軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

246.グロッシー・バタフライ

ガンダルさんを迎えての夕食会の結果は、大成功だった。

貴族の食事としては異例、だが我が家としては当たり前になってきたビュッフェスタイルに最初は戸惑っていたガンダルさんも、好きな物を好きなだけ食べれるということもあって、一通り食べた後、気に入ったものをおかわりしていた。

「いやー、美味い!この唐揚げとやらは冷えたエールが合うし、ナミダサビの和え物とタケシュートは清酒が合う。これは堪らんな!ガッハッハハハ。」

「お口に合ったようで良かったです。まだまだ、ありますから。」

「いやいや、ガンダル殿は酒がお強いようで。まだまだ、酒もありますので遠慮なく。今日は飲み明かしますか。あっははは。」

既に酔いが回って、上機嫌のお父様を鋭い眼光で見ているお母様……。

うん、見なかったことにしよう。

触らぬ神に祟りなしって言うしね。

「ジョー、このタケシュートの炊き込みご飯?美味いな。」

「スープも美味しいよ。タケシュートなんて魔獣が食べる物だと思ってたよ。」

ジーン兄様は炊き込みご飯を何杯目かわからないおかわりをしている。ノエル兄様に筍の美味しさがわかって貰って嬉しいけど、魔獣の食べ物って……勿体ない。

「姉様姉様、おにぎり、まだある?」

「姉様、私はクラーケンもっと食べたい!」

「フウちゃん、まだあるよ?ライちゃんも。はい、どうぞ。」

「「ありがとー。美味しいねー。」」

フーゴは、炊き込みご飯を俵型にし海苔を巻いたおにぎり。ライラはクラーケンのバター炒めが気に入って、先程から頬張りながら食べている。

ーーー翌日。

「いや〜、昨日はハメを外したようで申し訳ない。」

平謝りするガンダルさん。

「いえいえ、良いのですよ。主人も楽しかったようですし。」

お母様は、ガンダルさんに気にしないように言ってはいるが、朝食の席にいないお父様に対しては、かなりご立腹のよう。

ガンダルさんの今後の予定としては、鉱脈がありそうな場所を見て回りどうするか決めるそうだ。

拠点を我が家にしてはどうかと提案したものの、ガンダルさんはそこまでしていただくのは心苦しいと言い、当初宿泊予定だった宿に移って行った。

*****

カランカラーン「こんにちは〜。」

「いらっしゃ〜い。ジョアンちゃん、待ってたわ〜。パールちゃんも、いらっしゃ〜い。」

今日は、ニッキーさんのお店 “グロッシー・バタフライ“ に来ている。席につくと、今日もサリーのような服装のニッキーさんことニコラスさんが紅茶を淹れてくれる。

「で、どうしたんですか?今日は。」

「実はね〜、あるご婦人から下着について相談されたのよ。それで、ちょっと困っちゃって。」

「ああ〜。ですよね〜。」

中性的な美しさを持つニッキーさんだが、中身は立派な男性だ。周りの人には商売上、身も心も女性だと言っているらしいが、結局のところ美しいモノ可愛いモノが好きで自分の魅力を引き立てるのが現在のファッションというだけで、恋愛対象は基本女性なのだと前に聞いた。

「デザインとか色とかは、アタシでもわかるんだけどね。でも、機能性とかはわからないじゃない?」

「確かに。」

「ってことで、ジョアンちゃんに下着のデザインをお願いしたいのよ〜。」

「ええー、私が?でもーー」

「大丈夫よ。奥様には許可貰っているわ。」

「なんて手回しの良い……。わかりました。やりますよ。」

「うふふふ、ありがと〜。じゃあ、代わりにジョアンちゃんのお願いがあれば言ってね。アタシで出来ることなら聞くわよ。」

「ホント?じゃあ、それは考えておきます。……で、どんな感じのモノが良いの?」

「えーっと、通常ドレスを着る時にはコルセットをするじゃない?でも、締め付けられるのが嫌いって言う人は多いのよ。でも、付けないと胸を上げられないじゃない?だから、どちらの悩みも解決出来るような下着なんだけど。」

「あー、なるほど。ブラってことですね。」

「ブラ?何それ?」

「えーっと、胸当て?」

「胸当てって、冒険者が使う?」

「あー、そっちもあるんだった。違いますよ。アレは革や魔獣の皮を使ってますけど、私が言っているのは女性用下着としてのモノで、綿や絹で作る感じです。」

「下着として?ちょっと絵に描いてもらえるかしら?」

「……こんな感じですかね〜?」

「……なるほど、コルセットなしで胸だけをカバーする感じなのね?」

「そうですね。そうすれば、コルセットなしでも大丈夫かと。そこにパッドを入れることも可能にすれば良いかな?と。」

「パッドって?」

「あー、えーっと、偽乳?」

「は?」

「ほら、ブラの中に綿を入れたら豊満ボディになるじゃないですか。偽物の胸の出来上がり。」

「す、凄いわ!!コレは、スレンダーの女性がこぞって使うわよ!」

「まあ、でも、脱がしたらバレますけどね。」

「ジョアンちゃん……女の子なんだから、そこは脱いだらで良くない?」

「でも、そこまで綿を入れなくても少し入れるだけで、下着が擦れて痛いっていうのはなくなりますよ。」

「……先にそっちを提案して。」

「あと、こんなのはどうです?」

次に書いたのは、スリップ。

ベビードールよりもいやらしくないし、ドレスや普段着のワンピースが汗で張り付くことはない。

「確かに、汗で張り付くことがないなら良いかも知れないわね。素材は汗の吸収しやすい綿かしらね?」

「そうですね〜。逆に絹で作ればベビードールの代わりにもなりますよ。絹にレースを合わせればエレガントさもでますし、胸の部分がレースだけなら、エロさがアップです!」

「……ジョアンちゃん。何度も言うけど、あなたは女の子よ!どうして、男性目線なの?本当に10才よね?」

「でも、想像して下さい。好みの女の子が、それ着ること。」

「………良いな。」

「でしょ〜。うふふふ……あっ、ニッキーさんヨダレ!」

「えっ!?嘘でしょ!?」

ジョアンに言われ、慌てて口元を拭くニッキー。

「うっそーー!あははは。」

「ちょっと、ジョアンちゃん!!」

「でも、いいでしょ?旦那さんから奥さんにプレゼントにも最適だと思うんです!」

「確かに。うん、良いわね。じゃあ、このデザイン採用させてもらうわ。」