軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ハクレン式移動方法

雄のメレオを運ぶためのハクレンの 背負子(しょいこ) 作り。

一日目は材料を集めるだけで終わってしまったが、目算では明日には完成するだろう。

つまり、最速で明日の夜か明後日の朝には出発できる予定だ。

なので戻るのは……

ハクレン、ハクレンの方法で帰ると村までどれぐらいかかるんだ?

「んー?

すぐよ、すぐ」

いや、すぐなのはわかるが、食事とかそういったの準備がいるだろ?

「いらないわよ」

そんなに早く帰れるのか?

「もちろんよ」

自信満々だな。

わかった。

頼んだぞ。

「うん。

それより、背負子は頑丈にね。

あと、箱っぽくなってもいいから 掴(つか) まるところを多めにね」

そうだな。

落ちないようにしないとな。

「そうそう」

などと会話しながら夜が過ぎ、翌日。

ダガ、ガルフ、飼育場の飼育員などの手により背負子が昼過ぎに完成した。

思ったよりも早くできた。

まあ、俺が【万能農具】で材料を加工し、それをドラゴンの姿になったハクレンが組み合わせ、ほかの者たちが固定するだけの作業だからな。

頑丈さも十分。

大きいメレオが乗って暴れても問題ない。

ハクレンの要望通り、掴まるところも多く作っている。

いつでも出発できる。

天気もいいし、さくっと帰るか。

ビーゼルが届けてくれた手紙の返事には、できるだけ早く戻るようにとあったしな。

俺としては、見知らぬ土地の植物とかを確認したかったけど。

まあ、また来ることもあるだろう。

ドラゴンの姿になったハクレンが背負った背負子に、雄のメレオが乗り込む。

同乗するのは俺、ダガ、ガルフ、そしてビーゼル。

雄のメレオだけ乗せてハクレンが運び、俺たちはビーゼルの転移魔法で移動する案もあったけど、ハクレンが抜けることによる護衛戦力の低下をダガとガルフが懸念した。

万が一が怖いと。

ハクレンのほうは、多少人数が増えても問題ないとのことで、一緒に行くことになった。

早く帰れるのは嬉しいが、ちょっと怖いんだけどなぁ。

背負子の取っ手と俺たちの体をロープで結び、落下防止までしているし。

どういった方法か聞いても、お楽しみだと教えてくれなかった。

まあ、俺はハクレンを信じている。

危ないことはするかもしれないが、命を落とすようなことはないと。

「それじゃあ、出発するわよー」

おうと返事したいが、ちょっと待ってくれ。

「どうしたの?」

いや、その腕の装備は?

背負子を組み合わせているときはなかったが、いまは両腕に盾と鞘が一体化した装備がされている。

しかもドラゴンサイズだ。

「帰ったとき、装備してなかったらかわいそうでしょ」

……たしかにな。

装備しても移動に問題はないんだよな?

「ないわよ」

わかった。

それじゃあ、出発だ。

俺たちは見送ってくれるシルキーネさん、飼育場の飼育員たち、そして雌のメレオたちに手を振る。

雄のメレオは、すぐに戻ってくると雌のメレオたちに声をかけた。

俺たちを背負ったハクレンは、ふわりと浮上した。

「そうそう、村長。

移動中は私と会話できないからね」

え?

そうなのか?

「集中しないと間違った場所に行くことになっちゃうから」

そ、そうか。

わかった。

俺の返事を確認し、ハクレンは垂直に高度を上げ続けた。

かなりの速さだったが、ハクレンの魔法で守られているのだろう。

乗っている俺たちには、なんの影響もない。

だからのんきに構えていた。

……

……………………

……………………………………………………………………………………

構えていたら、宇宙まで来てしまった。

いや、たぶん、まだぎりぎり 成層圏(せいそうけん) 。

人工衛星とかが飛ぶ高さ。

宇宙じゃない。

ほとんど宇宙だろうけど。

凄い光景だ。

さっきまでいた地球……地球でいいよな。

異世界の地球が球形なのがわかる。

感動すらある。

そしてハクレンの移動方法を理解した。

地球の自転から逃れて、移動距離を稼いだんだ。

こっちが移動しなくても、地球が回転してくれるからな。

まあ、それで移動できるのは東西だけだから南北には自力で動く必要があるだろうけど……

と、ハクレンが急降下を始めた。

降りるのか。

す、すごい速度だ。

だ、大丈夫か?

落下してないか?

ハクレンの体、燃えてないか?

あ、あれか、宇宙船が地球に降りるときに燃える現象!

空気を圧縮することで高熱になるやつだな。

うん、現実逃避だ。

かなり怖い。

ダガやガルフ、ビーゼルのように気を失うのが正解だったか。

雄のメレオは……頑張っている。

よ、よし、最後まで頑張ろう。

そう思ったとき、ハクレンの両腕に装備されていた盾が割れ、変形拡張した。

なんだ?

割れて出てきた部分は、青く発光している。

かっこいい。

あの変形に、なにかしらの効果があるわけではないだろう。

それはわかる。

だって、そういった効果があるなら山エルフたちが先に説明しているだろうから。

これは俺を驚かせるためだけの変形!

つまり、重装甲のほうも同じ仕組みが?

無事に戻れたら、見せてもらおう。

うん、これも現実逃避だ。

地上が近づき、地形がわかり……

ああ、そうそう、あのあたりが死の森でとなったあたりで降下速度が低下。

いつものハクレンの飛行速度に戻った。

「どうだった?」

ハクレンの声が届く。

も、もう喋って大丈夫なのか。

死の森というか、四村や大樹の村がわかるもんな。

「びっくりしたでしょ?」

ま、まあな。

いきなりあんな光景を見せられたら、普通は驚く。

そして、貴重な経験だった。

「それで、どこに降りる?

大樹の村?

それとも四村?」

あ、そうか。

雄のメレオを運ぶことを考えたら、四村のほうがいいな。

四村に向かってくれ。

「了解!

まかせて!」

メレオの飼育場から、四村まで。

俺の体感で一時間とちょっとぐらいだった。