軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1086 開拓乱れる時、農場現る

探検家にして超絶開拓者!!

その名はラッチャ・レオネス!!

災い断つべし!

降りかかる災い、その名は人族!

古代より魔族を煩わせる悪逆災禍の象徴が、現代になってなおオレたちに立ち塞がるか!

しかし正義の屈するためしなし!

いつだってオレたちは邪悪なる人族をはねのけて前に進んできた!

つい先年の人魔戦争を勝利で終わらせたのもいい例よ!

今再び、魔族が力を合わせて非道なる人類を打ち倒そうぞ!

ここが天下分け目の分水嶺!

「うるせえよラッチャ・レオネス」

「なんか勝手にリーダー役にしゃしゃり出やがって。オレたちはお前の配下に加わった覚えはないぞ」

同族たちが冷たい!?

どうしてだ!?

「やたらとスケールデカく言い立てているけど結局、単なる開拓地での陣地争いだろ? 辺境の小競り合いみたいなものじゃん」

「それを人魔戦争みたいな歴史的事件と重ねられてもな。スケールが違いすぎて却って自分らの矮小さが浮き彫りになるというか……急に興覚めするというか……」

ダメだ! 冷静になるな!?

くそ、ここ開拓地にやってきている魔族は大体、オレ同様の探検家崩れ。

そして探検家というのはすべからく個人主義。

お宝財宝、最初に見つけたヤツが総取りの早い者勝ちよということで他の探検家など忌々しい競争相手でしかない。

よって今、こうして一緒になって土地を開拓するチームになっても連帯感など芽生えようがない。微塵も。

さらに厄介なことに対する人族は、奇妙な連帯感でもって一丸となってオレたちに襲い掛かるのだ。

その侵攻力は高く、バラバラなオレたちでは耐え凌ぐことすらできない。

あっという間に争いに敗れて、係争地から叩き出されてしまった。

「なんということだ! 正義の魔族が破れることになろうとは!!」

「この世から道理は失われてしまったのか!?」

この点ばかりは他の魔族開拓者たちも無念に憤る。

こういうところから心を合わせて一致団結できればいいのに、肝心なところになると力を合わせられないオレたちだ。

魔族たちの新しい生活領域を求めて開拓地へとやってきたオレたち。

今はまだ草木に覆われて自然の支配地となっているここら一帯を切り拓き、家を建てて畑を耕し、人の領域に作り替えるのだ。

しかし同じことを考えているのはオレたちだけではなかった。

隣国、人間国からやってきた人族の連中……。

かつて戦争を行い何百年と争っていた旧敵も、この地を新たな領地にしようと開拓者を送り込んでいたのだ!!

オレたちが苦労して切り拓いた土地を横取りされて堪るか!

そう思って立ち向かったオレたちだけれど結果は前述の通り……!

さすがは凶暴で凶悪な人族というべきか……!?

このままじゃ本当にオレたちの開拓地は人族に根こそぎ奪われてしまう。

そうならないためにもオレたちは諦めず、今まで複数回にわたる領土奪還戦を挑んでいるものの、いずれもあと一歩というところで成果を取り逃している。

「人族どもは思った以上に精強だ。ただの人族じゃなく、冒険者っていう選りすぐりの荒くれ者らしいからな……」

冒険者。

人族側の開拓者たちがそうした連中で固められていることは前にも聞いた。

しかし何故だ?

向こうが冒険者なら、こっちは探検家だ!

冒険者と探検家は同じような職業。だったらオレたちがこうもあっさり負けてしまうのはおかしいんじゃないか!?

「バカだなお前は。冒険者は、向こうの国じゃ知らないヤツがいないほどメジャーな職業だぞ」

「冒険者ギルドが運営されて規模も探検家とは比べ物にならない。その上階級がF~Sまで細かく分けられていて日夜切磋琢磨に勤しんでいるんだ。だから質だって半端じゃない」

「そんな連中とまともに張り合って勝てるわけないよなー」

ぐぬぬぬぬぬぬぬ……!?

テメエらそう簡単に納得していいのか!?

このままだと本当にオレたちは開拓地から締め出されて、これまで開拓で流した汗も無駄なものとなってしまう。

それでもいいのか!?

よくないというなら戦わねばならぬ!

