃんと立派な人魚王になれるように毎日毎日努力してるんだ! 具体的には槍の稽古かな!」

やはりモビィくんも思考の根底はマッスルだった。

もっと知力も高めて。帝王学とか学んで。

「もっとヘンドラーやシャーク将軍やナーガスじいじに稽古つけてもらって、どんどん力をつけるぜ! そして最終的にオヤジに挑んで指一本触れる間もなくボコボコにして、王位を奪ってやるんだぜー!」

簒奪!?

あの、もうちょっと穏やかな王位継承にしない?

血筋といい順番といい、黙っていても転がってくる立場でしょう?

「ちちちちち、ダメだぜアニキそんな甘い考え方じゃ。王位というのは実力で掴み取るものだって母ちゃんも言ってたしな。自己錬磨は必要不可欠。そんなんじゃ立派な海の男にはなれないぜ!」

パッファおばさんの言うことにはもっと別の意味が込められているとも思うんだが……。

それに僕は、未来の農場王は目指していても海の男になるつもりはないし。

「そっかー、アニキは陸の人だから仕方ないな。……まっ、でもオレの成長にの助けいなってくれるのはいいだろ。これから稽古の相手になってくれよ! アニキは強いから殺り甲斐があるぞー!」

うん、まあモビィくんの助けになることなら協力はやぶさかではないが、今『やる』の字に何当てた?

「ちょいと待ったぁああああああッッ!!」

うわぁ、なんだ!?

急に制止&乱入の声が飛んできたと思ったら、間髪入れずに本人も乱入?

この可愛い人魚の少女は……何者!?

「げッ、グッピー!?」

「モビィお兄様ったら。またしてもジュニア様を独り占めしてズルいです! 私だってジュニア様を歓迎しようと、十年前から準備していましたのに!」

「十年前はウソだろう!?」

あッ、彼女は……!

人魚国第一王女のグッピーちゃん!

アロワナ&パッファ現人魚王夫妻の第二子で、彼女もまた僕の従兄妹。

うわぁ、大きくなったなあ。

「そんな、大人の女になっただなんてジュニア様は大胆ですわ」

んッ?

「それにジュニア様を歓迎したいのは私だけじゃありませんわ! 私たち兄弟全員、この日を待ちわびていたのですから!!」

「「「「「「「「わぁああああああああーーッ!!」」」」」」」」

そして現れる八人の童たち。

そうだった!

現人魚王夫妻は夫婦仲両行の子だくさん、四男六女の計十人兄弟。

それが一斉に蜂起したというのか!?

「ボクも兄ちゃんと遊ぶ~!」

「こっちきて! こっち!」

「はーやーくー!」

「けっこんしてー!」

うおおおおおッ!?

制御されていない子どもたちの純粋な慕いに押し潰されるッ!

こんな子どもたち全員を相手に日夜奮闘するお母さんを尊敬せざるを得ない!!