軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

465.ジョアン印

「す、すみませんでした!」

つい泣いてしまい恥ずかしくて真っ赤になりながらも頭を下げて謝る私に、サナダ家の皆さんは、気にしなくていいと微笑んでくれた。

「……嬢ちゃん、色々考えとったんやな。ちゃらんぽらんとちゃうんやな」

「誰がちゃらんぽらんやねん!さっちゃんに言われたないわ」

「あっははは。それでこそ嬢ちゃんや。あんたに泣き顔は似合わへんで」

「……さっちゃん」

それから、パール達を紹介し皆さんが一通りモフモフした後に客室へ案内された。

「はあ〜、さっちゃんとタイキさんというか、お祖母様やお父様達にしてやられた感が否めない。まさか、あの2人が公爵家の人だなんて」

『うふふ。でも、あの2人はあの2人のままよ』

『そうそう。いつも通りだよ』

『それにあのお二方のお陰で、ジョアン様も気取らなくて良かったではありませんか』

「まあ、そうなんだけどさ」

パール、ロッソ、ベルデは私が私らしく過ごせるのなら、あの2人が公爵家でも関係ないと言ってくれる。ちなみに、メテオは都を散策してくると文字通り飛び出して行った。

*****

「さあ、遠慮せんと食べてや。ぎょうさんあるよって」

さっちゃんの計らいで、料理人達に東の国の料理を色々とお願いしてくれたようだ。前世でも慣れ親しんだ食べ物もあり、私はお言葉に甘えて遠慮なく食事を楽しんだ。

夕食後、テラスというか縁側のある部屋で皆さんとお酒を酌み交わす。

「あっ、こんな質問失礼かも知れませんが……お土産何が良いでしょうか?実は、色々と考えていたんですがさっちゃんとタイキさんがいるとなると、私の持参した物はありきたりかと思いまして」

「まあ、色々と話は聞いていたがね。ちなみに何を予定していたんだい?」

サイウン様から聞かれた私は、ストレージから考えていたお土産を出していく。私が作った梅酒(30年もの)、どぶろく、ドライフルーツ、カレールー、塩辛、草餅……などなど。前世の記憶から私が食べたくて作った物ばかり。

「こんなに?」

「ええ。祖母からも和食であれば喜んで頂けると聞いていたので。でも、これだとーー」

「「「「欲しい!」」」」「欲しいわっ!!」

私の話の途中で、サイウン様が梅酒、シラヌイ様がどぶろく、リッカ様がドライフルーツ、セイカ様がカレールー、ケイ様が草餅を手に取っていた。特にリッカ様は鬼気迫るものがあり、さっちゃんとタイキさんはドン引きしていた。

「え、えっと……喜んで頂けて良かった……です」

「すまんな、嬢ちゃん。ウチらが嬢ちゃんの料理の話を皆んなに話しとったから、こうなるとは思ったんよ」

「まあ、俺もばあちゃんもジョアンちゃんの料理を食べたことを自慢してたからな〜」

私が困惑しながらも良かったと言うと、さっちゃんとタイキさんが今までエグザリアで食べていた私の料理を皆さんに自慢していて、その度に皆さんからずるい!と言われていたそうだ。ドライフルーツは一度、持ち帰りリッカさんに渡したところいたく気に入り次はまだかとせっつかれていたそうだ。

「美味いっ!!さすが年代もの!!さあ、シラヌイも飲め」

「父上、このどぶろくもいいですぞ。さささ、どーぞどーぞ」

「ふふふふっ、ようやく手に入れましたわ。ジョアン印のドライフルーツ。ふっふっふっ、ふぁっはははは」

酒を飲み交わす父子の横で、ドライフルーツをリスのように食べながらブツブツ呟き笑い出したリッカ様。

カオスだわ。

しかもジョアン印って、何?

「……ジョアンちゃん、ウチの家族がごめんな」

「あっ、いえ、タイキさんが謝ることないですって。これだけ喜んでもらえたんなら」

「……んまっ。俺も、ジョアン……ちゃんって、呼んで……いい?」

「は、はあ」

「兄貴、草餅飲み込んでから話せよ!」

「じゃあ、俺も俺も。タイ兄よりも年が近いし、ね?」

「は、はい」

パシッ「ケイ、気安く触んな!」

3兄弟は三者三様。

長男で商才があり実業家をして、興味のあるものにはとことん追求するが、自分には無頓着で抜けたところがあるセイカ様。末っ子で公爵家経営の商店を何店舗か任されて、自分の容姿を最大限に使い同年代から年配の女性にまで可愛がられて "みんなの末っ子” の二つ名を持つが私より3才年上のケイ様。そして、次男でエグザリア王国と東の国のパイプ役、サナダ家の中では私と1番付き合いの長く、絶賛ツッコミ役に徹しているタイキさん。

そんな賑やかな3兄弟のやり取りから離れた縁側では、さっちゃんと私の契約獣達がいつも通りお茶を飲んでいた。

「……ほぉ〜、なるほどなぁ〜。ほんで?」

『そうそう、それでねーー』

『ジョアンったらーー』

『姐さんの勇姿をーー』

『いやいや、あれはーー』

などと、これまでの旅の話をしていた。時折り皆んなで笑っているから、きっと私のやらかした事など話しているんだろう。

明日は、サイウン様とシラヌイ様と一緒に登城するように手配してくれていた。私が申し訳ないと言うと

「いやいや、どうせ仕事に行かねばならんからな。……行きたくないが」

「父上がちゃんと行かないと、補佐官の私の仕事が増えますから!」

「だって……」

「だってじゃない!!あなた、宰相でしょ!!宰相が駄々捏ねてどうするんですか!!」

「……ウチの息子が厳しい。ワシは、そんな子に産んだ覚えはないぞ」

「産んでくれたのは母上です」

「いやん、酷い!!」

と、酔っ払い父子の漫才が始まった。

ってか、サイウン様宰相だったのか。

ん?じゃあ、さっちゃんは宰相夫人?マジか!?

「驚いたやろ?ウチが宰相夫人なの」

「うん。マジで?」

「マジや。あの酔っ払いも、やる時はやるから城ではあんな風ちゃうで。ただ酒好きやけど弱くてなぁ〜。明日、二日酔いやろな」

「その時は、私の【アクア】の水渡すよ」

「頼むわ。あーあかん、酔っ払い寝始めたわ、連れてかな。ほな、嬢ちゃんまた明日な」

「はい。おやすみなさい」