軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

468.リリー様とピクニック

「じゃあ、行きましょうか」

「はい」

「「お気をつけていってらっしゃいませ」」

城門でチグサ様とメルロス様に見送られ、私とリリー様はお互いの愛馬に騎乗し、今日の目的地の湖に向かった。都の門に行くまで、私達を見つけた大人達は会釈を、子供達はリリー様に手を振っていた。

「ふふふ、いい国ですね」

「でしょう?他国から嫁いだわたくしのことも、最初から気遣ってくれたのよ。だから、東の国に嫁げたことはわたくしにとって本当に良かったと思っているの」

門を抜けると、本領発揮とばかりに 常歩(なみあし) から 駈歩(かけあし) に変わる。湖は2刻程の場所にあるらしく、今の時期は早咲き桜が咲いているということだった。

ーーー2刻後。

「うわ〜っ。桜が満開」

「ええ、ちょうど良い時期だったわね。もう少し行くと四阿があるから、そこで休憩しましょうか?」

「はい」

四阿の所で、スノーから下りてテーブルにストレージから出したお弁当を並べていく。私に合わせて、馬車に乗ってついて来た侍女がお茶を入れてくれる。四阿の周りは近衛騎士が周囲を警戒している。

「あの、四阿に【結界】張りますよ?」

「まあ、でもジョアンちゃんが疲れるでしょう?」

「いえ、私ではなく契約獣のベルデが。それだと騎士様達も侍女さん達も休憩出来ますよね?」

「ジョアンちゃんは優しいのね。じゃあ、お願いしようかしら?皆、楽にして良いわ」

「これ、良かったら」

そう言って、近衛騎士達と侍女におにぎり弁当を渡した。中身は、鶏唐揚げおにぎりとおかかおにぎり、卵焼き2種、ソーセージのケチャップ炒め、アッパラ(アスパラ)のベーコン巻き

「まあ、皆の分まで作ってくれたの?」

「ええ。サナダ家の料理人さん達に手伝ってもらいましたけど。こちらはリリー様に」

ストレージから重箱と皿と箸を出す。

重箱の中身は、一の段には卵焼き2種、ソーセージのケチャップ炒め、唐揚げ、アッパラのベーコン巻き、ヌルイモ(里芋)の煮物。二の段には、ちらし寿司。三の段には、プチケーキとフルーツ。

「まあ、美味しそうねぇ。これをジョアンちゃんが?」

「はい。お口に合うと良いんですけれど」

「……ん〜、美味しい!!あら、卵焼きは味が違うのね」

「ネーギが入ったのはだし巻き卵で、何も入っていないのは甘めの卵焼きです」

「うんうん。どちらも美味しいわ。皆はどう?」

「はい、最近噂の唐揚げがおにぎりの中に入っているなんて驚きでしたが、大変美味しいです!!」

「キャッツブシは出汁を取るだけのものだと思っていましたわ。でも、セウユに合わせると米に合いますね」

近衛隊も侍女さんも気に入ってくれたようで、既に完食している人もいた。足りなそうなので、追加で焼き菓子を出しておく。

「ふふふ、ジョアンちゃんのストレージは玉手箱のようね」

その後、湖の周りを散歩しながらリリー様と色々な話をして、城へ戻って来た。

「リリー様、ありがとうございました。楽しかったです」

「こちらこそ、美味しいお弁当をありがとう。では、また明日の宴でね」

「はい」

散歩中に、リリー様から明日の夜、城で私の歓迎の宴を開いてくれることを聞いた。城では、他国から来た方をもてなす場合は謁見の間のような畳敷きの大広間ではなく、土足OKな洋室の大広間があるそうで、明日はそこで夜会を開くという。そこでの服装は、和服でもドレスでも良いらしい。リリー様は、いつも和服でいることが多いからドレスを着るそうだ。

*****

ーーー翌日。

ランチが終わり、縁側でお茶を飲んでいると良い笑顔のリッカ様と侍女さん達がやって来てお風呂に連行され、あれよあれよと隅から隅まで洗われ、極楽に行けそうなぐらい気持ちのいいマッサージをされ香油を揉み込まれ、前日にリッカ様に選んでもらい用意していたドレスに着替えさせられる。その後は、メイクをされた。

ちなみに今夜の装いは、ブルーのワンショルダードレスで、肩の部分から胸を通ってウエストまで、花心にファンタズモの真珠を使った同色の花が縫いつけてある。メイクは侍女さん任せで合間に軽食を頂いた。

「なんやの?嬢ちゃん、ぐったりやないか」

着替え後、洋室の応接間で背もたれにもたれ掛かっていると、和装に着替えたさっちゃんとリッカ様が入って来た。

「久々にドレスアップが疲れる事を再認識していたとこ」

「あっははは。そりゃそうやろな。社交界シーズン初めから国外出とったら、そうそうドレスきぃひんやろ」

「そうそう。夜会自体が久々なのに他国のって中々ハードル高いでしょ。大丈夫かな?ほら、私って人見知りじゃない?」

「嘘こけー!!嬢ちゃんが人見知りやったら、この世界全員人見知りやわ」

などと、さっちゃんとリッカ様と話をしていると、シラヌイ様達もやって来た。シラヌイ様とセイカさんは紋付き袴、タイキさんとケイさんはタキシードだった。

「おぉ、ジョアンちゃん超綺麗〜」

「ありがとうございます。ケイさんも、素敵ですね」

「でしょ〜。素材が良いからね〜」

「ケイ、何をセルフで褒めてんだよ。……ジョアンちゃん、いつもは可愛いのに、今日は綺麗だ」

「ありがとう。タイキさんも、いつもより何百倍も何千倍も格好良いよ」

「……何百倍もって、商人姿のこと言ってる?」

「うん。太っちょ親父の商人より断然格好良い」

「……なんか複雑なんだけど」

商人姿から比べてと言ってみたけど、本当は普段タイキさんがタキシードでビシッと決めている姿が、目が合わせられないぐらい格好良すぎてふざけただけ。

いつもは気安く話かけられる兄ちゃん的なタイキさんが、タキシード着て髪をセットしただけでこんなに色気ダダ漏れは聞いてないよ〜。目、合わせられないじゃん!!