何度くじけようと不撓不屈の信念をもって戦い続け、あの人族どもを……冒険者どもを駆逐し一人残らずこの開拓地から抹消するんだ!

さあ突撃せよ!

魔族の興廃この一戦にあり!

不退転の決意をもって進め、進め!

我らに前進以外の道はない!

* * *

そんな風に泥沼の争いが続いていたある日のことだった。

「おいラッチャ・レオネス! 戦場の動きがおかしいぞ!?」

どうした?

相変わらずオレたちが人族側に攻撃を仕掛け、あえなく撃退されては退却して傷を癒してまた攻撃……というプロセスの繰り返しで一種の膠着状態が形成されたのではなかったか?

「それが……、モンスターが現れたようなんだ。オークやゴブリンといった擬人型が主体だ」

モンスターだと!?

バカな! ここいら一帯は入植して以来ずっとモンスターなんて見かけなかったじゃないか!?

モンスターはダンジョンから溢れ出る怪物たちだから。近辺にダンジョンがなければ自然モンスターも現れない。

資源倉庫としてのダンジョンがないというのは残念だが、モンスターの危険に晒されないというのは住処として間違いなく好条件。

そういう意味でもここは開拓地として優秀だなと思っていたのに!?

やっぱり近辺にダンジョンがあったということか?

それかもしくは……人族どもが、オレたちに対抗するためにモンスターをけしかけてきた!?

「いや、そういう魔術はオレたち魔族こそが得意としていて、人族側にモンスター使役の術なんてなかったはずだ……!」

「だったらなおさらどうして?」

とにかく、ここで考えていても仕方ない。

状況をしっかり把握するためにも現場へ行って真実を見極めねば!

全力疾走だ!

……息切れ……休憩、また全力疾走!

……到着!!

これは!?

たしかにオークやゴブリンが暴れ回っているじゃないか!?

そして人族どもを攻撃している!?

「凄いぞあのモンスターども! 人族たちを蹴散らしている!」

「オークやゴブリンってあんなに強かったか? 人間どもがまるで歯が立たないぜ!?」

た、たしかに戦場に現れたオークたちは、オレが知るものより気持ち四、五倍は強いように思えた。

冒険者として鍛え抜かれた人族どもであるのに、それすら通用せず一方的に吹き飛ばされていく。

さっきまで人族に挑んでいた俺たちと同じように。

は……、アレはまさか?

「応援? 魔国からの応援じゃないか!?」

「え? なんで!?」

「モンスターを使役するのは魔族の術だってさっき言っていただろうが! それに加えて明らかに通常より強めのモンスターたち。どこかで使役用の擬人モンスターを強めに改造する研究が行われていると聞いたことがある!」

しかし戦争が終わってしまったためにお蔵入りになってしまった悲しい技術とも聞いた。

それをこの開拓地に投入したんじゃないか?

満を持して!

反逆ののろしを上げる愚かな人族どもに、魔族の恐ろしさを再び思い知らせんと!

「なるほど! たしかに言われてみれば、そんなそんな気もしてきた!」

「今こそ好機ぞ! あのモンスター援軍と共に人族をボコボコにしろー!!」

すわ好機と、オレたち魔族側開拓者も武器をかまえて戦場に雪崩れ込む!

おらー、人族は皆殺しじゃー!!

誰もが勝利を確信して戦場で勇躍せんとした時……。

オレたちは別の意味で躍り飛び上がった。

モンスターたちに殴り飛ばされて。

「なんだああああああああッッ!?」

どうして!?

どうしてオレたちまで殴り飛ばされる!?

ノー敵!

アイアム ノー敵!

我ら魔族、殺すのは人族、向こうが敵!

アンダスタン!?

「何を言っている? いつ我々が魔族の味方だと言った?」

え? 誰が喋った?

モンスターが喋った!?

魔国の研究機関は、モンスターに会話機能まで盛り込んだのか?

「何を勘違いしているかは知らんが、我々は魔族に味方して人族と敵対しているのではない。強いて言うなら平和を乱す者すべての敵だ。そして我々が忠誠を誓う対象はただお一人……」

オークが厳かな口調で言った。

「聖者様だ。偉大なる聖者様の命によって、そのお膝元を騒がせる者どもに罰を加える」