軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

321.リフォーム

ジョウ商会を早々に出ると、お母様に文を飛ばす。そして、再度、商業ギルドに寄って用事を済ませてから、私兵団のガンさんの実家に向かう。

『姉御、どこに行くんすか?』

「あー、ガンさんの実家。ガンさんとこのお父さんとお兄さんが木工工房と大工さんなの。」

『で、何をするの?商会で、何か閃いたような顔だったけど。』

「さすがパール。そう、閃いたの。特許の使用料で、商会をリフォームするわ。」

『『リフォーム?』』

ガンさんの実家は、平民街の入口付近にある。

「こんにちはー。」

「はいよー。いらっしゃ……。」

出て来たのは、初めて会う若い職人さん。その後ろにも若い職人さん達がいる。

「あの〜、ダニエルさん、いらっしゃいます?」

「へっ?あっ、い、います。ちょ、ちょっとお待ち下さい。……お、親方〜。お客さんでーす。」

「あー?どちらさんだー?」

そう言いながら、奥からガンさんの長兄ダニエルさんが出て来た。

「ジョアンさんですよー。ダニエルさん、お久しぶりです。」

「おー、本当に久しぶりですね、ジョアン様。あっ、デビュタントおめでとうございます。」

「ありがとうございます。今日は、ご相談があって。……ちなみに、棟梁かカマロさんいます?」

「2人共、さっき帰って来ましたよ。じゃあ、家で良いですか?」

「すみません、お願いします。」

ダニエルさんに案内されて、住居の方に向かう。

ジョアンがダニエルに付いて行くのを、若い職人達がポーッと熱に浮かれたような顔で、ずっと見ているのを気づいているのは、パールとメテオだけ。

*****

「棟梁、カマロさん、お久しぶりです。」

「おぉ、ジョアン様。こんなに大きくなって、奥様に似て美人さんだ。」

「ほんと、ほんと。騎士科だって?男共がほっておかないんじゃないか?」

「いえいえ、全然ですよー。皆んな、私のこと女と思ってないですよ。」

『はぁ〜。』

私達の話を聞いて、なぜかパールがため息をついている。それを見て、何かを察したのか、ダニエルさん達は苦笑していた。

「で、相談って何かな?」

「はい、商会をリフォームしようかと思って。商会が出来て、10年以上経つので、建物も家具も改善する所があると思って。」

「あー、そんなに経つか。確かに、この前も立て付けが悪くなってきたって、母さんも言ってたからな〜。」

「そうなんです。で、商会の裏手にあった店舗が空いてたじゃないですか。」

「あー、前に立ち飲み屋だった所な。」

カマロさんは、その立ち飲み屋が行きつけだったらしい。

「そこが、どうしたんです?」

「あそこ、買いました。」

「「「は?」」」

「だから、商会を大きくしようかと思って、さっき買ってきました。」

「「「はーー!?」」」

「いやいや、いやいや、買うって……。」

「お陰様で、特許の使用料だけで払えましたよ。ダニエルさんやスティーブさん達まで、申請してくれてるなんて今まで知らなくて、すみませんでした。」

そう言って、頭を下げる。

「ジョ、ジョアン様、頭を上げてください。俺らは、ジョアン様にアイディアを頂いて、作ったまでです。それなのに、自分が考えたように申請出すなんて、職人の名が廃りますよ。」

「もし、ダニエルとスティーブが自分達の名前で、申請しようものなら、親として殴っていたよ。」

棟梁に殴られたら、たんこぶだけじゃ済まなそう……。

本当に、私は周りの人に恵まれてるわ。

「で、リフォームの件ですが、どんな感じに?」

「はい、それなんですけど、イメージは……こんな感じで、で、ここは……こうして……。」

私は棟梁とカマロさんにリフォーム案を話し、ダニエルさんには棚やテーブルやベンチについて相談した。

「おう、わかった。ちょうど、今日で他が終わったから明日からでも着工できる。」

「じゃあ、お願いします。」

「家具の方は、本当に若手達で良いのかい?」

「はい、もちろん最終的な確認はダニエルさんにお願いしますけど、若い職人さん達の練習にでもなれば良いかと。」

「ありがとうございます。アイツらのケツ蹴飛ばしても、良いもの作らせます。」

ペンキ塗りや雑用は、孤児院の子供達にお願いすることにする。もしかしたら、この手伝いで将来を決める子がいるかも知れないという打算から。

孤児は学院ではなく、教会で読み書きや算術を勉強する。でも、孤児院出身というだけで仕事が上手く見つからないのが現状。ランペイル領では、領主邸である我が家が率先して孤児院出身者を雇っているからなのか、まだ他の領よりは孤児を蔑む人は少ない。だから、やる事をちゃんと出来たら、孤児院出身でも仕事を与えている。

商会が、リニューアルしたら、店舗も大きくなるので、何人か孤児院出身者を雇うつもり。その事は、お母様からも許可を貰っている。ともかく、今はリフォームを手伝ってくれる人を探さなければ……。

ガンさんの実家から、そのまま孤児院に向かう。

「こんにちは〜。」

「「「こんにちは〜。」」」

門の近くで遊んでいた子供達が、元気に挨拶をしてくれる。

「院長かシスターいるかな?」

「ちょっと待っててね〜。呼んでくるー。」

「あっ、私も行くー。」

「あたしもー。」

しばらく待っていると、子供達が院長を連れて来てくれた。

「院長先生、ご無沙汰しております。」

「あらあら、ジョアン様?まぁまぁ、お綺麗になって〜。さあ、お入り下さい。」

「今日は、ご相談がありまして……。」

院長の執務室で、商会のリフォームについて話す。その際に、リフォームのお手伝い、スタッフとしての雇入れについても話した。

リフォームのお手伝いは誰でも可能だが、スタッフとしてだと最低限の読み書き、算術が必要となる。そして、スタッフになれば衣食住は、こちらで面倒を見るということも伝える。

「まあ、そんな良い条件でしたら、誰もがやりたがるでしょう。」

「では、まずは手始めに3人見繕って貰えますか?」

「かしこまりました。それと、こちらからもお願いがありまして……。」

「お願い?」

「はい、実は……。」

院長の話は、聞いていて気分の良いものではなかった……。