軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

295.歓迎食事会

ーー騎士寮食堂。

「新入生を歓迎して、乾杯!」

「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」

歓迎食事会は、新入生と各学年の担任、副担任、そして各学年の上位20位までが参加となる。エレーナ先輩とクロエ先輩も20位以内で参加している。

立食パーティー形式なので、思い思いに食事を取っては、空いているテーブルで食べている。やはり先輩達が多いのもあって自然と1年生で固まってしまう。

「うっま!」

「ソウヤ、持って来過ぎじゃない?」

「いや、だって先輩達の盛り方見てたら、これより多かったぞ。」

「そうそう、なくなる前に持って行かないと食いっぱぐれるって言われた。」

「マジで?じゃあ、早く食べなきゃ。」

「ジョアン……。張り合わなくても。」

「モグモグ……だって、なくなったら……モグモグ……嫌だし。」

「おい……。ジョアンって、一応貴族令嬢だろ?」

「……ちょっと、リキ、一応は失礼じゃない?」

「いや、だってなー?」

「「「「「「「ジョアンだから?」」」」」」」

「おい!」

「「「「「「「あっははは。」」」」」」」

近くに座っているメンバーは、一般クラスの時に武術の授業で一緒だったから、気が知れた人達だ。

「皆んな食ってるか?」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

声をかけてきたのは、ヴィーだった。

「ちょっと、ヴィー人の頭を肘置きにしないでくれる?」

「あははは、ちょうど良くてな。あー、もう少ししたら騎士寮で人気のステーキが焼きあがるからな。」

「「「「「「「うぉーー!肉ー!!」」」」」」」

「その後は、デザートも出てくるぞ。」

「デザートってどんなの?」

「あー、フルーツのコンポートぐらいだけどな。」

「あっ、コンポートってあれか?ジョアンがパンケーキと一緒に出してくれたやつ。」

「あっ、あれか。」

「「「「美味かったよな〜。」」」」

「は!?……どうして君たちがジョアンのスイーツ食べてるのかな?俺に、よーく聞かせてくれる?」

「「「「っ!!」」」」

ソウヤ、リキ、ダガーとブラッドは、蛇に睨まれたカエルのように固まる。他のメンバーは、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに、そっと席を立って料理の所へ逃げた。

「ヴィンス先輩、食堂で威圧出さないように。」

「あっ、これはフレッド殿下。失礼しました。つい……。」

「ジョアン、楽しんでるか?」

「ええ、まあ、そこそこ?」

「お前……。相変わらずだな。」

「お褒め頂きありがとうございます。」

「いや、褒めてないが。で、これはどういうことだ?どうせジョアン絡みだろ?」

「ちょっ、失礼な。何でも私のせいにしないで貰えます?ソウヤ達が私のパンケーキのコンポート添えを食べた事を話したら、ヴィーが勝手に威圧出しただけです!」

「何!?俺でさえ、最近ジョアンの料理を食べていないのにか!?」

「は!?そこ?」

「ヴィンス先輩、ここは共闘を組みましょう。」

「御意に!」

「組むなー!ソウヤ達は、一緒に孤児院の依頼を受けて子供達と一緒に作った物を食べただけ!これ以上、ソウヤ達を害するのであれば私にも考えがあります。」

「ほう?どんな?」

フレッド殿下がニヤニヤしながら、聞いてくる。

「まず、お二人のお母様に報告します。」

「それで?母上に報告したところで、笑って済ますだろうよ。」

「そして、お二人のご家族も含めて私の料理の提供は、今後一切致しません!もちろんレシピも含めて。それからドライフルーツも。」

「「なっ!!」」

家族への報告だけならば苦笑されるだけで終わるが、今後一切、自分のせいでジョアンの料理が食べられなくなったとしたら……。しかも、食べた事を無かったことにしてくれる、あのドライフルーツが貰えないとしたら……。

「「すまなかった。」」

「「「「「……。」」」」」

ベルとソウヤ達は、あっさりと謝った2人に驚いた。片や我が国の第二王子、片や騎士科の首席。それを言い負かす、我が友ジョアン。

「わかってくれたなら良いです。」

フレッド殿下は、今度ハンバーガーをとリクエストして去って行った。ヴィーも立ち去るかと思いきや立ち止まり振り向く。

「ちなみに……この中にジョアンの彼氏とかは?」

「「「「「は?」」」」」

「ヴィー、何言ってるの?」

「いや、もしいるなら試験しないといけないから、伝えておけって。」

「誰が?」

「兄上とノエル兄が。あー、ちなみに、俺とジーン兄も試験には参加するから。じゃあな。」

そう言い残すと、自分のクラスメートがいる方へ去って行った。

「はぁ〜。……ごめん、皆んな。」

ようやくテーブルに戻り、クラスメートとソウヤ達に謝る。

「いや、別にジョアンが謝る事じゃないんだけど……あのヴィンス先輩って?」

「あっ、そうか。ソウヤとリキ以外は知らないっけ?えーっと、ヴィンス・ロンゲスト。私の従兄弟だよ。お父様の妹がヴィーのお母さん。」

「……んで、さっきヴィンス先輩が話してた試験官って?」

「あー、あれ?ヴィーの兄上ってのが、アランドルフ・ロンゲストで、近衛隊にいる。あと、ノエル兄は私の上のお兄様で魔術師団。ジーン兄が下のお兄様で魔物討伐団にいる。……あっ、ベル、追加きたよ。肉取り行こう!」

ジョアンとベルが料理を取りに行く後ろ姿を見ながら、誰かが呟く。

「明るくて、料理も出来て……。」

「誰にでも優しくて、腕っ節も強くて……。」

「笑顔が可愛いくて、うたた寝してるところも可愛いくて……。」

「よく食べて、よく笑って……。」

「最近、良い匂いするし……。」

「最近、ちょっとエロいし……。」

「でも、近衛隊と魔術師団と魔物討伐団に、首席のヴィンス先輩……。」

「「「「「「「絶対勝てない……。」」」」」」」

密かにいくつかの恋心が風前の灯火になっていることは、料理を笑顔で盛っているジョアンは知らない。

だが、ここは騎士寮。スキルに【身体強化】を持っている人は多く、ソウヤ達の話は筒抜けだった。もちろん、ヴィンスやフレッド殿下にも。あちこちで、クスクスと笑われていることをソウヤ達は知らない。