軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1339 ジュニアの冒険:いよいよ魔国へ

ハロー僕ジュニア。

エルフの森でのゴタゴタも終わり、次のステージへと移る際中。

エルフやドワーフさんたちからはもっととどまって芸術について語り合おうと誘われたが丁重に辞退した。

あれ以上、彼らの芸術論に浸っていたら頭ハジけそうになるので。

彼らは、もう来年のドーエル芸術合戦の内容を語り出していたので、あれ以上あそこに留まっていたら僕にもアイデアを出せと迫られていたかもしれない。

とんでもない。

僕が案出したら、言い出しっぺの責任として最後まで関わって、来年のお祭りにも参加を余儀なくさるかもしれない。

これは早々に退散すべしと僕の中の警鐘が鳴った。

ということで挨拶もそこそこエルフの森を出て、旅を続行しているというわけだ。

エルフの森でも得るものは多くあった。

エルフだけに“得る”ってね。

それらも僕が父さんのあとを継いだ時に、よい糧となってくれるだろう。

しかしそれだけで満足してはならないと、さらなる成長と経験を求めて旅を続けるのだった……!

* * *

次なる旅の目的地は……。

……魔国。

ついにやって来たという感じがする。

この世界でもっとも大きく、もっとも栄える国。それが魔国。

その名の通り魔族が住む国だ。

魔族は、この世界で三大種族と言われるほど大きく、数も多い種族だ。

基本的な種族でもありエルフやドワーフも、元々は魔族から枝分かれして独立した種族って聞いた。

……それなのに何故両方、守護神が天界神なのか?

同じく三大種族の一つである人族と長く争い合って、つい最近やっと勝利して地上の覇権を握るまでになった。

『つい最近』って言っても、それこそ二十年近く前になるから個人レベルではもう最近でもないが、まあ歴史的に見れば十年二十年は最近だ。

それらの戦歴を経て、今や魔族は世界の頂点に君臨すべきと言っていい種族。

人口も多いし、国土も広いし、魔国の中心となる首都……魔都は地上でもっとも発展した都市だ。

故に僕も、みずからを鍛える旅の中で魔国に立ち寄ることは絶対に外せないと思っていた。

人間国を満喫しきったのちに向かいのは魔国で間違いない。

さあ行くぞ魔国……と思って僕は新たなる目的地へと踏み出した。

飛行で。

空を飛んで行くの爽快だが、やっぱり自力移動は疲れるな。鳥にぶつかることもあるし。

やっぱり列車旅にしておくべきだったか……と考えているうちに到着した。

魔国の首都……魔都に。

魔国は広いがとりあえずの第一目的地として首都を選択。

魔都は、魔国の王様である魔王さんの住居でもある中心都市。

それだけでなく物流や政治、経済、文化の中心でもあるのだから外すわけにはいかない。

だいぶ手前で地上に降りてから、徒歩にて街に入る。

その辺りで気づいた『転移魔法使えば一瞬で到着できたんじゃね?』と。

魔都は大都市で、公共の転移ポイントが設定されているぐらいだからなあ。

でもさすがに一般人の僕が無断で使ったら問題あるか。

魔都の街並みを眺めながら歩くと、道は広いしゴミは落ちていないし、行きかう人も多いしで、さすが世界一の大都市だと感心する。

行き交う人々も表情明るく溌溂で、不安を少しも感じさせない。

おや?

道端に何やら人だかりができている。

人垣を形成しているのは主に年端のいかぬ少年たちで、それだけに姦しい声で賑やかだ。

「いっけー! オレのローリングハデス2119ッ!!」

「負けるな千手ハデスリミテッドVer!!」

ほう、あれはゴッド・フィギュアの野良バトルか?

かつて魔国で大流行したゴッド・フィギュアのバトルは今なお大人気で、子どもたちのもっともトレンドな遊戯となっている。

ゴッド・フィギュアはただ組み立てて飾るだけではなく。各関節部に埋め込まれた魔法石で念動操作ができるために、人間のような格闘バトルも可能となっている。

あのエルフの森で行われた、超巨大神像バトルも、このゴッド・フィギュアの技術をまんま拡大したものだ。

世のゴッド・フィギュアバトル愛好家たちは、勝利を求めてゴッド・フィギュアを改造し、様々なギミックを盛り込み作り上げて壊してまた作って何百回もリゲインするのだ。

それがゴッド・フィギュアバトルの醍醐味でもあるんだ!!

