作品タイトル不明
239.きらきらスマイル
お茶会が終わり、キャシーちゃんと連れて来られたのは、ジョアンにとっては何度か来たことのある王族専用テラス。
王妃様、アルバート殿下、フレッド殿下に、いつもの侍女トリオ。それから、見たことあるようなないような顔で、殿下達よりもキラキラな王子様のような貴族子息。そして周りには、見知った近衛隊の方々が。
「キャサリーヌ嬢もジョアン嬢も、お疲れ様でした。ここでは、気を楽にして良いわよ。」
「「ありがとうございます。」」
「それにしても、2人とも変な人たちに絡まれて大変だったね。あんなのが婚約者候補だったとはね。」
ニヤニヤ笑いながら、一応気遣いを見せるアルバート殿下。
「ジョアン嬢、どうやって倒した?なあ、教えろよ。」
相変わらず、良くも悪くも自分に正直なフレッド殿下。
「……教えるも何も私は何もしておりませんが?」
「嘘つけー!あの令嬢が倒れる前に何かしたんだろ?」
「フレッド、ご令嬢に対して何て口の利き方なんです?もう少し考えて話しなさい。」
「しかし、母上……。俺は、ただジョアン嬢があの状況で相手を倒せるなら、自分も真似をしたいと思っただけで……。」
ああ、単なる興味本位だったんだ……。
てっきり足癖が悪いとかはしたないとか、言われるのかと思ったわ。
「ジョアン嬢、私もあの令嬢が勝手に倒れたとは思っていない。……正直に話したらどうなんだ?」
やっぱり腹黒殿下も簡単には騙されてはくれないか。
話しても良いんだけど、でも、一つ気になることがあるのよね〜。
「わかりました。……でも、その前にそちらの方をご紹介願いたいのですが?」
「ああ、ジョアン嬢は初対面なのか。彼は、私の側近だ。」
「側近……。」
「初めまして、アルバート殿下の側近で、ルーカス・カッターと申します。」
「えっ?ルーカス・カッター……様?」
名前を聞いて驚き、キャシーちゃんの方を見ると。
「ええ、私の兄ですわ。」
よく見たら髪色や瞳の色が同じで、笑った感じが似てる。
どうりで知っている感じがしたわけだ。
「あっ、お初にお目にかかります。キャシーちゃ……キャサリーヌ様には、いつもお世話になっております、ランペイル家長女、ジョアン・ランペイルと申します。」
「ああ、貴女のことは妹からよく聞いてますよ。とても良い友人だとか。これからも宜しくお願いしますね。」
ニコッと笑うキャシー兄。
ああ、何て完璧なキラキラなスマイルなんだろ。こちらが本物の王子さまなのでは?と思うぐらいね。
ふっ……どこかの殿下達にも、見習って欲しいもんだ。
「ねぇ〜、ジョアン嬢?何か言いたいことがあれば、いつものように言ったら良いのに。」
「……いえいえ、何もございませんが?何か思い当たる節でも?」
嫌味を言われ、反射的に嫌味で返してしまったジョアンに対して、ルーカスとキャサリーヌの目が点になっている。
「チッ。ルーカス、このジョアンはそこら辺の貴族令嬢とは違うからな。気をつけた方が良いぞ。キャサリーヌ嬢もな。」
「「はあ……。」」
「はいはい、アルもそこまでにしなさいね。ルーカス様、キャサリーヌ嬢、ジョアン嬢は幼い頃からアルやフレッドと会っていたから、いつもこんな感じなのよ。驚いたでしょう?あっ、でも、この2人とは決して婚約者にはならないから安心なさい。」
「えっ!?」
幼い頃から会っていて、気軽に言い合える相手なのに、どちらの殿下とも婚約者にはならないとは何故なのか不思議そうにしているカッター兄妹。
「うふふ、昔からの約束ですからね。ね?ジョアン嬢。」
「はい。約束は絶対です!」
「普通はさ、さっきのように婚約者になりたくて牽制し合ったりするもんだけどね。ジョアン嬢は、私たちに全く興味がないらしいよ。」
「ええ、まーーったく興味がありません!!」
「ジョアン……。」
「キャシーちゃん、そんな不安そうな顔しないで。キャシーちゃんが婚約者候補だからとかじゃなく、それを知る前からの約束だし。今までもこれからも、絶対にあり得ないから。これっぽっちも興味ないし。」
「なんか、ここまで言われている俺と兄上って……。」
何かフレッド殿下がブツブツ言っているけど、気にしない。
「そうね、どちらかと言えば王子妃の補佐とかかしら?うふふ。」
「「え?」」
王妃様の言ってる意味が分からず、キャシーちゃんと目を合わせる。
「あら、だってキャサリーヌ嬢がアルの婚約者になったら、ジョアン嬢が補佐するのではないの?」
「あの……補佐とは?」
「そうね、アルで言うところのルーカス様かしら?」
「えっ?それって側近?……いやいやいやいや、ムリムリムリムリ。無理です、私には。出来て殿下に対する不満やら愚痴やらを聞くぐらいしか出来ませんよ。」
「……どうして、私に対する不満や愚痴がある前提なんだい?」
「えっ?だって……ねぇ?フレッド殿下?」
「クックックッ……。はっ!?な、何で俺に振るんだ。……あ、兄上、誤解です。俺は……、そ、そんなことはないと笑っていただけで……。」
「ふ〜ん。まあ、いい。今日は、ルーカスとキャサリーヌ嬢がいるから、私は寛大だ。」
ドヤ顔気味で言うアルバート殿下。
それを横目に、小声で囁く。
「寛大な人は、自分で言わないですよね?」
「ぶっ……。お、お前、今言うな!」
「フレッド?ジョアン?」
「「すみません!!」」
「ともかく、あとは陛下がいらっしゃってからの話にはなるけれど。私としては、キャサリーヌ嬢で良かったと思うわ。アルは?」
「私も、そう思います。正直に言うと……今までのキャサリーヌ嬢は自信がないのか伯爵令嬢に言われ放題で、公爵令嬢としての矜持はないのかと思っていたけどね。今日のジョアン嬢の一件のお陰なのか、ハッキリと自分を主張出来たようだからね。……ああ、念の為付け加えると公爵令嬢の矜持と言っても、威張れと言っているわけではないよ。まあ、キャサリーヌ嬢なら、わかるとは思うけどね。これからは、王子妃教育が始まるが、何かあればちゃんと私を頼ってくれ。」
「はい。ありがとうございます。精進致します。」
その後、キャシーちゃんがアルバート殿下の婚約者として正式に発表された。
そんなキャシーちゃんは学院の授業が終われば、毎日のように王城に行っては王子妃教育を受けている。授業終わりに、また授業だなんて私には地獄にしか思えない。それでも、キャシーちゃん自身は嬉しそうに励んでいる。
とても優秀でこのままいけばデビュタント前には習得し、デビュタントと同時に婚約式が行われるかも知れないとのこと。そして、その2年後学院を卒業と同時に結婚式の予定らしいと、私が差し入れしたジャイアントスネークのひつまぶしおにぎりを頬張りながら、王妃様が話してた。
スージーさんに、話すか食べるかどちらかにするように怒られていたけど……。