作品タイトル不明
198.テイマーギルド
冒険者ギルドで達成報告を終え、ノエルとやって来たテイマーギルドは、冒険者ギルドの目の前にある噴水広場を隔てて反対側にあった。
冒険者ギルドよりも小さな建物で、何度か目の前を通っている私でも入ったことのなかった所。なんなら、空の酒樽が入り口に置いてあるから酒場だと思っていた。
スウィングドアを開けて入ると、人がまばらにいるだけ。受付に座っているのは、モジャモジャ頭の青年。
「すみませーん。登録したいんですけど。」
「はい、いらっしゃ……あーーー、ジョアン様ーーー!?」
「あっ、はい。」
「やっと、やっと来てくれた……。待っていたんですよ〜。でも、さすがに領主様のお嬢様に催促も出来ませんし……。良かった、本当に良かった。ちょ、ちょっとお待ち下さい。ギルマスーー、ギルマスーーー!!」
「何ですか?騒々しい。もう少し落ち着きなさい。」
「ジョアン様が、来てくださったんです!落ち着いてなんていられませんって。」
「何っ?ジョアン様が?……あっ、お待ちしてました。テイマーギルドマスターのダンブルです。まずは、こちらへ。……ロン、お茶を。」
通されたのはギルマスの部屋だった。
ギルマスのダンブルさんは、白髪を7:3分けにし銀ブチの眼鏡の老紳士。
「何かスミマセン。テイマーギルドの登録が遅くなりまして……。」
「いえいえ、学院に入学前に来て頂いて良かったですよ。……もし、王都のギルドで登録されたら、アイツらがデカい顔するからな。」
「えっ?」
最後の方は、小声で何を言ってたか聞き取れなかった。
「あっ、何でもないですよ。えーっと、登録でしたな。では、必要事項に記入して頂けますかな?」
「はい。えーっと、契約獣は……ペガサスのスノーちゃん、ブラウ、フェンリルのパール、あと……カーバンクルのロッソだと。」
「は?い、今なんと?カ、カーバンクル?」
「あっ、はい。さっき契約獣になりました。」
「あは、ははは……。」
ダンブルさんが遠い目になる。
「はあ〜、噂以上に規格外過ぎますよ。ペガサスにフェンリルにカーバンクルとは……。」
「あははは。あっ、そういえばテイマーギルドも登録試験とかあるんですか?」
「いえ、ありませんよ。ちなみに、ジョアン様はテイムのやり方は……。」
「知りません。ウチの契約獣は、その……名前をつけたら、契約出来たので……。」
「もしかして……スキルに【テイム】はないのですか?」
「はい、ないです。もしかして……ないと登録出来ませんか?」
「ええ……そうなんです。」
「じゃあ、登録出来ない?」
ジョアンは不安になる。
「あの、テイマーギルドに登録しないと学院で契約獣を連れて行けないですよね?」
ショックを受けているジョアンの代わりにノエルがダンブルに聞く。
「そうですね、一般的には。」
「じゃあ、例外があるのですか?」
「ええ、特例としてなのですが……いや、しかし、もしかしたら……。」
「どんな方法なんです?」
「王城で許可を貰うのです。」
「「王城?」」
ダンブルの説明によると、テイマーギルドからの紹介状を持って王城へ行き、文官と魔物討伐団からの面談などをし契約獣として認められたら登録できるという。
ジョアンとノエルは、紹介状を受け取り早々に屋敷へ帰りスタンリーに報告した。スタンリーは、グレイに王城への面談予約を命じた。
*****
ーーー翌日、陛下執務室にて。
「今日は、お忙しいところ申し訳ありません。」
「いやいや、かまわない。何か急用だと言っておったが?」
「その前に、陛下……。申し訳ありませんが、人払いを。」
お父様が陛下にお願いをする。陛下が人払いをし、執務室には陛下と宰相様、お父様と私、パールとロッソだけに。ちなみにロッソは私の肩の上で顔を髪の毛の中に入れている為、未だに気付かれていない。
「で、スタンどうした?」
「まず、コレを。」
お父様が出したのは昨日、テイマーギルドのギルマス、ダンブルさんに書いてもらった紹介状。受け取った宰相様は
「ん?……コレはテイマーギルドからの紹介状?おい、こんな事でコイツの時間を取らせたのか?」
「それは、申し訳ないと思っているが……まずは、読んでくれ。」
宰相様はお父様に促されて、紹介状を読む。
内容は、私が契約獣をテイムするという形で契約していない為、テイマーギルドに登録不可ということ。その登録がない為に学院に契約獣を連れて行けない為に、特例措置の依頼。
「「あっ……。」」
陛下も宰相様も、私の契約方法を思い出す。
「アレックスおじ様、ホルガーおじ様、お願いです。学院にパール達を連れて行きたいのです。」
「確かに、テイマーギルドでは【テイム】スキルがないと登録出来ないからな……。」
「はい。出来ることならランペイル領のテイマーギルドに入りたかったのですが……。」
「……わかった。入学までも時間がないからな。えーっと、ペガサスのスノーとブラウ、フェンリルのパールだったな?」
「あの……ホルガーおじ様……その……。」
「ん?どうしたジョアン嬢?」
「実は……もう1匹いるんです。」
「「は?聞いてないぞ!」」
「当たり前だ、まだ報告前だからな。昨日、契約したんだ。ジョアン。」
「はい。……ロッソ?」
ロッソは私の髪の毛の中から顔を出して、陛下達の方に目を向ける。陛下たちはロッソを確認すると
「「カ、カーバンクルだと!?」」
『ロ、ロッソと、も、申します。よ、宜しくお願いします。』
陛下と宰相様は頭を抱える。
「わっははは、どうだ驚いただろう?」
「おまっ、笑い事か!」
「……ここまでくると、笑うしかないだろうが。」
「……あー、お前も大変なんだな。」
あ〜、ごめんなさい。お父様。
でも、私が自分から契約獣探してるわけじゃないのよ。