軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

冷静になる

翌日。

家族会議をするぞと思っていたのだが、一晩寝たので冷静になった。

まず、家族会議。

俺のやりたい議題は子供の進路に関して。

将来を考えれば子供を産んでいない者を含めて全員参加が相応しいのだが……

俺としては、強権を発揮しての服従は求めていない。

意見を言い合い、理解した上で受け入れてほしいと思うのは、わがままだろうか?

しかし、大多数が話し合うとなると収拾がつかなくなる可能性が高い。

なので、代表者を集めての会議にスケールダウン。

そうすると参加者は……ルー、ティア、リア、アン、ハクレン、ラスティ、フラウ、セナあたりかな。

グランマリア、クーデル、コローネにも参加してほしいが、三人はティアが参加するからと遠慮するだろう。

ティアに従うという意味ではなく、会議の場で天使族が多数を占めるのを避けるために。

まあ、そんな感じの参加者で会議が進行したと想像する。

とりあえず、俺の考えを「自由派」、継承を前提にした考えを「継承派」としよう。

今回の会議の発端を考えるに、ルーとティアは「継承派」。

リア、アンも「継承派」。

ハクレン、ラスティは俺の意見を支持してくれるだろうが……ドラゴンとして役目がどうこうとドースが言ってた覚えがある。

種族的な役目、役割の継承があるのかもしれない。

いや、あるだろう。

俺が言えば逆らってくれるかもしれないが、とりあえずハクレンとラスティも「継承派」。

フラウはフラシアになにかを継承させようとはしていない。

しかし、ビーゼルや世話役のホリーはフラシアに継承を期待しているのではないだろうか?

なにせフラウはビーゼルの一人娘だからな。

フラシアがもう少し大きくなれば、ビーゼルの領地の継承の話が出てくるかもしれない。

ありえないか?

ほかに血縁がいて、そっちに任せるか?

……フラシアが大きくなって村を出て、誰かと結婚。

ビーゼルのもとで、領地を継ぐ勉強をしながら生活するのは十分考えられる。

ビーゼルがそのあたりの話をフラウにすれば、フラウは逆らうだろうか?

フラウも「継承派」だな。

セナはどうだ?

……

セナはガットの妹で、ハウリン村の村長の娘だ。

しかし、セナは大樹の村に骨を埋める覚悟をしている。

これは俺の 自惚(うぬぼ) れではなく、セナから直接、言葉で聞いている。

間違いない。

なので、ハウリン村のことは考えなくていいだろう。

そして、セナのセッテに対する教育に関して……

勉強のほか、自分の仕事の手伝いをさせている。

これは「継承派」だろうか?

そんな参加者で行われる会議。

うん、俺が 諭(さと) され、流される様子がみえる。

はっきりと。

まあ、昨日は少し熱くなってしまったが、“役目の継承”を“技術の継承”と考えれば、親の仕事を子に手伝わせることは悪いことではない。

技術は財産だ。

その財産を子に渡そうとして、なにが悪いのかという意見になる。

自分の開発した技術を子に継いでもらいたいと考えるのは悪だろうか?

そんなことはない。

ただ、子にその技術を受け継ぐ才能がない場合、子にその技術を継ぐ意思がない場合に悪となってしまう。

俺はそれをなくしたいのか?

とすると、才能の有無の判断はどのタイミングですべきだ?

判断したとして、本人のやる気は無視か?

才能がなければ、やってはいけないのか?

そんなことはない。

ないが……継いだ職業によっては本人も周囲も不幸になるな。

一旦、リセット。

自分の考えをまとめる。

俺としては、なにが嫌で、どうなってほしいんだ?

俺としては……

子供がある程度、判断できるような年齢になったとき、職業を選ぶ自由があればいいと思う。

うん、そうだな。

親が騎士だからと、騎士になる必要はない。

子がやりたいことをすればいい。

……

しかし、採用する側に立って考えると、「やりたい」という意思だけでは困る。

ちゃんと「やりたい」ことに合う体力と知識を持っているかだ。

そして、その「やりたい」ことで生活をしていけるのか?

前の世界でも、アイドルになりたい、俳優になりたいと努力しても、その道で生活ができるまで時間がかかった話をよく聞く。

しかも、時間がかかってもその道で生活できるのは幸運で、大半の者がその道で生活できずに諦めていく。

親としては、応援する気持ちがあるだろう。

しかし、 不憫(ふびん) な人生を歩ませまいと思う気持ちもある。

むずかしい。

子は子で独立した人生を歩むべきだが、親としてある程度の誘導は仕方がないのか?

うーむ。

すぐに結論は出せない。

出してはいけない問題だ。

「あの、村長。

そろそろ会議を始める時間ですよ」

鬼人族メイドの一人がそう教えてくれた。

ありがとう。

……

うん、とりあえず妻たちに相談しよう。

自分の考えを伝え、どうすればいいか。

そして子供一人一人をみて答えを出していければいいなと思う。

翌日。

ガルフの奥さんと話をした。

「ガルフはハウリン村では一番の戦士でした。

この村では下位に甘んじておりますが、ハウリン村で 培(つちか) った技術を失うのは避けたいと思い、ルーさまに相談しました」

なるほど。

そのあたりの気持ちは、ルーたちにアドバイスされたので俺も受け入れる。

しかし、それならば自分の子に期待すればいい。

ピリカに求めるのは間違っていると思うのだが?

「私の息子は 石工(いしく) の道に進みました」

そうだな。

「私の娘は村長のもとで働いております」

うん、頑張ってくれている。

「村長のおっしゃるとおり、ガルフの技術は私の子に継承してもらいたいという思いはありますが……その」

言い 淀(よど) まれた。

なんだろう?

獣人族の妊娠適齢期の問題か?

いや、まだ産める年齢だと聞いている。

「この村で元気でやっている娘ではありますが、私には外に出した負い目があります」

……

「この村で再会できましたが、本来なら二度と目にすることはできなかったでしょう。

そんな私が次の子を求めることに、いささかの抵抗があります」

……

なるほど。

ガルフの奥さんの気持ちはわかった。

いや、わかったというのは 驕(おご) りだな。

条件が悪くなかったとはいえ、幼い子を家から出したのだ。

そのときの母親の気持ちをわかることなど、俺にはできないだろう。

ふむ。

だが、俺としては、その負い目はどうか忘れてほしい。

忘れられないなら、子を引き離した原因である俺に負い目を押しつけてくれ。

「村長……」

そして、ガルフの思いを大事にしてやってほしい。

ガルフは、貴女しかみていないのだから。