軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

26 変わる未来

「というわけで、世界の崩壊を防ぐために全力疾走レベリングが確定しました!!」

笑顔で家に戻って、そして暗い雰囲気で待っていた彼女たちに元気よく第一声を放った。

空気が読めないとか、彼女たちにもう少し気を遣えなんて罵声がどこからか飛んできそうだが、そんなこと知ったことか。

「何とかできるの?」

「何とかするのがリベルタさんです」

空元気も元気の内。精霊王にも虚勢を張ったのなら張り続けろと言われたことだし、失敗する可能性を踏み潰す勢いで肩肘を張る。

ネルの不安を吹き飛ばし、大丈夫とサムズアップして他の面々にも安心感を与える。

「ただ、俺一人だと無理なので、皆も協力してくれ!」

しかし、できないことはできないと、しっかり言っておかねばならない。

俺の知識でアジダハーカの弱点とかは把握しているし、それ専用の武器を精霊王にお願いして鋭意制作中だ。

まさかあれをこんな序盤から用意する羽目になるとは思わなかったが・・・・・

「僕たちで力になれるの?」

「むしろ、この世界で一番頼りになるのはここにいる皆なんだが」

アミナを含め、ここにいる面々は俺が監督して万全の状態でレベリングをしてきた。

そのステータスの高さや自身の能力の使い方のノウハウの多さは、この世界では他の追随を許さないと自負している。

ここにいる面々に協力してもらえないのなら、一回外の世界に戻って公爵閣下に土下座して兵士を連れてきてパーティーを組むしかない。

しかし流石に一からレベリングは勘弁してほしい。

「この身はリベルタ様にお仕えするためにあります。何なりとお申し付けください。世界のためというのでしたらこの命も差し出す覚悟です」

「協力してくれるのに積極的なのは嬉しいけど、命は大事にね。大丈夫、全員無事に帰ってこれるようにするから」

それにこれほどまでにバランスが取れて、才能がある面々がそうそう揃うとも思えない。

「もちろん私も協力させていただきますわ!リベルタが大丈夫というのでしたら、万事うまくいくということでしょう?」

「期待が重いなぁ。でも、その期待に応えますよ」

ネル、アミナ、イングリットの三人はストーリーでは俺の知らない存在だった。

それなのにも関わらず、ここまで才能豊かだとは思わなかった。

「保護者である私が逃げるわけにも行きませんね。それに、強者と戦えるのでしたらこの試練もやる気が出るという物です」

「今回の戦いを乗り越えたら他の敵がだいたい手ごたえが無くなっちゃいますよ」

「ふむ、その心配がありましたか」

エスメラルダ嬢はストーリーでは過去の人物だった。だけど今は俺の隣にいてくれる。

クローディアはゲームの時から強者であったが、今はそれ以上の強さを得ようとしている。

これまでも色々とやらかしてきて今さらだが、おそらく今回の一件で、まず間違いなく原作は崩壊する。

元々この世界に来たときから好き勝手にしてきて、今更そこを気にすることもないだろうが、いままではかろうじてFBOの原作のストーリーの展開に沿って、まだ修正が利くであろう状態だった。しかし今回の事態で、完全に原作を逸脱した未来へと進むことになるだろう。

