軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

それぞれの恋①

「私、レフィトを探しに行ってきますね。やっぱり気になるので」

「僕たちも行くよ。そろそろ頃合いだろうしね」

リカルド様の言葉に、いったい何の頃合いなの? と思いつつ、皆でぞろぞろとレフィトを探しに向かう。

すると、ラムファ様を庇うように立つレフィトが見えた。

「あ! レフィト!! って、何か取り込み中?」

そのことに気付かないふりして近づけば、レフィトはアグリオの腕を掴んでいる。

私も咄嗟に、アグリオからラムファ様を隠すように立った。

その間に、ラムファ様は皆に囲まれる。

「ラムファ、顔色が悪いわよ。早く休まないと」

「大丈夫ですよ、ネイエ様。ありがとうございます」

ラムファ様の顔をのぞき込み、ネイエ様は心配そうに眉を下げ、カナ様は自身の羽織っていたショールをラムファ様へとかける。

「わ、私、何か飲むものを……」

「レア、落ち着けって。それよりも休める場所の確保が先だろ」

アザレアとゼンダ様もわたわたとしていて、何だか騒ぎになりそうな雰囲気だ。

「ふふっ、大丈夫ですよ。リカルド殿下にご挨拶したら、もう帰るつもりでしたので」

小さいけれど、しっかりとした声でラムファ様は言う。

人見知りで、いつも人の後ろに隠れていてあまり話さないイメージだったけれど、そんなことなかったみたい……って、あれ? ネイエ様が驚いてる。それに、アグリオも。

そんな中、リカルド様だけはまったく驚いた様子がない。

そのことに疑問を持ちつつ様子を見ていれば、リカルド様はラムファ様の前に立った。

「やぁ、ラムファ嬢。僕に用事でもあるのかな?」

「はい。以前のお話は、まだ有効でしょうか?」

ラムファ様の言葉に、リカルド様は「へぇ……」と意味深に笑う。

「もちろんだよ。予想は外れちゃったけど、嬉しいな」

「予想ですか?」

「うん。アグリオが想像以上に人でなしだったなぁって。僕、けっこうアグリオのことは買ってたんだよ。いやー、残念残念。でも、カラコエ公爵家もアグリオが跡取りじゃなくて良かったよね」

「なっ……」

アグリオは歯を食いしばり、リカルド様を射るように見ていたけれど、何かを言うことはない。

あ、そうか、リカルド様って王族だし、いくら公爵家の次男と云えど、そうそう反論できないのか……。

って、あれ? 私とレフィト……だけじゃなく、ネイエ様も リカルド様(王族) への態度として色々アウトだった気がするんだけど……。

「ラムファ嬢、すべてを捨てる覚悟はできている?」

「はい」

静かだけれど、まっすぐにラムファ様は返事をする。けれど、そのことに慌てたのはネイエ様だった。

「リカルド様、すべてを捨てるってどういう意味ですか?」

「そのままの意味だけど?」

「聞いていません!」

「ネイエ嬢には言ってないからね。でも、きちんとラムファ嬢には伝えてあるし、問題ないだろう? これは、ラムファ嬢の問題であって、ネイエ嬢には関係ないんだからさ」

「そうですけど……」

ネイエ様はそれ以上言葉を続けることができず、口ごもってしまう。

たしかに、リカルド様が言ってることは正しいのだ。

正しいからと相手の気持ちを考えずに言っていいものでもないけれど。

うーん、どうしようかな。詳しいことが分からないだけに、口を挟みにくいんだよなぁ。

なんて悩んでいれば、私よりも先にラムファ様が口を開いた。

「殿下、私に覚悟はできていても婚約は家同士のものです。破棄は両親が許さないでしょう」

「なるほど。じゃあ、僕が説得できたら、アグリオとは婚約破棄してくれる?」

「もちろんで──」

「ちょっと待ってくれないか! 婚約破棄ってどういうことだい? 俺は聞いてないぞ」

ラムファ様が答えきる前に、アグリオが焦ったように話に入る。

「婚約破棄なんて、させないからな」

ラムファ様を睨みつけるようにアグリオは言い、リカルド様は大きなため息をこぼした。

「アグリオの意見は聞いてないよ。そもそも、先に裏切ったのは、君の方だろう?」

「それは……。ですが、そもそも破棄なんてできるわけがないんですよ」

「あれ? そうなの?」

何で? と言わんばかりの顔で、リカルド様は首を傾げる。

「当たり前じゃないですか。俺の両親も婚約破棄なんて認めませんよ」

「それは俺が認めさせるからいいよ。アグリオも良かったじゃないか。これからは、いくらマリアン嬢を追いかけまわしてもいいんだよ。って、もう好き勝手にやってたか」

明るい声でリカルド様は言うけれど、そこに感情は見えない。

ただ事実を述べているという雰囲気だ。

「アグリオ、きみは自分自身でラムファ嬢の心を繋ぎとめておく最後のチャンスを潰したんだ。ラムファ嬢以上にアグリオを想ってくれる女性は二度と現れないだろうけど、君自身が選んだ道だからね、誰のことも恨んではいけないよ? さ、ラムファ嬢、行こうか」

何も言えないでいるアグリオに興味を失ったかのように、リカルド様は視線を外す。

そして、顔色があまりよくないラムファ様をエスコートして歩き出そうとした。