作品タイトル不明
106.甘露芋農家
グレイが、甘露芋農家からの返事を受け取った。
本日の予定がないのであれば、アフタヌーンティータイム頃に伺いたいと。
そして、約束のアフタヌーンティータイム。
応接間にはお祖父様、お父様、グレイ、私、エイブさん。そして、甘露芋農家の代表として男性が2人と女性が2人。男性はいかにも農家らしく、身体付きががっしりしていて日焼けをしている。
濃緑色の髪に、紫色の瞳がマックさん。紺色の短髪に、黒縁のメガネをかけているのがダニーさん。女性は2人の奥さんだった。マックさんの奥さんのサマンサさん、ダニーさんの奥さんのジェシカさん。
「領主さま、本日はお忙しいところすみません。宜しくお願いします。」
と、マックが頭を下げる。
「「「宜しくお願いします。」」」
と、他の3人が頭を下げる。
「話は聞いているとは思うが、今日君たちに来てもらったのは、今後甘露芋をどう生産、販売していくかを話し合う為だ。以前、君たちからもらった陳情書によると、甘露芋が売れず飼料になる割合が年々増えている。ということだったね。」
「はい、そうです。甘露芋がここ最近豊作というのもありますが、それでも過剰在庫が残り飼料になる割合が多くなっております。どうにかして甘露芋を販売できないか領主様にご相談させていただいた次第です。」
と、マックさん。
「飼料としてでは、販売するにも値段を高く出来ないので、どんどん赤字になっていってしまって……。このままだと、生活が出来なくなってしまいます。」
と、苦しそうにダニーさんが言う。
2人の話を聞きながら、奥さん達は俯いている。
「そうか、そこまでに…。君たちの陳情書を読ませてもらって色々と考えてみたんだが、甘露芋を加工して販売するのはどうだろうか?」
「「加工…。」」
「あぁ、まずはコレを見て欲しい。エイブ、ジョアン。」
「「はい。」」
私のストレージから干し芋を出す。
「これは?」
と、干し芋を見てマックさんは尋ねる。
お父様は私を見て小さく頷く。
「これは、蒸した甘露芋をスライスして干した干し芋です。保存食になるのはもちろん、高血圧予防や老化予防。それに便秘改善やダイエットにも良いんです。まずは、食べてみて下さい。」
さすがに高血圧の改善と言ってしまうと、後々面倒なことになってしまう気がするので、あえて『予防』として説明をする。
モグッ…。
「…美味しい。これが甘露芋…。」
と、マックさん。
「優しい甘さですね。蒸しただけですか?調味料とかは?」
と、サマンサさん。
「調味料は使っていません。甘露芋自体の甘さです。」
「初めて食べましたけど…。これなら売れるかも…。」
と、ダニーさん。
「でも、蒸して干すと言っても今の季節だと乾きませんよね?他の作り方はあるのですか?」
と、ジェシカさん。
確かに、天日干しするにも雪が降っていると家の軒先でも濡れる可能性があるわ。家の中に干して窓を開けておくには無理があるし……。
「甘露芋農家の人の中に、スキルで乾燥させられる人はいないか?」
エイブが4人に聞く。
「あっ、あの私、【ドライ】というもの持ってます。洗濯物を乾かす時ぐらいしか使わないですけど……。」
と、サマンサさん。
「「それっ!!」」
と、エイブさんと声を揃える。
大きな声に、その場にいた人たちがビクッと驚く。
「あっ、ごめんなさい。実は、それ私のスキルで乾燥させた物なんです。天日干しの方がたくさん作れるのでそう説明したのですが。でも【ドライ】を持っているなら、この季節でも大丈夫そうですね。あとで、やり方を教えますね。」
「あっ、ありがとうございます。お嬢様。」
「でも、領主様。干し芋だけでは今とあまり変わらないように思えるのですが。」
と、マックさん。
「もちろん、干し芋だけでは難しいだろう。だが、他にも甘露芋の活用方法があったらどうだ?」
お父様が、私をチラッと見る。その視線を合図に、ジョアンはストレージからランチで食べた料理を出す。
「これは、娘ジョアンと料理長であるエイブが甘露芋を使って作った料理だ。こちらからポタージュ、コロッケ、バター炒め。で、この2つがお菓子でスイートポテトにチップスだ。まずは食べてみてくれ。」
そうお父様に言われ、4人は全てのものを試食する。一つ一つ試食するたびに美味しさに驚き、さらに甘露芋が焼いたり、蒸したりする以外にも食べ方があることに驚いた。
料理を食べ終わり…。
「領主様、俺……あっ、私は甘露芋農家なのに、このような食べ方を知りませんでした。恥ずかしい限りです。」
と、マックさんが項垂れる。
「俺もこんな美味しい食べ方知らなかった…。」
と、ダニーさん。そして、奥さんたちまで項垂れてしまう。
「あっ、あの、知らなければ学べば良いと思います。自分が知らない事は、知ってる人に聞いて学べばそれが自分の知識となるから。」
4人の落ち込む様子を見て、私が慌ててフォローする。
「ジョアンの言う通りじゃ。知らなければ知れば良いんじゃよ。」
と、お祖父様。
「「「「知らなければ知れば良い…。」」」」
4人は顔を上げて、言葉を繰り返す。
「あぁ、だから君たちにこの料理を食べさせたんだ。これを後に料理屋やお菓子屋で販売をするつもりだ。もし、これに人気が出て売れたらどうなる?」
と、お父様が4人に聞く。
「「「「あっ!!!!」」」」