そうなれば俺の知識が役に立たなくなることも多くなる。

特に人関連では顕著に現れるだろう。

原作で救われるはずの人が救われず、原作で救えなかった人が救われることもあるだろう。もちろんなんら原作と変わりなく生活を送る人たちも居るかもしれない。

この世界はゲームに似ているが、ゲームの世界ではない。

しっかりとした現実だ。

元々決まっていた未来ではない、ここからがある意味で原作に縛られない世界になるのかもしれない。

そうなるための試練だとしても、些か以上に重すぎるような気がするけどね。

「じゃぁ、リベルタ!やるべきことを教えて!」

「任せなさい!」

だが、やると決めたのならとことんまでやってやろうじゃないか。

原作崩壊上等!って啖呵を切れれば恰好がつくかもしれないが、今はそんなことよりもアジダハーカ討伐に専念しないといけない

ここから先は俺の知らない展開がもっと待ち受けていると思えば逆にワクワクしてくるってものだけど、その気持ちも今はちょっとだけしまっておこう。

「ひとまずはレイニーデビル討伐を目指してレベリングを再開します!残るユニークスキルの獲得は、今はエスメラルダさんだけやって、そこからは」

「ちょっと待って!リベルタ君、ひとまずって言うけど、この間はあれに勝てないって言ってたよね」

「うん、あの時は勝てなかったけど、これから勝てるようにするから大丈夫!いつまでも勝てないと放り投げるようなことはしないから安心して!」

「安心できる要素があったかしら?」

まぁ、ここから色々と無茶なことを言い続けるけど無理なことは言わないから安心してくれ。

ネルが頭痛を堪えるような仕草を見せると、エスメラルダ嬢は苦笑し困ったように頬に手を当てる。

イングリットは相変わらず静かに佇み、クローディアはあれと戦うのかと感心するように頷く。

四者四様。

「ない!だからこれから作る!!」

「これが、リベルタ君だよね。僕たちがやってきたことって、思い出してみるとすっごいことばかりだし」

その反応に納得しつつ、不安要素を取り除くために行動指針を提示する。

「とにもかくにもレベルアップと、スキル獲得しないと話にならない。明日からレベリングを再開して最終的には精霊界に居る間にクラス8まで持って行く」

「?精霊界のダンジョンはクラス7までしか作れなかったよね?」

「その通りだけど、クラス7のダンジョンボスはクラス8だから、効率は悪いがボスでレベリングをする」

根本的に強くならないと、これからの戦いの舞台にすら上がれない。

スキルスロットの獲得とか、スキルの獲得とかあるけど、精霊界であればその諸々が確保できるから問題はない。

「とりあえず、クラス5のレベリングの要項を説明するな」

「前に少しだけ聞いたわよね。たしか、スキルの数とレベルが関係しているとか」

「正確にはスキルのクラス総数が関係してくる項目があるということだな」

クラス5からは雑にレベリングすると本当に後悔する。

「EXBPの獲得条件は全部で五つだけど、このクラスになってくるとかなり面倒な条件なんだよね」

今までだったら、各獲得条件を達成すれば一つくらいは絶対に取れるようになっている。

「まず前提条件として、スキルのクラス合計値が合計で50を超えていること。これは各スキルのクラスを合計すればいいから。ステータスを確認してくれ」

「え、計算するの?」

「アミナはスキルの数が多いから問題ないが、あとで計算ドリル作るから一緒に勉強な」

「ええ!?」

しかしこれからはこの前提条件を達成しておかないとEXBPをそもそも取ることができない。

スキル獲得数が少なかったり、しっかりと育てていない状態で突入するとピタリとEXBPが取れなくなる。

クラス5のEXBPはまだ入門編みたいな感じで前提条件が優しく一つしかないが、クラス6になると二つ、クラス7になると三つと前提条件が増えていくし毎回変わっていく。

アミナが勉強と聞いて、嫌だなぁと顔で訴えてくるがそれはスルーして毎度おなじみのEXBP獲得条件を説明する。

「全員とりあえず前提条件は達成していると思う。それを踏まえて五つのEXBP獲得条件を教える。まず一つ、パッシブスキルに極み以上を一つ所持しかつクラス10まで育成したスキルを二つ所持している状態でモンスターを倒すこと」

「・・・・・ここまで修練を積んでいるのだからそれくらいはできていて当然と言わんばかりの要求ですね」

「公爵家で雇っている兵士でクラス5までいけた者はごくわずか、その者達もクラス10まで育成したスキルは持っておりませんわ。そもそも極み以上のパッシブスキルは伝説の物ですわよ」

