作品タイトル不明
152.カレールー作り
《ダイヤウルフ》
Aランク相当の獰猛な恐狼。
全身を覆う夜のような群青色の毛で、大きいと2.5m程度の体長を持つ。
身体能力は高く、群れを為して狩りを行う。
鉄ですら噛み砕けるほどの発達した歯。攻撃性は非常に高い。
昨日から魔物討伐団、私兵団、冒険者のAランカーたちがクリムゾンウッズに討伐に行っている。
それも、私が仔犬だと思って拾ったパールからの情報からである。ちなみにパールを拾った時、ケガをしていたがそれはダイヤウルフではなく、逃げようと走った時に木の枝に引っ掛けたらしい。
「皆んな大丈夫かな〜?」
厨房の高イスに座り脚をブラブラしながら呟く。足元にはパールが寝そべっている。
「今回は、討伐団もいるし大丈夫だろ。」
エイブさんはそう言うけど、心配なのは変わらない。しかも、今回はマイクとアーサー、ベンもAランカーの冒険者として討伐に参加している。
「ん〜だといいけど……。」
「それにしても……。ペガサスの次はフェンリルとはな。さすがお嬢だな。」
「でも、フェンリルでも子供は本当に可愛いですね〜。」
「でしょ〜。うちのパールは可愛いの。」
『うにゅ〜。な〜に〜?』
寝起きのパールはとても可愛い。
「よし!考えててもしょうがない。料理しよう!」
「あっははは。お嬢らしいな。」
「だって、ジッとしてたら色々と考えてモヤモヤするから。それなら料理して動いてた方がいいもん。」
「あー、それ何かわかりますぅー。」
「あっ、アニーちゃんも?だよね〜。」
「んで?何作るんだ?」
「この前のスパイス使って、カレーを作る!皆んなが帰って来たらカレーパーティーだ!!」
「あっははは、そうだな。アイツらの為にも頑張って作るか。」
「あっ、いっぱい作るのに人数も足りないから助っ人を呼ばない?」
「「助っ人?」」
「うん。ケンさんと私兵団のjr.たち。そしたら、後で教える手間も省けるから、一石二鳥だよ?」
「「一石二鳥?」」
「あっ、えっと…前世の言葉で、1つのことで2つの利益を得る事?」
「あー、なるほどな。」
「じゃあ、アニーは私兵団の寮に。私はお父様に話して、ケンさんとこ行ってくる。」
しばらくして、厨房には私兵団 jr.7人と王都の屋敷からケンさんを含む4人が集まった。
「じゃあ、これからカレーを作ります。まずは、カレーのルー、素を作るから、タマオン、ガーニック、ションガーをみじん切りにしまーす。」
「お嬢、量は?」
「えーっと、タマオンが150個、ガーニック10個、ションガーが10個ぐらいかな?」
「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」
「……マジか?」
「マジだよ、マーティンさん。じゃあ、作業始めよう。」
1刻間程で、ようやくみじん切りが終わる。あちらこちらで、目が〜目が〜と言ってる。
まあ、主に私兵団のjr.だけど……。タマオン150だもん、そうなるわよね〜。
「じゃあ、コレを焦がさないようにあめ色になるまで炒めます。」
「「「「「「「「「えーーっ!?」」」」」」」」」
「大丈夫、30分ぐらいだから。」
「お嬢様、全然大丈夫じゃないですよー。」
ケンさんがボヤいてるけど、諦めて欲しい……。
「「「「「「「「終わったーーー。」」」」」」」」
「お疲れ様〜。じゃあ、小麦粉とバターを炒めてハチミツを加えてドロドロになった、ここにスパイスを入れて、混ぜるの。」
ちょうど説明が終わった時、厨房の扉が開く。
「ジョアン様ー、買って来ましたよー。」
「ありがとう、アニー、サラ。」
収納袋から先日買ってきたスパイスを、追加で買って来てもらった。
「サラ、今からスパイスを使うからパールを連れて行って。きっと匂いがキツすぎるから。パール、サラと一緒に待ってて。」
『あーい、シャラ。行こ。』
「うふふ。そうだね。」
テトテトと歩くパールは可愛い容姿もあって、すでに屋敷の全員に受け入れられていた。
「じゃあスパイス入れるから、皆んな鼻と口を何かで覆ってね。」
そう言う私も、大判のハンカチで鼻と口を覆い頭の後ろで縛る。皆んなも同じような格好になっている。
「あははは、強盗団みたい。エイブさんが1番似合う。」
「おい、お嬢……何気に失礼だな。」
「「「「「「「「「ぶはっ…。」」」」」」」」」
ほら、皆んな吹き出してるから私は間違ってないもん。
「じゃあ、入れるよ〜。……よっこらせっと。も1つ、……よっこいしょ。最後に……どっこらしょ。」
「お嬢……ババアか?」
「うー、うるさい!」
精神的には、まだ60代だからまだババアよ。でも、しょうがないじゃないの、重い物上げる時は掛け声必要でしょう?
ドロドロの小麦粉にスパイスが均一に混ざったところで、あめ色のタマオンを入れてこれも均一に混ぜる。混ざったら、バットに入れて冷やす。冷えて固まったら切って
「出来たー。コレがカレーのルーになりまーす。」
「意外と時間かかりましたね〜。」
とケンが言う。
「でも、頑張って作ったから美味しいよ。」
「確かに、初めて嗅ぐ匂いだけど……不味くはなさそう。」
王都の料理人の1人バリーも言う。
「あとは野菜と肉を煮て、そこにこのルーを入れたら完成だよ。……討伐終わった連絡来てからの方がいいよね?」
「あー、そうだな。昨日の午前中に行ってるから、早ければそろそろ1度目の報告が来ても良さそうだがな。」
「んー、じゃあお父様の所に聞いてくるから、一旦解散で。また、作る時に呼びますね〜。」
「「「「「「「「「「はーい。」」」」」」」」」」
厨房を出て、お父様の執務室へ向かう。
途中でサラに会い、パールは?と聞くとジーン兄様とボール投げをしていると言う。じゃあ、大丈夫だわと思い再び執務室へ向かった。