軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユーリの反省

森の北の方にダンジョンがあるらしい。

ハイエルフたちがザワザワしている。

ダンジョンに潜る気だろうか。

……

「ダンジョンに入るメリットってなんだ?」

「ダンジョンに住む魔物から毛皮や肉、骨を得ることができます」

「宝があったりはしないのか?」

「住んでいる魔物に金銀財宝を集める習性があれば、あるかもしれませんが……滅多にありませんね」

「そうか」

「ダンジョンに入る大きなメリットはありませんが、意味はあります。

管理されていないダンジョンは、適度に中を荒らさないと魔物が出てきて暴れますから」

そういえば、前にそんなことを言ってた。

ただ、南のダンジョンのように管理する種族が居れば魔物が外に出ることは減るそうだ。

「管理されたダンジョンでも、管理している者の資質で魔物が出てきますから入って調べることに意味があります」

管理している種族が好戦的や野心的な場合は、高頻度で魔物が外に出る可能性があるので、どちらにせよ放置はできないらしい。

消極的許可を出すとハイエルフたちに混じってリザードマン、鬼人族のテンションが上がった。

その様子を横目に、選抜戦をしているクロの子供たち。

一緒に行く気満々だな。

いや、抜け駆けするかな?

前のように一年以上掛かるなら、無理せずに定期的に戻ってきてほしい。

新しく来た魔族の娘たちは、最初こそ色々と戸惑ったようだが、今は真面目に色々な仕事をしている。

改めて魔族という種族について考えてみた。

魔族。

こう呼ばれる者たちには二種類存在するらしい。

一つは、人間寄りな姿をしているが、人間じゃない者たち。

亜人の意味合いで使われている。

俺の知っている者で言えば、吸血鬼、天使族、ハイエルフ、鬼人族、リザードマン、獣人族、エルダードワーフ、ラミアがそれに当たる。

吸血鬼、鬼人族、リザードマン、ラミアはなんとなくわかるが、天使族やハイエルフ、獣人族、エルダードワーフを魔族と呼ぶのは変な気がする。

亜人の意味合いで使うなら、素直に亜人と呼べばいいのに。

もう一つは、見た目がほぼ人間だが、所持する魔力量が人間を超えている者たち。

フラウや新しく来た娘たちがこれにあたる。

所持する魔力量が多いだけなんだから、魔法使いと同じじゃないかと思ったら、少し違った。

所持する魔力量が多いと、その魔力によって肉体に変化が出たりすることがあるらしい。

例えば、肉体が岩のように硬くなったり、手足が伸縮するようになったり、遠くが見えるようになったり、耳が異様に良くなったり……

説明を聞きながら、前の世界のTVでやってた某世界の奇人変人コーナーを思い出し、失礼なことを考えたと頭の中で謝罪する。

要は少し変わった人間らしいが、種の起源がどちらにあるかわかっておらず、人間が劣化した魔族の可能性だってあるわけだ。

なるほど。

フラウやこの村に来た娘たちも所持する魔力量が多いけど、人間との差は感じられない。

肉体に変化が出るのは所持する魔力を扱い切れないからで、魔力をしっかり扱えるようになればその変化も小さくなったり無くなるとのこと。

そういう意味では、この村に来た娘たちは優秀なのかもしれない。

いや、実際に優秀らしく、話を聞けば魔王国のお偉いさんの娘さんが大半だった。

お偉いさんの娘だから優秀なわけではなく、優秀じゃないと偉くなれないので鍛えられるそうだ。

そんな娘さんたちがここに来ていいのだろうか?

