軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

434.息子さん家族

ーーーバートン家厨房。

「すみません。いきなりやって来て」

私は厨房の料理人達に頭を下げた。

「いやいや、お館様が無理に連れて来たって聞いていたからな。なんでも、美味いスープを作るって言うじゃねーか」

「しかも、干からびたシイタケを使うんだって?」

「それ、大丈夫なのか?ってか、お前はちゃんと飯食ってんのか?鍋も持てねーぐらい細いじゃねーか」

「他に必要な材料があれば融通するよう言われているが、何が必要だ?」

料理人達は意外とウェルカム体制だった。しかも獣人より細い事で、ちゃんと食べているのか心配までしてくれた。

「あーはい。確かに急にお呼ばれしまして。あっ、これお近づきの印に」

と、ストレージから塩ガーニックの唐揚げ、トンカツ、つくね(塩)の肉盛り3点セットを出した。

「「「「「「おぉ〜」」」」」」

料理人達は3点セットの味を気に入ってくれて、それから色々と手伝ってくれた。やっぱり、どこでも賄賂的な物は必要だと改めて認識した。皆んなのサポートもあり無事に干しシイタケスープ改を作ることが出来た。改良版は、具をデーコンだけではなく鶏肉を入れた。その方が、領主様が気にいるという料理人達からのアドバイスがあったから。

夕食では私の作ったスープと、肉盛り3点セットも少量ずつ出した。

「おぉ、干したシイタケから、ここまで旨味が出るとは知らんかった。それに、この唐揚げ、以前王都で食べた事はあるがそれよりも格別に美味い!!」

喜んでもらえて良かった〜。

獣人=肉って考えは間違っていなかったみたいだわ。

「満足していただいて良かったです。それも、あの露店のお婆さんとお孫さんの目利きが良いからですね。こんなに立派なシイタケを見つけられるのですから。野菜も出来が良かったですし」

「本当にのぉ。あの者達には、我が家の専属にしても良いぐらいだな。……チャガラ」

「かしこまりました」

その後、あのお婆さんとお孫さんがバートン家の専属になったことを、私は後々知ることになる。

「……さて、ジョアン嬢、悪いとは思ったが色々とジョアン嬢について調べさせてもらった」

「はい。それは、当たり前なことだと思っております」

貴族が自分と関わる初対面の人間を調べないなんて事は決してない。それは自分だとしても、相手のことを調べるだろうから何の嫌悪感もない。

「正直な話、ジョアン嬢の事を調べれば調べるほど、興味が湧いた。奴隷商事件、自称ヒロインと言う王族との関わりを持とうとする男爵家の庶子の件、Bランカーの冒険者にして "食の女神” という肩書き。そして、フェンリル様や精霊と契約をしている事」

自称ヒロイン……飴ちゃん元気かな?手紙のやり取りはしているけど。今度、陣中見舞いにでも行こうかな?

「そこで、折り入って頼みがあるのだが……」

「どのような事でしょう?内容によって、出来ることと出来ないことがありますので、現段階では返答出来ませんが」

私は、無理なことをやるつもりはない。無理してやっても成果が上がるとは限らないから。

「もちろんじゃ。頼みと言うのは……王都に行く前に、ぜひ我がバートン領に寄って息子達にパール殿を会わせたいのじゃ」

「へ?」

無茶なお願いと思ったら、そんなこと?

驚きすぎて、変な声出ちゃったよ。領主様ってば、ため過ぎだから!

「そんなことであれば、お易い御用です」

「ほ、本当か。ありがたい。もちろんワシも一緒に行くつもりじゃ。チャガラ、アイツに文を」

「かしこまりました」

領主バートン様の息子さんは、現バートン辺境伯。ご家族は奥様と息子さんが2人、娘さんが2人いるそうだ。

バートン領は、王都へ向かう途中にありミンコフからは1泊2日で行ける距離らしい。

*****

ーーー翌日。

「申し訳ないのぉ。こんなにバタバタとするとは、思わなんだ」

「いえ、お屋敷に泊めて頂きありがとうございました」

息子さんに連絡を取ったところ、外せない予定が入っているらしく、その為に翌日にはミンコフを発たなくてはならなくなった。

道中は、パールのお陰で私達にとってはいつも通りの快適な旅だった。でも、一緒に移動している領主様や私兵団にとっては驚くべきことだったようで……

「いやいや、ここまで魔獣に遭遇しない旅は初めてじゃ。さすが、パール殿!」

「「「「「さすがです!!」」」」」

と、パールをずっと褒めまくっていた。それにパールは、少しゲンナリしながらも無事にバートン領都アレーズに到着した。

頑丈そうな門を通り抜けーーもちろん先代辺境伯の馬車はスルーパスーー辿り着いたのは、要塞と言ってもいいような城だった。

まあ、我が家も似たような造りだから、辺境伯あるあるなのかも。

馬車が馬車寄せに止まると、外側から扉が開く。

領主様のエスコートで馬車を下りると、玄関ポーチには息子さんらしきご家族と使用人が勢揃いしていた。

「大旦那様、お帰りなさいませ」

「「「「「「「「「お帰りなさいませ」」」」」」」」」

使用人達が頭を下げる中、領主様に近寄って来たのは息子さん。

「父上、長旅お疲れ様でした」

「おお、出迎えご苦労。まずは、応接間に。ジョアン嬢、こちらじゃ」

エスコートをされ応接間に入ると、その後ろから息子さん家族がついて来た。更にその後ろからは家令さんらしき青年とティーセットがのせられているワゴンを押して来た侍女さん。

「ジョアン嬢、紹介しよう。ワシの息子で、現バートン辺境伯のジェレミー。その隣が嫁のサラビア。そして、ワシの孫で左から双子のアハディとシェンジ、その妹でこちらも双子のナラとサフィナだ」

バートン辺境伯家は、黒豹族で先代辺境伯のウル様の奥様も黒豹族だったそうで、その息子さんジェレミー・バートン辺境伯は黒豹族でウル様と同じ黒い髪に黄色の瞳の色合い。その奥様、サラビア様は雪豹族だそうで、白い髪に水色の瞳がとても綺麗。お子様達の色合いは、男の子の双子アハディ君が黒豹、シェンジ君が雪豹で12才、女の子の双子ナラちゃんが黒豹、サフィナちゃんが雪豹で8才だった。

「急な訪問をお許し頂きましてありがとうございます。私は、エグザリア王国、ランペイル辺境伯家が長女、ジョアン・ランペイルと申します」

と、カーテシーで挨拶をする。

お互いに挨拶をしたところで、領主様が訪問理由を告げると、息子さん家族と家令さんの目が溢れるぐらい大きく見開いた。