軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3.目覚め②

私を心配した声は、肩までの蜂蜜色の髪を1つに纏め、ターコイズの瞳の美少年。

一方、揶揄った声は、栗色の短髪でターコイズの瞳のいかにもワンパクそうな少年。

私のお兄様たちだ。

2番目の孫ぐらいだわ。そういえば、中学の三者面談どうだったのかしら?あの子の希望する、サッカーの強豪校に行けるのかしら?私と同じで、理数系苦手だから…

と、考えてると……

「ノエルも、ジーンも入っておいで」

お父様は、2人の少年に声を掛けた。

【ノエル・ランペイル】

ランペイル家の長男。

【火】属性

8才年上で、成績優秀、容姿端麗、将来有望、フェミニストとくれば、周りの令嬢達が黙っていないわけで…。でも、本人は恋愛ごとには全く興味がなく、将来魔術師団に入るべく、本の虫となっている。

【ジーン・ランペイル】

ランペイル家の次男。

【風】属性

6才年上で、裏表が無く、ニカッと笑顔が爽やかな体育会系男子。誰に対しても態度を変えず、周囲の状況を見て臨機応変に対応できる。そのためか、令嬢からは良い人止まりで終わる。

「ジョー、本当に大丈夫?気持ち悪いとかない?」

優しいなぁーノエル兄様。その点、ジーン兄様は俯いて肩が小刻みに震えてる。あっ、アレは笑ってるな。

「ノエル兄様、ジーン兄様、ご心配おかけしました」

私は前世の経験から【営業スマイル】の技を繰り出した。

どうだい?昔、15年も量販店で勤め編み出した技は?結婚後、パート先のスーパーでも評判だったのよ?

「「「「…………」」」」

ん?どうした?なんで、みんな固まってんだい?あれ?従僕さんやメイドさん達まで、固まってる。えっ?何か間違えたかい?

「……まだ、具合が悪いらしい。もう少し休ませてあげよう」

お父様はそう言うと苦笑しながら、みんなを連れて部屋を出て行った。

みんなが出て行き、ドアが閉まると、ふーっと溜息をついて、ベッドの上に転がった。

ゴロゴロ、ゴロゴロ……5才の身体は、よく動ける。手を見ると、やはり小さな可愛らしい手。

よし、まずは状況を確認してみようかしら。

問題点は2つ。

まず、今の私は、5才までのジョアンの記憶と、前世の82才の記憶。2人が同居してる感じだわね。

まさか、私が孫から勧められたラノベと同じ状況になるとはねぇ〜。長生きしてみるもんねぇ〜。まっ、ここにいる段階で、死んでるのよねぇ。

そして、昨日の洗礼式で貴族令嬢にも拘わらず、【無】属性だった件。

本来なら、恥じるべきなんだろうけど、今の私にとっては何とも思わないわ。だって、前世は魔法がつかえなかったから。

まぁ、前世でもスマホやAIなんて、魔法みたいなものだったけど……。でも、慣れると便利なのよねぇ。

あら?掃除ロボットのタロウがメンテナンスから戻ってくるの忘れてたわ。

でも、ここは異世界らしいから……。

お父様たちは、【無】属性だった私をどう思っているんだろう?ガッカリしてるんだろうな。縁を切られたり、するのかしら?

もしかして、下女としてこき使われたりするのかな?でも、追い出されない分、それも良いかもしれないわね。まぁ、家事は主婦歴50年以上だから、苦ではないわね。

ぐぅ〜〜〜。

何にしても、お腹空いたわね。この身体は昨日の朝から、食べてないものね。

前世から考えると、1週間おかゆやお見舞いのアイスクリームぐらいで、ちゃんと食べてないわ…。ともかく何か食べないと【腹が減っては戦はできぬ】だからねぇ。

まずは、何か食べよう。見た目は子供だから、食べる物限られるのかしら?まぁ、飲酒は出来ないわよね?子供だし……。

頭は大人なのよ?それどころか、高齢者なんだけど……。

ん!?

見た目は子供?頭は大人……。昔から大好きだった、少年漫画みたいだわ。

「よっこらせ」っと

私はおもむろにベッドの上に立ち上がり、左手を腰に、右手を胸の高さまで上げて指をさして

「見た目は子供、頭脳は大人。その名も、ジョアン・ランペイル!」

ふっ、決まった!!

「「ぶっ」あははははーっ」

えっ?何だい?

恐る恐る振り返ると、そこには後ろを向いて肩を震わせてるノエル兄様と、腹を抱えて爆笑してるジーン兄様が。

やってしまったー。

私はその場で、頭を抱えてしゃがみこんだ。