作品タイトル不明
297.目立つよね
ーー放課後、職員室。
「安心しろ、ちゃんとアイツの親には理解させたから。」
「あっ、そうなんですか?」
「ああ、だから物騒なことは考えるな。」
「チッ。」
「舌打ちをするな、舌打ちを。貴族令嬢だろうが。」
「あー、それとジョアンの方にも報告済みだからな。」
「えっ?私の方って?」
「お前のご両親だ。」
「は?マジで?ちなみに、うちの両親はなんて?」
「「……。」」
「ブライアン先生?ヘクタール先生?」
「あー、家から飛び出すのをグレイ班……いや家令殿と侍女長殿が取り押さえたと……。それから、無闇に直接報告するなと言われた。報告ならまず私に寄越せと。」
「誰に?」
「家令殿に。」
「あははは。目に浮かぶー。あははは。」
「久々にグレイ班長に怒られたぞ。」
「あははは。」
「笑い事じゃないから……。」
「じゃあ先生達お疲れみたいなんで……コレでも食べて下さい。」
ストレージから、リモンのマドレーヌと紅茶のクッキーを渡す。
「良いのか?ジョアンが食べる為に持って来たんじゃないのか?」
「いつでも作れるから大丈夫ですよ。」
「ん?ジョアンが作ったのか?」
「はい。あっ、甘い物よりしょっぱい物の方が良いなら、チーズクッキーもありますけど?」
「良いのか?」
「はい。賄賂です。」
「それ、言うのか?」
「あははは、言っちゃいます。あー、良かったら他の先生達もどうですか?」
「「「「「「「「良いのか!?」」」」」」」」
「じゃあ、ジャガトチップスもサービスします。塩味とスパイス味。つまみにもなるんで。」
色々とストレージから出して、職員室を出る。
「「「「「「「「「「うっま!」」」」」」」」」」
「これは、酒が欲しくなるな。」
「こっちの甘さは疲れが取れる。」
「……。」
「どうした?ヘクタール。」
「もしかしてだけど……ヴィンスとフレッド殿下にコレ貰ったことバレたら、ヤバくないか?」
「「「「「「「「「あっ……。」」」」」」」」」
教師達は、歓迎食事会の時の事を思い出した。
「よし!ここだと、バレる可能性が高いから職員寮の方に移動するぞ。」
誰かが言うと、急いで帰りの支度をし、差し入れをストレージを持っている人間に収納させて職員寮に走って帰った。
*****
「あー、お腹空いたー。今日のご飯は、なーにかなー。」
「今日は、お肉がジェットブルのソテーで魚が香草焼きだって。」
ちなみに、パールはトンカツ付きオムライスを、ロッソはカツサンドを部屋で食べている。
「んー、どうしようかな。今日は、ガッツリな気分だから肉にしようかな。」
「私は、今日は魚の気分かな〜。」
食堂のおばちゃんから、料理を受け取り1年組が座っている所へ行く。
「はいはいはい、ソウヤ、詰めて詰めてー。」
「えっ?あっ、おい押すなって。スープ溢れるから。」
「あははは、溢れる前に飲んで!」
「無茶言うなって。」
「あっ、ジョアンも肉?これ、マジ美味いぞ。」
「やったね。モグモグ……ん、うまっ。」
「だろ?」
「いや、魚も美味いよな、ベル。」
「うん、香草が良い味付けになってるよ。ジョアン、食べてみる?」
「良いの?ありがとう。じゃあ、ベルにもお肉〜。はい、交換。」
「ありがとう。」
「「「「「「……。」」」」」」
「……あのさ、お前達すげー目立ってるからな。」
「今さら何?ソウヤ。女だからでしょ?」
「いや、それだけじゃねーんだけど……。」
「ソウヤ、無理だって。ジョアン達、無自覚だから。」
「何よ、ダガーまで。」
「その……格好とか、行動とか。」
「えっ?だって制服のままだよ?ジャケット脱いだら寒かったから、セーター着ただけだし。ね?ベル。」
「うん。」
私とベルが着ているのは、ニッキーさんからプレゼントのスプリングセーター。私のが、前世でいうところの桜色。ベルが若草色。春の肌寒い時にピッタリの一品です。
「だから、この男ばかりの所に。女っぽい格好してると目立ってんだって。」
「ブラッド、女っぽいって……女ですけど?」
「あー、ダメだ。何て言ったら理解すんだよ。」
「あはは、困ってるね〜。」
「あはは。本当に。」
ジョアン達の後ろには、いつの間にかエレーナ先輩とクロエ先輩が座っていた。
「「エレーナ先輩、クロエ先輩、お疲れ様です。」」
「「「「「「「お疲れ様です。」」」」」」」
ソウヤ達も挨拶をする。
「はい、お疲れー。あのね、ジョアンにベル。あなた達は数少ない女子生徒なのよ。それだけで目立つのに、そんな可愛らしい格好で可愛く笑っていたら、周りの男子達が注目するのは当たり前。」
「そうそう。特に自分よりも年下で小さくて可愛いんだから。」
「……小さい。」
14才になり、騎士科に入る前の身体検査では153cmになったのに……。ちなみに、ベルは162cm。
「だ、大丈夫だって、ジョアン。これから伸びるだろうから、気にすんなって。」
隣に座っているソウヤは、私の落ち込みに気付き慌てながらも
フォローし頭をポンポンとしてくれた。……が、その瞬間周りがザワザワし、至る所から威圧が出ている。
「あっ……。」
「「「「「「あーあ。」」」」」」
「……ソウヤ。ここでやるかな〜。」
と呆れたように言うリキ。
「いや、あの、俺はただフォローしようと……。」
「ありがとう、ソウヤ。」
「お、おう。」
「まあ、ジョアンもベルもそのままで良いんじゃない?周りが勝手に盛り上がってるだけだし。」
「そうですね。気にしないようにします!あっ、先輩達、後で私の部屋に来ません?女子会しましょ。」
「いいわね〜。じゃあ後で行くわ。」
そう言うとエレーナ先輩とクロエ先輩は去って行った。
「待ってまーす。よし!ベル、早く食べてお風呂行こ。今日は、パジャマパーティーだ!」
「久々だね〜。パジャマパーティー。」
キャッキャと話している、2人を横目にソウヤ達は周りを見ないように、トレイだけを見て食べ進める。
「ヤバい、ヤバい……。」
「さっきよりも注目されてる。」
「早く食べて食堂出ようぜ。」
「何で更に煽ること言うかな……。」
「パジャマパーティーって……。」
「おまっ、想像したら負けだぞ……。」
ボソボソ話し急いで口へ詰め込む。料理の味なんてわからない。ただ、このまま食堂に残っていたら、ヤバいということだけはわかるソウヤ達だった。