軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

212.ボンボンのボン

1年生の授業は、どの授業もまずは基本的なことを勉強する。しかし貴族子息令嬢は、既に家庭教師に習ったものが多く、その場合は授業によって免除となり自主登校となる。もちろん復習として参加することも出来る。

免除になるかどうかは、入学式の翌日から3日間の学力テストによって判断される。その学力テストを昨日まで行い、結果発表が今日。クラス全員がララノア先生が来るのを、今か今かと待っている。

「ねえ、ジョアンは免除になったらどうするの?」

「んー、やっぱりギルド行きたいな〜。」

「だよね〜。そしたら一緒行こうよ。」

「もちろん!行こう行こう。」

ベルと盛り上がっていると、前の席に座っている男の子達が振り向いた。確か、なんとか領出身のなんとか伯爵のボンボンと、同じ領出身のなんとかって言う平民の子。たぶんボンボンの腰巾着っぽい。

「お前ら、ギルドって冒険者ギルドのことか?」

ボンボンが聞くので

「うん、そうだけど?何?」

「貴族令嬢のくせにギルドかよ。」

「うん、そうだけど?何?」

「どーせGランカーなんだろ?」

「いや、違うけど?何?」

「は?じゃあ何ランクなんだよ。」

「は?なんで?聞きたいなら自分のから教えたら?」

「俺か?聞いて驚くなよ、俺様はFランカーだぞ。登録の段階からFだぞ!しかもな、王都のだぞ!王都のギルドだぞ!」

ジョアンとベル、ザックは驚いて目を見開く。

3人で小声で話す。

「嘘でしょ?どうしてそれでドヤ顔出来るの?」

「ジョアン、しかも王都ギルドだって。」

「知らないんじゃねーの?王都ギルドの実情を。」

「いや、だって有名でしょ?金次第でランク買えるの。」

「だから、きっと親が箔付けで買って渡しただけなんだろ?」

「「ありえる〜。」」

「おい!!ボン様が話してんのに無視するなよ!何をコソコソ話しているんだ!!」

「コッシー、そう言うな。俺の実力に驚いているんだ、しょうがない。」

腰巾着が怒るのをボンボンが止める。

あー、ボンボンのボンか。そして、腰巾着のコッシーね。

ん?コッシー……あー、子供に人気の青い椅子か。だから、ブレザーの中のシャツが青色なのか?

うん、わかりやすいぞ。ナイス、コッシー。

「ぶっ……。」

私が心の中でコッシーに賞賛を送っていると、後ろの席から吹き出す音が聞こえ振り返ると、確か王都出身の茶髪短髪、焦茶色の瞳の男の子。

その子は気まずそうに下を向く、その隣の男の子が肘でつつく。

「おい!そこのお前、なんだ?俺のこと笑ったのか?」

「えっ?いや、ちがーー」

「ボン様、アイツ笑いましたよ。間違いなく!」

コッシーが後ろの男の子を指差す。

ったく、うるさい。

さっきからボンボンの唾が飛んできそうで嫌だし……。

「あのー、後ろの子は笑ったのではありませんよ?先程、咳き込んでいたので、あなたの話を邪魔しない様に咳を止めようとしてあんな音が出たんだとーー。」

「あーん!?お前は平民を庇い立てするのか?」

「あら?ここは学院ですので、身分関係なく平等でしょう?」

「だとしても、俺は伯爵家だぞ!!」

「はあ、そうみたいですけど……。」

あれ?コイツ、入学式の日いたよね?自己紹介してたよね?

それで私も自己紹介したよね?なんなら生徒代表挨拶もしたけど?

伯爵家より辺境伯家の方が上よね?あれ?違った?

自分の認識の違いか不安になり、首を傾げながら周りを見るとボンとコッシー以外口に手を当てながら笑いを堪えてる。それを当の2人は気づいていない。

あー、私の認識は間違ってなかったっぽい。

どうしようかな?

身分についてもギルドのランクについても、色々言いたいんだけど?

視線を感じてそちらを見ると、キャサリーヌとサマンサ、レベッカがこちらを見ている。そして、その3人はパクパク口を動かしている。良く見ると……

『い・って・や・り・な・さ・い』

サマンサに至っては、口元で手を動かしてジェスチャーでも伝えている。

言ってやりなさいって……。

マジか!?口喧嘩推奨か?

ベルとザックもキャサリーヌ達に気づいたらしく、うんうんと頷いている。

「はぁ〜。」

「なんなんだ!お前はボン様に対してため息をつくのか?」

「別にそちらの伯爵子息に対してため息をついたわけではないですよ?」

「じゃあ、一体なんなーー」

「まあ、コッシーそんなに怒るな。我が家よりも劣るとはいえレディには優しくが俺のモットーだ。」

「さすがです。ボン様。」

「あの〜、女性に優しいのは良いことだと思いますけど、平民だの伯爵だのって言っても学院内では身分関係ないですよ?先程も言いましたが。」

「学院ではそうかも知れないが、伯爵家の俺に対しての失礼な態度を取ったのはお前の後ろのヤツだ。」

あー、全然話通じてない。

「では、お聞きしますが、あなたより身分が上の人間に対しては学院内でも失礼な態度を取らないのですか?」

「当たり前だ。それが貴族として常識だろう。そんなことも知らないのか?」

「じゃあ、このクラスで言うとあなたより上の身分の方はどなたですか?」

「このクラスでは、キャサリーヌ嬢だけだ。そんなこと他のヤツらも知ってるぞ。自己紹介したんだから、なあ?」

そう言って、周りを見回すボン。でも、コッシー以外は目を合わせない。同じ伯爵家の子息令嬢たちは首を横に振っている。

「へぇ〜。入学式に自己紹介聞いていたんですね?で、聞いた上であなたより高位貴族はキャシーちゃんだけだと?」

「お前、キャサリーヌ嬢をちゃん付けで呼ぶとは失礼なヤツだ。」

「でも、本人から許可貰ってますし。ね?」

全員がジョアンの、キャシーちゃん呼びに驚き一斉にキャサリーヌを見る。注目されたキャサリーヌは、皆んなの前でのキャシーちゃん呼びに嬉しさと恥ずかしさで赤面した顔を両手で隠しながらも、うんうんと頷いている。