軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

352.初野営

40階のセーフティエリアに着くと、誰もいない最奥まで行き【結界】を張り、バングルのボタンを押して認識阻害と盗聴防止を展開する。

ストレージから、鍛冶屋のスティーブさんに作って貰った焼き網に15cmぐらいのスタンドを付けて貰った野営用五徳を取り出す。これさえあれば野営する時に、網に安定して鍋をのせることも、そのまま網焼きもできる。しかも長めのスタンドをつけた事で、竈をわざわざ作ることもなく、薪を下に設置をするだけで良いという優れ物。

簡易竈も出来たので、早速調理を開始する。先程のビッグボアは、ロッソが既に薄切りにしてくれたので、私はタマオンをくし切り、キャベッジを千切りにする。豚肉を軽く小麦粉をまぶして焼き、火が通ったら一度取り出してタマオンを炒める。事前に作ってあったションガー焼きのタレを絡めて、千切りキャベッジをのせた皿に盛りつけ完成。一旦、ストレージにしまう。

辺りを見回すと、セーフティエリアにいる人はまだまばらだった。そして、こちらに気づいてはいないようだ。

ストレージからテントを出す。何度も練習したお陰で1人でも難なく張れた。周りを確認してからバングルのボタンを再度押し認識阻害と盗聴防止を解除する。でも【結界】はそのまま。誰かがテントに勝手に入らないとは限らないから。でもテントはカモフラージュで、寝泊まりするのはディメンションルーム。

皆んなで早速ディメンションルームに移動する。

大体16.5畳のスペースには、グレイが発注してくれたベッドやキャビネットなどの家具が設置してある。元日本人としては床に座ったり、ゴロゴロしたいので土禁のラグを敷いている。黄緑色のラグは中綿を入れてクッション性があるので、座るのにも寝転ぶにも適してる。ゆくゆくは、どこかで畳を発見出来たら良いなぁーと考えている。そのラグの上にあるローテーブルは、直径100cmぐらいの円型。床に座った状態で、ちょうどいい高さになるように作って貰った特注品。

最奥の壁側には、バーカウンターのような一角がある。カウンターテーブルとカウンターチェアーがあり、カウンターの中の棚にはお酒やリキュールの瓶が並んでいる。ディメンションルームのバー、つまり完全な会員制の隠れ家バーだ。私が1番力を入れたのは、ココ。

『お帰りなさいまっせー、お嬢様ー。』

いつも通りメイド服を着た幼児体型のアシストちゃんが、メイドカフェ風に出迎えてくれる。

「ただいま〜。」

クローゼットに装備品をしまい、編み上げブーツを脱ぐ。アシストちゃんから受け取った濡れタオルで身体を拭き、部屋服に着替える。

「やっぱり、シャワールームは欲しいなぁ〜。」

でも、排水機能がディメンションルームにはない。だから、トイレもない。

『ねぇ〜ジョアン、ご飯しようよ。』

ロッソが急かす。

「うん、そうだね。アシストちゃん、手伝って。」

『かしこまりました〜。』

ストレージと繋がる引き戸を開けて、食べ物を出していく。ローテーブルに、ションガー焼き、ご飯、ネバイモの梅干し和え、豆腐のメソ汁が並ぶ。

「じゃあ、いただきまーす。」

『『『いただきまーす。』』』

夕食を食べて、皆んなとラグでゴロゴロしていると

『ねー、ジョアン。誰かテントに入ろうとしているよー。』

「ん〜?」

アシストちゃんに言われて、ドアノブに触ると外の状況がクリアになる。

ビリッ「痛っ!!何?結界?」

「大丈夫か?というか、勝手に入ろうとするからだろ?」

「だってさ〜、もしかしたら昼間あった子かも知れないじゃない?」

「だとしたら、どうする?」

「えー、仲良くなりたいでしょー。やっぱり。」

「……どう見ても、仲良くはなれない感じだったが?」

「それは……きっと、恥ずかしいんだって。パーティって動物しかいなかったし、きっと人見知りなんだよ。だから、僕が仲良くなってあげるの。」

「……いや、あれは人見知りと言う感じじゃないだろ。」

「もー、イデアってばうるさいよ。」

「『『『あー、アイツか。』』』」

外の状況を確認し、ドアノブから手を離す。すると壁は再び白へと変わる。ラグに座りお茶を飲んでいると

『で、どうするの?』

と、アシストちゃん。

「どうもしないよ。面倒くさい。しばらくしたら諦めるんじゃない?」

*****

早めに就寝した私達は、4刻頃に起床すると朝食におにぎりと卵焼き、メソ汁で軽く済ませ、外へ出る。セーフティエリアには、まだ動き出した人たちはいない。テントはストレージで1発収納。私達は寝ている人を起こさないように、そっと移動する。

41階から50階までは、湿地帯エリア。主にケイブクロコダイル、ケイブタートル、ポイズンフロッグなどが現れた。前世から爬虫類、両生類が苦手な私は、ケイブクロコダイルとケイブタートルには叫びながら斬りつけて行ったが、どうしてもポイズンフロッグには近寄れなかった……。

「パールゥ〜、カエルはダメだ。どうしても無理……。」

『はいはい、ちょっと待ってて。』バリバリバリー。

眩しさが収まり目を開けると、焦げた大きな塊があった。

「ありがとう。」

『いいのよ。誰だって苦手なものあるもの。』

「ちなみにパールの苦手なものは?」

『ないわ。』

「そ、そっか……。」

51階から58階は、砂漠地帯エリア。サンドバイパー、サンドワーム、サンドリザードが現れ、こちらは皆んなで共闘して難なく終了。59階も同じく砂漠地帯だった。

「カモーン、大ボスー!」

ジャキンジャキン。

大きな音の方を見ると、そこには大きなカニさん。

《サンドクラブ》

砂漠地帯に生息する大蟹。

横幅は2m以上あり、肉食で人間を襲うことも珍しくない。

岩の形をした甲羅が特徴。岩に擬態して静かに待ち伏せし、近づいた生物を襲う。高級食材。

「カニさん、きたーーーー!」

私は片手を挙げて叫んだ。ファンタズモ以来のカニに、私は狂喜乱舞した。

「今夜は、カニ祭りじゃー!!」

『『『おー!!』』』

サンドクラブを見ると、私達の視線の圧に何となくサンドクラブがビクッとしたような気がした。

大ボスを食材と認識した私達の仕事は早かった。

サンドクラブは、水が弱点で水をかけた部分が固まる。なのでパールに手足に水をかけてもらい、動かなくなったところを攻撃していく。外殻は硬いが、手足の付け根は刃が通る。手足を切り取ったところで、とどめを刺した。