軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

オークション前の話し合い

オークションで落札する物を決める。

俺だけでは力不足だったので、村の住人に協力をお願いした。

オークションが正式に開催されるのは、まだ先だからな。

時間の余裕があるときに、行ってもらった。

ルーとティアが行って、数点が候補に追加された。

マルビットと天使族数人が行って、さらに数点が追加。

二村のミノタウロス族と三村のケンタウロス族は代表者が数人で行ったが、高額過ぎて欲しいと思う感情がわかないと言われてしまった。

あと、ジュピターのことがあったので四村のベルにも行ってもらった。

ベル一人だと不用心なので、文官娘衆たち数人も一緒に。

すると、ベルが大慌てで戻ってきた。

ジュピター関連で、なにかあったのかな?

「違います!

それよりも大変なものがありました」

大変なもの?

「太陽城の武装です」

……太陽城とは四村のもとの名だ。

その太陽城の武装はたしか……昔の所有者が売ったんだっけ?

「そうです。

その武装が、いくつも出品されてました!」

おおっ!

それはよかったな。

そして、それを落札すればいいんだな。

「あー、えっと、どうしましょう?

使い道はありません……よね?」

……そう言われると。

そうだな、いまさら四村を武装しても戦う予定なんてない。

あ、いや、防犯用にあってもいいのか?

「防犯用というには危険な武装ですが……

正直、ドラゴンが多くいる状況なので、防犯面の不安はありません」

そうか。

まあ、ベルたちの思い出の品ということで、落札だけしておくか?

落札したからって、絶対に使わないといけないってことはないだろうし。

「そうですね。

それがいいかと……あと、絶対にヨルには知らせないようにしてください」

ヨル……ベルの部下で、現在は温泉地にある転移門の管理をしてもらっている武器が好きな子だ。

知られたら、四村に装備しろと言ってくるか。

「それだけならいいのですが……その、太陽城の燃料の心配がなくなったので、撃たせろと騒ぐかと」

あー、言いそう。

「なのでヨルには秘密で」

そういった会話を大樹の村の俺の屋敷の仕事部屋でしたのだが、どこからか漏れたらしい。

ヨルが褒賞メダルを握りしめ、直談判にきた。

……

わかった。

落札したら、四村に装備。

たぶん、秋になるが試射をしよう。

もちろん、その指揮は全てヨルに任せる!

俺の返事に、ヨルはこれ以上ないぐらいの綺麗な敬礼をした。

一応、なぜヨルが知ることになったかを調査した。

俺の仕事場だと大事な話もするからな。

盗み聞きできるなら問題だ。

結果、ベルに同行した文官娘衆の一人からと判明した。

直接、言ったわけではない。

その文官娘衆はオークション会場でヴェルサ趣味の本を探した。

そして、見つけた本の報告をヨルにしているときに、目的のわからない物があったと言ってしまったそうだ。

普通ならそこで話は終わりだったのだが、ヨルはなぜか気になった。

気になってしまった。

そして、温泉地の転移門の管理をアラクネのアラコに頼み、オークション会場に行った。

という流れらしい。

なるほど。

余談だが、太陽城の武装と再会したヨルは、その場では興味のなさそうな顔をしてほかの物を見にいったそうだ。

武装の前で泣いたり騒いだりすると、価値があるものだと 他の落札者(バイヤー) に教えるようなものだから。

ヨルの絶対に落札するという意思を感じた。

試射は絶対にしないと駄目だな。

うん。

しかし、ヨルもヴェルサ趣味の本に興味があったのか……

そうか。

今回のオークション、以前のオークションと違っていろいろと出てくるな。

高額商品も多いし。

なにか理由があるのかなと思っていたら、理由があった。

魔王国。

勝利宣言をして、しばらく戦争がないと周知したのが原因らしい。

魔王国の各地の貴族は、そのほとんどが商人などから借金をしている。

兵や武器、食料などを集めるのに金が必要だからだ。

自前でなんとかなるならいいのだが、戦争は大量消費の場。

生産性などかけらもない。

自前でなんとかなるのはきわめて一部。

商才がある者がいるところだけ。

ビーゼルやグラッツ、ホウ、ランダンなどの四天王のところはなんとかしている。

さすがだ。

しかし、それ以外は厳しい。

借金まみれ。

返せるアテは……一応、あった。

戦争に勝つことだ。

戦争に勝ち、相手から 賠償金(ばいしょうきん) を取ることで借金をなんとかする。

そういったアテだった。

貸すほうも、それはあまりアテにならないとわかっていたが、だからと言って金を貸さずに戦争に負けたら全てを失う。

だから貸した。

戦争に勝てばなんとかなると思いながら。

だが、魔王国は勝利宣言をした。

賠償金は?

