軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

389.つがい

夜会が終わり、他の貴族が帰って行く中、私とお父様は指定された部屋へと向かう。侍従から案内された部屋には、既に宰相様、リバークス侯爵、レルータ伯爵とそのご夫人達がいた。

「申し訳ない。エマらご夫人達もパール殿に会いたいと。」

「私は構いません。では……パール。」

パールはディメンションルームにいたので呼び出す。

「パール、皆様にご挨拶を。」

『はじめまして、フェンリルのパールでしゅ。』

「あれ?」

「「「「ん?」」」」

「「「まあ、可愛いーー!!」」」

なぜかパールは、仔犬サイズで出て来た。その為、ご夫人達のハートを鷲掴みしている。

「どうして仔犬サイズ?」

『だって、可愛いでしょ?』

と、言いながらコテンと首を傾げる。

「「「きゃーーーっ!!!」」」

仔犬パールのあざと可愛いさに、エマ様達撃沈したわ。話し方まで仔犬ver.になってるし。

お父様達は、普段のパールを知っているから苦笑いしてるし。

まあ、モフモフ布教には最適だから、良いか。

しばらくすると、陛下達とアニア国メンバーが部屋へとやって来た。私達は、頭を下げて出迎える。

「皆、待たせたな。楽にして良い。アニア国の皆様もどうぞ席へ。」

陛下の言葉で、頭を上げて促され席へつく。

「まあ、可愛らしい。こちらがお話しされていた?」

と、シア様。

「ええ、まあ。だが……ジョアン嬢、なぜパール殿は仔犬の姿なんだ?」

と、アルバート殿下。

「……なんとなくらしいです。」

さすがに正直に言えずに、誤魔化してしまった。

「パール、成獣サイズでご挨拶を。」

パールは成獣サイズに変わる。

「「「「おぉ。」」」」

リジャル殿下、ティガー宰相補佐様、ハイロー親子が目を見張る。

『只今ご紹介頂きました、ジョアンの契約獣、フェンリルのパールと申します。以後お見知り置きを。』

パールの挨拶を聞き、アニア国メンバーは、片膝をついて頭を下げる。

「我がアニア国の守り神であるフェンリル様。この度、ジョアン嬢の計らいでパール殿にお目通りが叶い、大変嬉しく存じます。」

『……以前にも申しましたが、私はジョアンの契約獣。ジョアンに命を救われ、主と共にいる。貴殿の国、アニア国の守り神ではない。』

中々頭を上げてくれないリジャル殿下達をどうにか説得して、席へついてもらう。

「申し訳なかった。ティガー宰相補佐から、パール殿が困るからと言われていたのだが、いざお会いすると首を垂れたくなる神々しさがありまして。」

と、リジャル殿下が申し訳なさそうに言う。

「ランペイル辺境伯令嬢、いつかアニア国へぜひ遊びに来てくれ。アニア国では、ここ何年もフェンリルが現れていないのだ。ぜひ、我が父にパール殿を会わせてあげたい。」

「ええ、いつか機会がありましたら。」

と、当たり障りのない返事をしておいた。

「もし、来られるのであれば、ぜひ我が家へお泊まり下さい!」

「「「「「ガロン!?」」」」」

イデアさんの弟、ガロンさんの誘いに私だけではなく、リジャル殿下、ティガー宰相補佐、ハイロー侯爵、イデアさん、リバークス侯爵が驚いた。

ちなみに、イデアさんとガロンさんはカズール先輩の再従兄弟だそうだ。カズール先輩と同じ19才のイデアさんは、髪の毛は濃灰色の短髪で、濃茶色の瞳。その弟で16才のガロンさんは、髪の毛が灰色で襟足が長く、瞳は赤色。人懐っこい笑顔で、ニカッと笑うと牙が見える。

「お前、何をいきなり言い出すんだ。ランペイル辺境伯令嬢に失礼だろう。」

と、ハイロー侯爵。

「いやしかし、ランペイル辺境伯令嬢は婚約者もいないとお聞きしました。であれば、何も問題はないでしょう。……同じ年の俺が、王都を案内しますよ。あっ、俺、まだ 番(つが) いが見つかってないので、絶賛フリーです!」

と、ガロンさんは私にウィンクしながら言う。

「申し訳ない、ランペイル辺境伯令嬢。今のは忘れて下さい。」

と、謝るハイロー侯爵。一緒に頭を下げるイデアさん。公私共にイデアさんは苦労人かも知れない。

「……あの、 番(つが) いってなんですか?」

と、ガロンさんの誘いをスルーして、気になったことを聞いてみる。するとティガー宰相補佐が説明をしてくれた。

「ああ、人族の国ではあまり聞かないですよね。【 番(つが) い】とは、獣人にとっての運命の相手なのですよ。」

「運命の相手……。」

《 番(つが) い》

獣人にとっての運命の相手。それが絶対ではないらしいが、番いがいたら番いと結婚したいと本能的にわかるらしい。この広い世界で番いと呼ばれるたった一人の存在と出会うことは難しいらしく、今ではアニア国でも政略結婚は珍しくないそうだ。

「アニア国であれ、中々巡り合うことは少ないのだ。まあ、ちなみに私とシアは、その運命の相手なのだがな。な、シア。」

「リジャル殿下、恥ずかしいですわ。」

恥ずかしがるシア様、かわゆす〜。

白虎の尻尾が、揺れてるのがまたイイ!!

「ってか、ランペイル辺境伯令嬢って、ランペイル領のダンジョンで会った、ジョアンちゃん?」

と、今まで話すこともなく、ジッとこちらを見ていたラムディール殿下が言う。

「そう言えば……確かに似ているような……。」

と、イデアさん。

さすがに嘘つくわけにもいかず、正直に話す。

「ええ、あの時は冒険者として活動しておりましたので、家名を名乗らずに申し訳ありません。」

と、営業スマイル付きで謝る。

「やっぱり〜。じゃあ、あの約束忘れてないよね?」

「約束……ですか?」

「えー、忘れているの?次に会った時に、俺と付き合うって言ったじゃないか。」

「「言ってません!」」

私とイデアさんが声を揃えて言う。

「殿下、あの時、ランペイル辺境伯令嬢は、次回ダンジョンで会った場合は一緒に潜るか考えると言っただけです!良いように解釈なさらないで下さい!!」

以前はどこかラムディール殿下に遠慮があったイデアさんだったが、今回の件があり従僕としての自覚が芽生えたようで、ハッキリと意見した。

「イデア、硬すぎ〜。前はそんな事なかったのに〜。」

「ええ、今回の事で私の目が覚めたのです。今後一切、ラムディール殿下に気を許さないと誓ったのです。」

「えーーーっ。」

と、不貞腐れるラムディール殿下。

「……何か不満があるなら、私が聞くが?」

リジャル殿下が低く声を出すと、ピシッと背筋を伸ばすラムディール殿下。

「ジョアン嬢、アニア国にお越しになった際には、我が家にご滞在下さい。トニーもジョアン嬢やパール殿に会いたいと言っておりますし、王都の案内でしたらシアが案内しましょう。」

と、ティガー宰相補佐。

「ええ、ぜひ!私が、色々とご案内致しますわ。」

と、シア様。

「ありがとうございます。トニー君とも会いたいですし、アニア国に行った際はぜひ宜しくお願いします!!」