軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

370.ブラックホール

ーーー応接室

「ふぅ〜〜。」

ようやく落ち着いたお父様を見て、私達は苦笑する。

その原因となったベルデは、森と中庭以外出たことがなかったので、先程からずっとキョロキョロと辺りを見ている。

「大丈夫ですか?お父様。」

「あぁ、なんとか。申し訳ございません、アルバート殿下。」

「いや、構わない。ランペイル辺境伯の気持ちを考えると、動揺し叫んでも致し方あるまい。」

「はあ、さすがに予想外だったもんで、取り乱しました。……で、ジョアン、本当にギガトレントが、その、緑の精霊に?」

「はい、先程【サーチ】で確認しました。後ほど、お母様達がいる時にもう一度【サーチ】します。」

「わかった。頼むぞ。それで、アルバート殿下、今後の事ですが……。」

「わかっている。この件については、陛下に話しておくが、一度ベルデを謁見させねばならないだろう。その日程については、後で連絡する。」

「かしこまりました。」

*****

「おお、美味いな。これが、あのソバーだとは言われないとわからないな。」

ベルデの契約が終わったら、すぐに帰ると思っていたのに……。何で、一緒にランチしてるんだろ?

応接室でお父様と話した後、時間的にランチという事で、お父様がアルバート殿下達をランチに招待した。なのに、お父様は陛下に報告書を書くと言うので、食堂にはアルバート殿下一行と私だけ。

「申し訳ありません、ランチまで頂いて。」

と、恐縮しているルーカス様。

「いえ、何となくそうなるかな〜とは思ってました。」

「クックク、さすがジョアン様ですね。それにしても、ソバーにこの様な食べ方があるとは知りませんでした。」

今日のランチは、ぶっかけ天蕎麦。今回の天ぷらは、ナッスー、ピッパー、海老、鶏むね肉、甘露芋。それと、アラン兄様からのリクエストの唐揚げのニンニクセウユ味。

「先日、エルファ国の侯爵様と交渉させて頂きましてーー」

と、エドの叔父上様との交渉のことを話す。

「なるほどな。交渉材料にレシピとは、ジョアンらしい。しかし、この食べ方は前世のか?」

と、アルバート殿下。

「はい。前世の記憶によるものです。そちらにある、ガレットもそうです。」

「うん……これは、蕎麦とはまた違った食感で美味いな。出来たら……。」

と、アルバート殿下がガレットと私を交互にチラチラと見る。

「うふふ、お土産ですか?」

「ああ、頼めるか?」

「もう、既に準備しております。王城の皆様分とカッター公爵家の皆様分を。」

「さすがジョアンだな。」

「我が家にまで良いのですか?」

と、ルーカス様。

「はい、お茶会を何度かお誘い頂いてるのに、中々伺うことができず申し訳なく思っております。」

デビュタントの時にお茶会をと言って貰ったのに、奴隷事件があり延期、夏季休みはどちらも忙しく延期と、キャシーちゃんにだけでなく、カッター公爵家にも迷惑をかけてしまっているから。

「気になさらないで良いのですよ。あれから色々とありましたから。でも、遠慮なく頂きますね。両親もキャシーから、ジョアン様の料理のことを聞いて気になっていたようですから、喜びます。」

と、ルーカス様が微笑んでくれる。

あー、本当に本物の王子様より王子様だわ。

キラッキラしてる。

「ジョアン?何か失礼なこと考えてないか?」

と、アルバート殿下にジト目で見られる。

「いえ!何も!」

「まあ、良いや。……で、リュークの食べている物は何だ?」

「んぐ……は、はい。す、すみません。えっと、カツ丼と言う物です。」

食べる途中のリュークさんが、急いで飲み込み答える。

今回は、異例だが近衛隊のアラン兄様もリュークさんも同じテーブルに付いている。理由としては、近衛隊と同等かそれ以上の戦力があるランペイル家だから。現に、食堂とその周辺にはナンシーを始め私兵団メンバーが配置されているし、更に念の為に私の結界を張っている。

で、リュークさんとアラン兄様には、ぶっかけ天蕎麦の他にカツ丼も付けてあげた。

「ジョアン、私も食べたい。」

「えっ?カツ丼ですか?他にも、親子丼、ウナ丼、おいなりさん、おにぎり各種ありますよ?」

指を折りながらメニューを伝えると、何故かアルバート殿下だけではなく、ルーカス様もアラン兄様とリュークさんも苦笑している。

「ん?何で笑ってるの?」

と、首を傾げる。

「いや、料理屋のようだなと思ってな。ちなみに、おにぎりの中身は何があるんだ?」

と、アルバート殿下。

「えーっと、色々ありすぎて……仰ってもらったら、たぶん出せますよ。一応、こちらが中身の一覧です。」

と、今まで作ったことのあるおにぎりのリストを渡す。

最近、種類が多すぎて、何を作ったかわからなくなるんだよね〜。良かった、リストがあって。

「クッククク、もう、そうなると、もう料理屋を超えるな。では、私はシャーモンと肉しぐれ煮がいい。」

と、アルバート殿下。

「では……私は、チーズおかかと焼きおにぎりのメソ味を。」

と、ルーカス様。

「じゃあ、俺は、焼きおにぎりのセウユ味と貝のしぐれ煮、あとオウメおかかを。」

と、アラン兄様。

「えっ?アラン兄様、さっきカツ丼食べたよね?」

「食べたが、まだ食える。」

「ジョアンちゃん、俺も良い?」

と、リュークさん。

「はい、お腹が大丈夫なら。」

「大丈夫!じゃあ、えーっと、これ何?バクダン?」

「あっ、それは1つのおにぎりの中に、色んな具材が入っているんです。食べる場所によって味が変わるんですよ?」

「あっ、面白そう。じゃあ、それで。」

「かしこまりました。」

「えーっと、こちらがアルバート殿下で……こちらがルーカス様……それでアラン兄様。で、こちらがリュークさん。」

「「「「っ!!」」」」

全員がバクダンおにぎりの大きさとフォルムに驚いて目をこれでもかと大きく開いている。

「ジョアン……これは、おにぎりなのか?」

アラン兄様に聞かれて、笑顔で頷く。

「ご飯の量はだいたい350gで、今回の具材は、シャーモン、オウメおかか、唐揚げ、ゴンボと肉しぐれ煮、煮卵です。周りの黒いのは海苔という海藻です。リュークさん、どうぞ召し上がれ。」

「あっ、じゃあ……ん?……うっま!!これなら、全部食べれるな。」

リュークさんはその後、ちゃんと食べ切った。さすがに、アラン兄様もアルバート殿下、ルーカス様もアイスカフェオレを飲みながら呆れていた。

蕎麦も食べて、天ぷら、カツ丼いってるのに、その後、バクダンおにぎりって…….どこに入っていくんだろ?

リュークさんの胃袋は、ブラックホール?