作品タイトル不明
363.対策会議
陛下達も会議室に集まったところで、飴ちゃんについての調査報告をする。
「やはり【魅了】持ちだったか。それにしても、相変わらずジョアン嬢の【サーチS】は凄いな。通常、補足なんてないぞ。」
と、陛下。
「えっ?そうなんですか?」
「ええ、ですから助かりますよ。【魅了】の対処法が分かりますので。」
と、宰相様。
「あ、それから王妃様に確認したい事があるのですが?」
「何かしら?」
「その乙女ゲームの公爵令嬢の取り巻きに、地味デブメガネの子っていました?たぶん、モブなんですけど。」
「地味デブメガネ……確かにいたわね。公爵令嬢の取り巻きで、ヒロインを虐める実行犯が。名前はなかったけど辺境伯家令嬢で確か家名は……あーーーっ!!」ガタガタッ。
王妃様は家名を思い出して、立ち上がり叫んだ。
「ど、どうした、王妃よ。」
「あっ、も、申し訳ありません。」
粗相をしたことに気付き、真っ赤になり俯く王妃様。
「ジョアン嬢、王妃は一体……。」
「はい、実は男爵令嬢が呟いていたのですが……その乙女ゲームで公爵令嬢の取り巻き、そして虐めの実行犯の令嬢は辺境伯家令嬢、そして家名はランペイル。……つまり、私ですね。」
「「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」」
あの場にいたキャシーちゃん以外が、驚愕の表情で私をみる。
えーっと、下から上まで見られると恥ずかしいんだけど……。
陛下、口開きっぱなしだし。誰か教えてあげてーー!
「そ、それは、何とも……。王妃も驚くはずだ。現実と違いすぎる。」
「しかし、これでわかりましたね。その前世の遊戯とこの世が違う事が。そして、男爵令嬢が【魅了】を持って、対象者達に接触しようとしている事が。」
と、宰相様。
「ジュリエッタ博士、魅了の対策としては何か策はあるか?」
「はい、陛下。この度、ジョアンの【サーチS】によって、【魅了】の発動方法が相手の目を10秒見続けるという事でしたので、まずは男爵令嬢に近づかない事、そして接近された場合でも相手の目を見ない事が重要だと考えます。しかし、どの様な状況になるかそして相手がどう動くかわかりませんので、まずは単独行動は控え、常に誰かと共に行動するようにして頂きたいですわ。また、共に行動する者は固定とし、男爵令嬢の事を明かしてもよろしいのではないでしょうか?併せて、こちらでも魅了を無効化する魔道具等の作成をしております。それが出来るまでは、単独行動を控えて欲しいと思います。」
「確かに、誰かしら共に行動をしていれば、男爵令嬢とて無理矢理行動は取らないであろう。」
あの飴ちゃんに、常識が通用するかな?
誰かがいても行動にうつしそうな、気がするけど……。
「ーーでは、明日にでも共に行動する者への説明を行うとして、本日はここまでとする。なお、本日より皆も通常生活に戻り、また明日共に行動する者を連れ、ここへ来て貰いたい。良いな。」
「「「「「「はい。」」」」」」
*****
「それで?ジョアンちゃん。私達を呼び止めたのは、ただお茶をする為ではないでしょう?」
「はい。少し懸念する事がありまして……。」
私は、会議終了後すぐにノア先輩、ソウヤ、エド、マッさん以外に残って貰った。
「ほお、懸念とは?」
「はい、陛下。本日、我が家で保護し雇い入れた猫人族の双子に食堂のテラスで突然話しかけ、その後助けに入った従僕見習いに対しても、隠す事なくアニア国の留学の話や取り巻きだという事を話している感じでは、前世の乙女ゲームの世界ではないと疑っている様子がありませんでした。」
「ああ、それは【サーチ】の結果でも出ていたのであろう?」
「はい、ですから怖いのです。」
「怖いとは?」
「乙女ゲームだと信じているからこそ、もし現実が違うとしたら、自ら軌道修正をするのではないかと……。」
「軌道修正?」
と、アルバート殿下。
「はい。乙女ゲームの第二殿下ルートでは、ヒロインが悪役令嬢である婚約者の公爵令嬢に虐められ、それを第二殿下が助けその後2人は幸せに結ばれる。でも、現実は公爵令嬢は第一殿下の婚約者です。でも、あの男爵令嬢はその事を知りませんし、例え周りから聞いたとしても受け入れないと思います。王妃様、ゲームの中での悪役令嬢がヒロインに行う嫌がらせ行為を覚えておりますか?」
「ええ、確か……教科書を破く、お茶会で飲み物を掛ける、校舎裏など人目のつかない所での罵倒、建物の上から水や植木鉢を落とす、暴漢を使って襲わせる、それから、階段上から突き落とす。覚えているのは、それぐらいかしら?」
「しかし、同じ学年でないのに教科書を破くのは無理だろ?それに、お茶会だって家格が違うから機会がない、それにキャシーが罵倒する理由もない。まして、階段から突き落とすなんて有り得ないだろ。そのゲームとやらの公爵令嬢とキャシーは違う!」
と、アルバート殿下。
「そこなのです。キャシーちゃんが虐めない。それを無理矢理、軌道修正しようとして、キャシーちゃんに冤罪をかけるか、もしかしたら逆に……。」
「キャシーが害されるかも知れないと?」
「はい。」
私とアルバート殿下の会話で、誰もが息を呑みキャシーちゃんは青ざめ震えている。それを隣に座っているエレーナ先輩が肩を抱いている。
「ですから、攻略者達だけではなく、キャシーちゃんも共に行動する人間が必要かと思います。それを、私に任せては頂けませんか?」
「ジョアン嬢が?」
と、陛下。
「はい。乙女ゲームでは私は取り巻きのようですし、逆にそれを利用しようかと思います。まあ、容姿は違うようですけど。」
「しかし、今も女性騎士はついておるだろう?」
「はい、もちろん近衛隊の方もリバークス侯爵様の部下の方もおります。それは、通常の守りではそれでも十分かと思いますが、もし男爵令嬢が誰かを雇い多数で襲われた場合や生徒のみの場所の場合、私であれば【結界】を張れます。それに、契約獣達もおります。」
「では、私もキャサリーヌ様の側におりたいですわ。」
と、エレーナ先輩。
「確かに、騎士科の2人が側にいるのは心強いが……。どうだ?リバークス侯爵。」
と、陛下。
「はい。……失礼を承知で申し上げますが、エレーナ嬢とジョアン嬢の武力を確認させては頂けないでしょうか?」
リバークス侯爵の提案で、明日、私とエレーナ先輩は武力確認という、実戦訓練をする事になった。