「帰りたいのであれば、帰れるように手配してやった方がいいかな?」

俺はフラウにそう聞いたが、今のところは希望は出ていないらしい。

現在は宿で寝泊りしているが、彼女たち用の家を建設中。

お偉いさんの娘さんだから村での生活に苦労するかもしれないが、頑張ってほしいものだ。

「ご飯、美味しい」

「あー……お風呂、サイコー」

「ギスギスした宮廷闘争も無いし、のんびりできるわねー」

ユーリは、フラウの案内で村を見て回っていた。

「ご自分がやろうとしていたことを理解しましたか?」

「ええ。

ここに攻め込もうとするなんて……

私は危ないところ……いえ、死ぬところだったようですね」

「兵を集めたら言い訳ができなくなります。

行動は慎重にお願いします」

「わかりました。

ですが、兵は早く集めた方が有利だと教えられてきたのです。

それは間違いだったのでしょうか?」

「その点は間違ってはいません。

勝てない相手に対して敵意を見せたのが今回の間違いです」

「兵を集めたことが敵意になるのですね」

「ドラゴンの目の前で武器を構えたら、ブレスを吐かれても文句は言えないでしょう。

そのドラゴンが居る村ですし」

「まさか、本当にドラゴンが居るとは思いませんでした。

てっきり、何かの欺瞞工作かと」

「私もこの村に来る前なら、同じように思ったでしょうからその点は責めませんが……

魔王様から、この森に関わるなと注意されたと思いますが?」

「お父様の注意を無視したのは悪かったと思っています。

ですが、フラウレムも悪いのですよ。

いきなり居なくなったりして……」

「そのことに関しては申し訳ありません」

「理由に納得しましたから、謝罪は不要です。

それより、これは本当に大丈夫なのですか?」

「はい。

遠慮なく投げてください」

ユーリはフラウに促がされ、手に持ったボールを投げた。

そしてそのボールを追いかけるクロの子供たち数頭。

ボールを獲得した勝者がユーリの所に来て、褒めろという顔をする。

「よ、よく持ってきました。

見事です」

ユーリは褒めることはできたが、さすがに頭は撫でられなかったので代わりにフラウがボールを持ってきたクロの子供の頭を撫でた。

「一頭でも街に入れば大災害になるインフェルノウルフですが、こうやっていれば可愛いものですよ」

「そうなのでしょうけど、なかなか」

「ですよね。

私も、撫でることができるまで時間が掛かりました」

「何か切っ掛けでも?」

「そうですね……チェスでボコボコにされた後、競い合った結果でしょうか」

「チェス?

宿でやったボードゲームですよね。

インフェルノウルフができるのですか?」

「村のチェスチャンピオンはクロヨンさん……あの木の所で横になっているインフェルノウルフです。

強いですよ。

私もまだ勝ったことはありません」

「……驚かされてばかりです」

「ですよね。

さて、そろそろ昼食です。

戻りましょうか」

「ええ。

ここの食事は美味しいですから、毎回楽しみです」

「お口にあって何よりなのですが……あまり慣れると、帰れなくなりますよ」

「……帰らないと駄目でしょうか?」

「駄目だと思います」

「料理人を連れて帰るワケには?

私は王姫ですよ」

「その理屈が通じない村だと理解されたと思いますが?」

「うう……」

余談。

「フラウ、少しいい?」

「リアさん?

なんですか?」

「どうして魔王の娘なのに王姫って呼ばれているの?

王女じゃないの?」

「魔王は世襲制じゃなく、任命制ですから。

王女だと、魔王が代替わりした時に色々と困るので、王姫と呼ぶのが習慣なんです」

「へぇ。

じゃあ、王子も?」

「王子の方は、そのまま王子です。

魔王が代替わりされた後は、王子と呼ばれなくなります」

「なるほど」

「まあ、任命制と言っても基本的に魔王様の一族から選ばれるので、ほとんど世襲制と同じなんですけどね」

「そうなの?」

「ええ。

能力的に魔王様の一族が一番優れているからだと聞かされていますが……」

「面倒なことを引き受けてくれる一族に押し付けているだけ?」

「野心家が少なくて良いことなのか、悪いことなのか……

ところで、いつからユーリ様が王姫だと?」

「結構、最初の方から。

全然隠せてなかったわよ」

「うっ……村長は?」

「気付いていないと思う」

「秘密でお願いします」

「私たちは大丈夫だけど、隠したいなら本人に注意した方が良いんじゃないかな。

時々、父親を自慢してるから」

「ちゅ、注意しておきます」