「……ん? 兄ちゃん何こっち見てんだよ?」

群衆に加わる少年の一人から不良のように因縁つけられた。

「オレたちのバトルを見学したいなら、もっと近くで見ていいんだぜ! ギャラリーは大歓迎だからな!」

「プレイヤーもギャラリーも、皆で一丸となって楽しんでこそのバトルなんだからなあ」

しかし意外と暖かく迎え入れてくれた。

これが魔族さんたちの人柄なのか、もしくはゴッド・フィギュア愛好家たちのマナーのよさなのか?

「なんならプレイに参加してもいいんだぜ! 自分のゴッド・フィギュアを持ってればだがなあ!」

「そこにある模型店で買ってきてもオーケーだぜぇ!」

あッ、これカモ探しているだけだった。

しかし残念だったな、こんなこともあろうかと自分のゴッド・フィギュアは持ち歩いているんだ、旅先でも!!

ゴッド・フィギュアバトル草創期からのヘビーユーザーである父の下、僕もまたゴッド・フィギュアの改造とバトルに明け暮れてきた。

その一つの到達点、我が改造の末に出来上がったゴッド・フィギュア、ビルドライトニング・アマテラス改捌でお相手してくれよう!

バトル本編は……割愛!

「ぐわー、やられた―!?」

「何だこの兄ちゃんのゴッド・フィギュア強すぎだろ!?」

「手からビーム出したぞどうなってんだ!?」

二十人抜き達成!

強いぞ、僕のビルドライトニング・アマテラス改捌!

ホビー関係で子ども相手に無双するの楽しい!!

超楽しい!

「そのくらいにしておいたらどうだジュニア殿?」

はいッ!?

勝利に酔いしれる僕の背後から声をかけてくるのは誰!?

しかも僕の名を知っているだと!?

「あ、……アナタはゴティア魔王子!?」

「魔都へ到着したと聞いたからお迎えに挙がってみれば……かなり大人げないマネをしているな。ビーム装備つけたゴッド・フィギュアなんて無双して当然だろう」

いかにも!

凄いでしょう僕のビルドライトニング・アマテラス改捌!

現状僕の最高傑作ですよ!

……あ、いや。

ゴティア魔王子はどうしてここに?

「キミが魔都へ入ったからだと報告を受けたからだ。魔都では人の出入りにチェックが入るようになっているからな。まあ完璧ではないが……」

そんな入国管理局が!?

さすが地上一の大都市、機能が行き届いている。

「特にジュニア殿は、諸国漫遊している事実を事前に掴んでいるので看視部にも注意を喚起していたのでな。速やかに対応することができた」

そ、そうっすか……!?

ところでゴティア魔王子はいつの間に帰国を?

不死山山頂でベルフェガミリアさんやゴールデンバットさんと修行に明け暮れていたんでは。

「一旦切り上げて魔国へ戻ってきたわ。あのお二人から指導を受けるのはたしかに効果的で、成長を実感できる日々であったが、魔王子としての役割を疎かにするわけにもいかないのでな。こちらでの政務が一段落次第また修行をつけてもらうために登山するつもりだ!」

真面目だなあ、この王子様。

まあ、成長を実感できるのはいいことだ。

「ではジュニアくん……いや、農場国の後継者よ、国賓として魔王城へと案内させてもらおう」

ええー?

そのためにお迎えに?

「他に何があるというのか? 人間国では一冒険者として接したが、魔国……我らがテリトリーに踏み込んだからには、農場国との関係を強固とするために重要人物であるジュニア殿を歓迎させていただく」

うおん。

この手の接待は人間国でもしてもらったが魔国の方が手早く迅速。

これが……地上一の国家の力か……!?

「それに、これ以上ジュニア殿を放置すると我が国民の心が折られまくって修復不可能になるかもしれんのでな。なおさらご同行を願いたい」

ゴティア魔王子の視線が周囲に向かう。

そこには、自分たちの自信作を粉砕され敗北に崩れ落ちる少年たちが……。

まって、違うんです! これはゴッド・フィギュアバトルに身を捧げた者なら誰もが通る宿命!

自分が心血注いで作り上げたゴッドが傷つけられ、それでも諦めずに新しく作り直して立ち上がるからこそ素晴らしいんですよ!

「はいはい。わかったから、ちょっと城までご同行くださいねー」

嫌だ!

『ちょっと城まで』は『だいぶ城まで』になるから嫌だ!