賠償金はどうなったと確認すると、魔王国は賠償金に関して六竜神国に放り投げていた。

もともと長く続いた戦争。

賠償金を求めるとどうしても莫大な額になるし、相手は絶対に受け入れない。

かと言って、賠償金の額を安くすることもできない。

まとまるわけがない。

逆に請求すると、新たな戦争の始まりだ。

魔王はそう考え、賠償金に見切りをつけた。

だが、賠償金をアテにしていた貴族や商人はそうもいかない。

なんとか相手から賠償金を取れと訴えてくる。

このまま放置すると貴族の家は潰れ、金を貸した商人たちも共倒れになるからだ。

そんなことになるなら、いっそ反乱だ。

賠償金を取らない魔王を倒せ!

……という気運になってしまう。

さすがにそれは見過ごせないし、魔王としてもある程度は貴族や商人を保護しないといけない。

だが、だからといって魔王国が貴族の借金を立て替えたり、金を貸したりはできない。

下手にそんなことをすると、いくら借金をしても国が払ってくれるとの考えが 浸透(しんとう) してしまうからだ。

純粋に借金が戦争に使った金だけなら、魔王国も立て替えの検討ぐらいはするのだが、貴族の借金がそれだけなわけがない。

だから借金を立て替えたりはできない。

金を貸すのも、なにかしら 質(しち) がいる。

質さえあれば、貸せる。

土地だろうがなんだろうが、質にしてくれたらいい。

が、ここで問題なのが貴族の 面子(プライド) 。

「あの家、国に金を借りて維持してるんだぜ」

「土地を質にするって、もう貴族じゃないじゃん」

などと言われると、貴族は耐えられない。

気にしない貴族もいるが、大きい貴族ほど気にする。

気にしてしまう。

だから、表立って金は借りられない。

裏にまわって借りても、バレたら終わり。

ぐぬぬっ、やっぱり反乱か。

そう考え始めたころに、魔王からオークションへのお誘いが届いたらしい。

「つまらん品でも、魔王国が落札する予定だ」

魔王はそう言いながら、膝の上でくつろぐ妹猫たちを撫でた。

なるほど。

魔王国は落札しただけで金を貸したわけではないし、相手はオークションで金策をしたという名分を持てると。

そういった話があるから、出品物が倍になったのか。

しかし、オークションに出す品がよくあったな?

金目の物なんて、借金の担保で持っていかれているんじゃないのか?

「大きい貴族ほど、金にならん先祖伝来の意味不明な物を持っているものだ」

それが太陽城の武装や、ジュピター関連の品か。

「というわけで、今回のオークションには、いくつかの品に高い最低落札額が設定されている。

すまん」

いや、気にしなくていいが……

「それでだ。

村長が落札希望の物で、貴族が出品しているものなら、こちらで確保しよう。

無駄に高い額を払う必要はない」

いいのか?

「もともと、魔王国が払う予定の金だからな」

貴族が出品している物には、魔王国の代理人が最低落札額を入れる。

あとは欲しい者たちで競り合う。

魔王国の代理人は競り合わない。

誰も欲しがらなかったら、出品者が希望する最低落札額が通るだけと。

最低落札額は、出品者に任せたのか?

「さすがにそこまで自由にさせん。

こちらから目利きができる者を派遣し、値をつけさせた。

大甘の査定だがな」

へー。

このこと、ゴロウン商会やダルフォン商会には?

「もちろん、根回しはしている。

ゴロウン商会のマイケルやダルフォン商会のリドリーは苦い顔をしておったがな。

あやつらには、なにかしらの形で報いる予定だ」

わかった。

近いうちに落札希望のリストを提出するよ。

「すまない」

内乱が起きるよりは、ましだからな。

それと、普通の品のオークションには参加していいんだろ?

「もちろんだ」