軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1399 ジュニアの冒険:竜の招待状

バティさんとの面談も無事済んでよかった。

思えば魔国でも随分長く過ごした気がする。

色んな人に会ったし、色んな経験もできた。

……一人、見慣れた顔に何度も繰り返し会った気がするが……。

忘れよう。

次はどこへ向かうかな……と考えていたら……。

「郵便なのだー」

うわぁッ!?

いきなり話しかけられてビックリした!?

ヴィール!?

農場で待っているはずのドラゴン・ヴィール(人間形態)じゃないか!?

どうしてここに!?

「はははははは異なことを。おれ様の超絶ドラゴン能力をもってすれば、ジュニアが何処へ行こうとたちどころに発見追尾できるのだ」

それはそれで怖い!

ともかくヴィールは何故こちらに?

農場で何かあったのか?

「あっちは平和そのものだ。ノリトとプラティが特許だなんだと言って揉めてたぐらいだな」

はは……ッ!?

複数の特許を所有する反抗期の息子。

母さんもさぞかし扱いづらいだろうな。

でもそれは母さんが頑張ることだとして、こっちの用件は?

「さっきも言ったぞ、今日のおれ様は郵便屋なのだー」

郵便屋?

読まずに食べるあの?

しかしドラゴンであるヴィールを飛脚代わりに使うなんて、一体どんな人ならそれが叶うと言うんだ?

普通にやったらヴィールのプライドを傷つけて一瞬で消し炭になるぞ。

……その郵便をやらを見ればわかることか。

「こちらにハンコくださいなのだー」

ヴィールったらロールプレイが徹底してるな。

サインでいいですか?

受け取った手紙……。

読まずに食べる……こともなく、ちゃんと読む。

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招待状

聖者の息子ジュニア殿。

貴殿は修行のために全国津々浦々を旅していると聞く。

その途上、是非とも我が国に立ち寄られたし。

皇帝竜アードヘッグより。

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「アードヘッグさん!?」

思わず声が出てしまった。

知った名前であったから。

アードヘッグさんはドラゴンではあるがその中でももっとも偉い皇帝竜……ガイザードラゴンとして君臨する竜だ。

すべてのドラゴンを取りまとめ、王のように振る舞う。

これまで何度も農場へ訪れていたために僕もよく見知っている。

ドラゴンであるがとても物腰柔らかで優しい人(?)だ。

そんなアードヘッグさんからの招待状なんて……。

これはいくしかない、今すぐに!

「ジュニアならそういうと思ったぞ。じゃあ行くか竜の国に、おれが案内してやるのだ」

それでヴィールが来てくれたのか助かった!

たしかにドラゴンのことはドラゴンに聞くべきだもんな。

早速僕を竜の国へと連れて行ってくれ。

……。

竜の国ってなんだ?

* * *

『竜の国は、ここ数年でアードヘッグが作ったのだー』

移動しながらヴィールから説明してもらう。

飛行するためかドラゴンの姿に戻っている。

『ジュニアも飛べるようになっていたとはなー。男子三日会わざればカツ丼なのだー』

成長の一端と言っていいのかな。

『空気に触る』という概念を習得したからな。

それよりも本題だ。

『ウチのご主人様を真似したくなったんだろうな。アードヘッグのヤツも国を作るとか言い出しやがったのだ。アイツはニンゲンのすることをすぐ真似しようとする』

アードヘッグさんは真面目で責任感のあるドラゴンだ。

ただの真似しぃで国を作りたかったわけではないだろう。

僕が生まれるのとちょうど同じぐらいに、ドラゴンの在り方は大きく変わった。

種としての存在目的が。

伝え聞いた話なので詳しくはわからないが、かつてのドラゴンは神を監視する存在だった。

神が傲慢となった時に罰する、そのための存在だ。

しかし長い長い時を経て、神々も大人しくなって暴走しないという確信が取れてきた。

そこでドラゴンも、ただの監視役ではなく自分自身のために生きることを許されるようになった。

アードヘッグさんは、時代が変わってから初めて皇帝竜の座に就いた。

ドラゴンがこれからどう進んでいくか、どう変わっていくか、彼の考えがモロに反映される。

だからこそ責任重大だ。

アードヘッグさんはこれから続いていくドラゴンの未来を考えて、国を作るという選択を取ったのだと思う。

どんなところなんだろう竜の国とは……。

好奇心でワクワクしてきたな。

『ついたぞここだ』

ここは……森?

魔都からずっと離れた大自然。人の足が何百年も入ったことのないであろう秘境の地だ。

たしかに竜の国があるんなら、これぐらい人里離れた方がいいんだろうけど、問題は本当に何もないことだ。

マジで木々しか見当たらない。

ここが竜の国だというならば、少なくともドラゴンが複数体は見かけられなくてはおかしいだろう。

そのドラゴンすらいない。

本当にここがドラゴンの国なのか?

『違うぞ』

なんじゃい!?

『正確にはドラゴンの国の入り口だな。すぐ開くから待っているのだ』

そう言ってヴィールは何事かを唱え始める。

『いかいのとびらがひらかれたー』

『……パスワード確認……マナ認証……承認……ゲートを開きます……welcome to dragon ground』

……なんだ!?

時空の歪みができて……、開いた!?

空間が開いた!?

『時空の門だ。竜の国はこことは別次元にあるのだ。アードヘッグのヤツが次元開門の許可範囲を限定しやがるから面倒くさいのだ』

ヴィールが迷わず次元の穴に入っていく。

……え? これ僕も入るの?

普通に怖いんですけど。

ちゃんと入って戻って来れるんだよね?

『当然のだー。おれがジュニアを危険にさらすわけがないだろ』

……それもそうか。

では、腹をくくって突入!

うおおおおおおおッ!

入り口をくぐると、奥へ向かって吸い寄せられるぅうううッ!?

『出口まで自動的に送られる仕組みだ、あとは黙っていても着くのだー』

なるほどと言うか逆に言うともうあと戻りはできないぃいいいいいッ!?

このまま流れに身を任せていると……!?

* * *

ここが……!?

『そう、ここが新しい竜たちの楽園……ドラゴンキングダムだ』

凄い……!?

空中に大陸が浮いている。ドラゴンたちはその上で暮らしているのか。

地上では想像もできない自然と神秘に囲まれた豊かな国。

これが今のドラゴンたちが住む、竜の国……!?