一つ目の条件を聞いただけで、クローディアとエスメラルダ嬢からできている方がおかしいという言葉を頂きました。

その気持ちは非常にわかるが、これはそもそもクラス3の発展形という感じでまだ優しい部類だと思う。

「二つ目、自身よりもレベルが10以上離れたモンスターでレベルを上げること」

「シンプルね」

「でも、普通に強い敵と戦えばいいって今までなかった分なんか怖いね」

「今はまだいいけど、クラス6になるとその差が20になって、クラス7になると40、クラス8で60、クラス9で100って差が広がる連続条件だからこれからどんどん厳しくなるぞ」

「「え」」

そしてここにきて格上との戦闘を強いるような条件。

EXBPを獲得していれば、現状では問題なく挑める条件だけど、この条件はここで初めて出る、クラスごとに継続して与えられる試練だ。

段階的に条件が厳しくなり、そして戦うモンスターとのステータス格差も埋められ、苦戦を強いられる条件となる。

今はまだ楽だけど、今後はどんどんきつくなるという条件にネルとアミナの表情が青ざめる。

「三つ、一度の戦闘を十分以内で終わらせること」

「時間制限ですか。区切りはどこになるのでしょうか?」

「モンスターをすべて倒し切って、次のモンスターからの攻撃が三十秒以上ない状態を指すな」

「なるほど、仮に遠目にモンスターが見えていても三十秒以上の空白時間があれば問題ないということですか」

「そう言うこと」

そして縛りプレイっぽい内容がどんどん出てくるようになってくる。

まぁ、厳しい条件を達成してこそ、追加で得点を貰えると考えれば妥当なのだが。

この条件を達成するためにイングリットのユニークスキルでモンスターの数を調整するのと、接敵前に偵察で相手モンスターの数を調査するのが重要になる。

要は立ち回りを大切にしないといけなくなる。

「四つ、エンカウント回避アイテムを使わない」

「エンカウント回避アイテムって?」

「簡単に言えば、モンスターが寄ってこないようにするアイテムだな。効果が高い物は本当にモンスターが寄ってこなくなる物から、少しだけ寄ってくるように微調整したものまである」

「それがあったらダンジョンの攻略が簡単になるわね」

「その代わり、強くはなれないって言うことだな」

そして次に課せられる条件は便利アイテムの禁止。

俺はここまで使ってこなかったが、モンスターを避けるためのアイテムというのは存在する。

そのアイテムはダンジョン内でこそ真価を発揮し、上手く使えばボス部屋までモンスターに出会わず一直線でたどり着くこともできる。

レベリングもモンスターとの接敵を調整して安全にできるようにする効果もあるから便利アイテムだと言える。

これを使い続けているのに慣れて、ダンジョンでつい使ってしまうとEXBPを取り逃すという罠だな。

「そして最後の五つ目、以上四つの条件を全て達成している状態でモンスターを倒しレベルをあげること」

「うわぁ、前にもあったよね」

「確か、クラス3の時にだったかしら」

「この条件は奇数クラスの定番だな。条件がどんどん増えるし本当に一つでも落とすと二つ分のEXBPを損失するから勘弁してほしいんだけどな」

クラス5のEXBPの獲得条件はシンプルにまとまり、そして今までのような変則的な物ではなくなった。

どちらかと言えば、今までの成果を確認して来ている。

しっかりと育ち、楽せず、効率的に倒せるかという中間テストのような内容。

「気を付けないといけないわけね」

「僕としては、またステータスを振るとき計算しないといけないのが不安だよ。間違ったらどうしよう・・・・・」

「それじゃぁ、その計算もできるように今日の宿題に足しておくか」

「そんな!?」

だが、今までしっかりと修練を積んできた俺たちからすればそれは通過点だ。

普通に戦い、そして攻略するだけの話だ。

「安心しろ、俺とネルで立派に計算できるように鍛えるからな」

「ええと、お手やわらかにお願いします?」

「明日に支障をきたさない程度には抑えるからな!」