軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

モモ

モモを収穫した。

もちろん、食べごろのモモだけだ。

それでもそれなりの数になる。

さっそく食べようと思うが、その前に贈答分を確保。

まず、マイケルさんの分。

モモは日持ちがいいとは言えないから、販売はしていない。

マイケルさんの家族が楽しめる量を贈っている。

次に魔王、ビーゼル、ランダン、グラッツ、ホウのところの分。

こっちも各家庭が楽しめる量。

でもってドラゴンたちは……マーク、ドマイム、それとクォルンのところに送れば大丈夫だな。

ドースやギラル、ドライムは村にいるときに食べられるだろう。

あ、ドライムの巣に贈らないと、グッチたちが食べられないか。

ドライムの巣の分も追加。

となると、ドースやギラルのところの分も確保しておかないと、いけないか。

ドラゴンたちは配る先もいるだろうから、少し多めに。

あとは、ハウリン村、南のダンジョンのラミア族、北のダンジョンの巨人族のところと、東のダンジョンのゴロック族にも贈っておこう。

なんとか一人一つは渡せるんじゃないかな。

そうそう、始祖さんの分も忘れちゃいけない。

最近、顔を見ていないけどフーシュの分も。

ただ、これは始祖さんが来るタイミング次第では、なかったことになる。

腐らせるわけにはいかないからな。

……

ヨウコがこっちを見ている。

五村の有力者用だな。

わかっている。

その分もちゃんと確保しておくよ。

ただ、贈るのはヨウコから頼むぞ。

俺から贈ると、返礼だなんだと大変だろ。

五村の有力者に配られるとなると、シャシャートの街のミヨの耳にも入るな。

ミヨの分も確保。

シャシャートの街のイフルス代官には、ミヨから渡してもらおう。

これで大丈夫かな。

……

短距離転移門があることだし、魔王国の学園にも贈っておくか。

ゴール、シール、ブロン、ウルザ、アルフレート、ティゼルが世話になっているからな。

教師が何人いるか知らないけど、それなりの数を学園長宛で贈っておけば問題ないだろう。

ゴール、シール、ブロンの妻たちも欲しがるかな?

妻たちが欲しがらなくてもゴール、シール、ブロンが欲しがるな。

村にいるときはよく食べていたし。

ウルザたちの分と一緒に送って、そこからのお 裾(すそ) 分けの形にしよう。

ウルザは気前がいいから自分の分も配りそうだけど、アサ、アース、メットーラがいるから抑えてくれるだろう。

最後に、贈り忘れがあったとき用の分を確保。

自分の 迂闊(うかつ) さは自覚している。

よし、贈答用はこんなもので。

かなり減ったが、それでも食べきれないと言えるぐらいにはモモが残っている。

収穫を手伝ってくれたハイエルフ、山エルフ、鬼人族メイド、ドワーフ、獣人族の女の子たち、文官娘衆、それとクロの子供たちやザブトンの子供たちがまだかまだかと待っている。

すまなかった。

あと、期待のまなざしでみている俺の子供たち。

お前たちも収穫、手伝ってくれたもんな。

よし、食べるぞ。

俺の合図に、ザブトンの子供たちが糸を操ってモモの皮を 剥(む) き、実をカットして種を外してくれた。

ありがとう。

ああ、俺が最初に食べるのね。

うん、甘い。

俺が食べたのを見てから、ほかの者たちも食べ始め……ザブトンの子供たちが切ったモモが皿に乗る前に端から消えていく。

すごいな。

だが、これはオヤツだぞ。

腹いっぱいに食べると、夕食が食べられなくなってアンに睨まれるからな。

ん?

ザブトンの子の一匹がモモの種の処遇を聞いてきた。

モモの種はドワーフたちが酒造りに使うから、こっちの樽に入れておこう。

ああ、種で酒を造るんじゃなくて、酒の香りつけ用だな。

モモの香りがする酒になるんだ。

いや、全部使えるわけじゃないから、種が欲しいなら持って行ってもいいがどうするんだ?

花畑にいる妖精たちの分?

ははは。

それなら、種じゃなくてモモの実を持って行ってやろう。

種の周囲に残っている実だけじゃ、寂しいだろ。

よしよし、全部食べられる前にいくつか確保しておこう。

残りは夕食のあとのデザートだ。

ここにいない人の分も残しておくように。

ルーの分?

ああ、ルーはモモが好きだからな。

ちゃんと最初に取り分けてある。

もちろん、ほかの妻たちの分もだ。

モモを受け取った魔王国の王都から反響があった。

感謝が込められているが、簡潔にまとめると「もっと欲しい」だ。

こういったのは少ないから価値があると思うのだけどな。

あと、周囲に自慢しない。

断れない相手から求められて、俺に泣きつかれても困る。

あ、うん、ティゼルが悪い面もあるんだな。

ティゼルは自分の分を食べずにダルフォン商会に売った。

それでお小遣いを稼ぐのはかまわないのだが、ダルフォン商会が想像以上に高値をつけたらしく、その値段とともにモモが幻の実として王都の噂になってしまった。

そうなると動き出すのが王都にいる貴族たち。

貴族たちは人脈を総動員して幻の実を求めた。

そして、その幻の実が手元にある人たちを突き止めると、押しかけた。

魔王や四天王は、つき合いがあるので断れなかったらしい。

とくに困ったのは、学園長だろう。

毎日のように貴族の訪問を受けることになり、そのたびに幻の実の話をされたそうだ。

そうなるとモモを持っていて出さないわけにもいかず、一つどうですかとなる。

もちろん、対価としてなにかしら得るものはあるだろうけど、とても大変だったとメットーラからの報告の手紙でわかった。

うん、短距離転移門のおかげでほぼリアルタイムで手紙がくるのはいいな。

ウルザとアルフレートはモモを切って、ほかの生徒たちと分けて食べたそうだ。

こういったところをティゼルも見習ってほしいなぁ。

ん?

アースのやっている店でモモを使った甘味を出したいと。

悪くはないが、期間限定になるぞ。

あと、幻の実の噂があるから騒ぎになるかもしれない。

もう少しあとにするように返事を書いておかないとな。

でもって、こっちは……

ティゼルから弁明の手紙のようだ。

要約すると売ったつもりはなく、商会の友人に譲っただけ。

受け取った側が謝礼を考えて値段をつけたのが 一人(ひとり) 歩きしたと。

ティゼルがこんなことで嘘を 吐(つ) いたりはしないだろうから、本当なのだろう。

騒動になって困っているのか。

そうかそうか。

それで、騒動を収めるために追加のモモがほしいと。

仕方がないなぁ。

そう言いたいが、一歩遅かった。

マイケルさんが文官娘衆と握手している。

たったいま、王都での幻の実の噂を聞いたマイケルさんからモモの取引を持ちかけられて売買契約が結ばれたところだ。

すまないティゼル。

大樹の村にいまある余剰分のモモはゴロウン商会行きだ。

次に食べごろのモモを収穫したら送るから、それまで待ってほしい。